甘い
過去、数少ないが、つき合った女性からは、優しいところが長所でもあるし短所でもあると言われた。
友人からも、何かにつけて、お前は優しいもんなあ、と言われたけど。そでは、向こうに合わせる事も大事だと思ったからで、だから合わせただけで、そこに自分の意見がなかったのは確かだった。
それでも、やっぱり買い物につき合って欲しいと言われればそれにつき合うし、ラーメンじゃなくて洋食が食べたいと言われれば、それに合わせた。自分の中で、どっちでもいい、と言う感覚があったのかもしれない。
まあ、なんと言うか。何が言いたいかと言うと。
今、久しぶりに出来た恋人に対してどうしようもなく自分が甘いと言うことだ。
カカシが上忍だからと言うわけでも、里の誉れだからと言うわけでもない。
さっき話した、過去の女性達に言われた「優しい」とはまた違うのは確かだった。だって、どちらかと言えば、基本カカシが自分に合わせてくれる。元々、カカシとは一緒に夕飯を食べるような仲だったから、話や食の好みが合っていて、どこかを無理に合わせる事がない。
一緒に飯を食う仲であっても、カカシとつき合う事に抵抗があったのは確かだった。
カカシは元々女性に困った事がないのも知っていたし、そっちではないと思っていたし、自分もそっちではなかったから。
冗談だと思って流していたのに、カカシは違った。
ね、いいじゃん。つき合ってみようよ。
その口調がなんとも甘えるように、柔らかで、自分を飯に誘うような感覚で。モテる男は違うなあ、と感心したのを思い出す。
だから何度目かの誘いに、まあ、いいのかもしれない、と思えてきていたから、頷いた。
こんなどこにでもいるような中忍の男相手にカカシが本気な訳がないと思っていたのに、こんな自分にカカシはうっとりするような顔をする。
料理だって自己流で、そこまで上手くないのに、カカシは幸せそうに食べるから。そんな顔されたら嬉しいに決まっている。
今までつき合ったどんな相手よりも、自分の意見も言えるのに。
「停電大変だったよな」
出勤して早々、同僚に声をかけられ、イルカは内心ギクリとした。
昨日は嵐のような激しい雷雨で、深夜から明け方にかけての停電は、確かに大変だった。電気も付かなければ、当たり前に扇風機もエアコンも使えない。
何よりダメージが大きかったのは冷蔵庫だった。
買い込んだ食料を氷が入っている冷凍室に詰め替えてしまいたかったのに。
カカシはイルカを離さなかった。
「カカシさん、停電、」
ベットの上でカカシに腰を持たれゆっくりと突き上げられながら、大きな落雷の音の直後につけていた扇風機が止まり、否応なしにそれが停電だと分かるから。
カカシも勿論分かってるはずだけど、そう喘ぎながらもそう伝えれば、カカシは、うん、とだけ声を返した。動きは止まらない。一回果てたカカシの陰茎はすっかり固さを取り戻しているし、ゆっくりながらも動きが再開され、自分自身、中のぬめりが加わってすごく具合がよくて、止めて欲しくないけど。
でも、今日買ったばかりの食材を無駄にもしたくない。
冷蔵庫、とカカシに訴えれば、また返ってくるのは、うん、と言う返事だけっだった。どうしようと思う間に、前を向かされ、カカシに口づけられる。
「あとちょっとだけ、ね?」
普段かかない汗を額に滲ませながら、カカシもまた気持ちよさそうに、眉根を寄せ、そうイルカに囁く。返答に困っていればカカシにまた口を塞がれた。唾液が絡まった熱い舌が気持ちいい。
(・・・・・・まあ、いいか)
そう思いながら、カカシに舌を絡ませた。
いや、全然良くなかったんだけど。
昨夜の自分と失態を思い出し、顔を赤らめながらイルカは口を結ぶ。
結局飲み物は良くても生ものは駄目だったし。
大体、あんな一言で許しちゃうとか。
俺も大概だ。
自分が気持ちいいから止めたくなかったんじゃない。カカシの気持ちよさそうな顔を見たら、求められたら、あんな感じになってしまっていた。
自己嫌悪に陥りながら、イルカは受付に向かう。
とにかく、駄目になった食材を、今日の帰りにもう一度買いに行かなければ。
受付の席に座って直ぐ顔を見せたのはカカシだった。
イルカの顔を見て、カカシは露わな右目を緩ませた。にこっと微笑む。
まだ責めたい気持ちはあるのに、自分にだけ向けられた微笑みに、うかつにも胸が高鳴る。
そう、自分はすっかり恋に落ちてる。
どうしようもないくらいに。
こんなはずじゃなかったと、そう思いながらも、イルカは恥ずかしそうに目を伏せた。
<終>
友人からも、何かにつけて、お前は優しいもんなあ、と言われたけど。そでは、向こうに合わせる事も大事だと思ったからで、だから合わせただけで、そこに自分の意見がなかったのは確かだった。
それでも、やっぱり買い物につき合って欲しいと言われればそれにつき合うし、ラーメンじゃなくて洋食が食べたいと言われれば、それに合わせた。自分の中で、どっちでもいい、と言う感覚があったのかもしれない。
まあ、なんと言うか。何が言いたいかと言うと。
今、久しぶりに出来た恋人に対してどうしようもなく自分が甘いと言うことだ。
カカシが上忍だからと言うわけでも、里の誉れだからと言うわけでもない。
さっき話した、過去の女性達に言われた「優しい」とはまた違うのは確かだった。だって、どちらかと言えば、基本カカシが自分に合わせてくれる。元々、カカシとは一緒に夕飯を食べるような仲だったから、話や食の好みが合っていて、どこかを無理に合わせる事がない。
一緒に飯を食う仲であっても、カカシとつき合う事に抵抗があったのは確かだった。
カカシは元々女性に困った事がないのも知っていたし、そっちではないと思っていたし、自分もそっちではなかったから。
冗談だと思って流していたのに、カカシは違った。
ね、いいじゃん。つき合ってみようよ。
その口調がなんとも甘えるように、柔らかで、自分を飯に誘うような感覚で。モテる男は違うなあ、と感心したのを思い出す。
だから何度目かの誘いに、まあ、いいのかもしれない、と思えてきていたから、頷いた。
こんなどこにでもいるような中忍の男相手にカカシが本気な訳がないと思っていたのに、こんな自分にカカシはうっとりするような顔をする。
料理だって自己流で、そこまで上手くないのに、カカシは幸せそうに食べるから。そんな顔されたら嬉しいに決まっている。
今までつき合ったどんな相手よりも、自分の意見も言えるのに。
「停電大変だったよな」
出勤して早々、同僚に声をかけられ、イルカは内心ギクリとした。
昨日は嵐のような激しい雷雨で、深夜から明け方にかけての停電は、確かに大変だった。電気も付かなければ、当たり前に扇風機もエアコンも使えない。
何よりダメージが大きかったのは冷蔵庫だった。
買い込んだ食料を氷が入っている冷凍室に詰め替えてしまいたかったのに。
カカシはイルカを離さなかった。
「カカシさん、停電、」
ベットの上でカカシに腰を持たれゆっくりと突き上げられながら、大きな落雷の音の直後につけていた扇風機が止まり、否応なしにそれが停電だと分かるから。
カカシも勿論分かってるはずだけど、そう喘ぎながらもそう伝えれば、カカシは、うん、とだけ声を返した。動きは止まらない。一回果てたカカシの陰茎はすっかり固さを取り戻しているし、ゆっくりながらも動きが再開され、自分自身、中のぬめりが加わってすごく具合がよくて、止めて欲しくないけど。
でも、今日買ったばかりの食材を無駄にもしたくない。
冷蔵庫、とカカシに訴えれば、また返ってくるのは、うん、と言う返事だけっだった。どうしようと思う間に、前を向かされ、カカシに口づけられる。
「あとちょっとだけ、ね?」
普段かかない汗を額に滲ませながら、カカシもまた気持ちよさそうに、眉根を寄せ、そうイルカに囁く。返答に困っていればカカシにまた口を塞がれた。唾液が絡まった熱い舌が気持ちいい。
(・・・・・・まあ、いいか)
そう思いながら、カカシに舌を絡ませた。
いや、全然良くなかったんだけど。
昨夜の自分と失態を思い出し、顔を赤らめながらイルカは口を結ぶ。
結局飲み物は良くても生ものは駄目だったし。
大体、あんな一言で許しちゃうとか。
俺も大概だ。
自分が気持ちいいから止めたくなかったんじゃない。カカシの気持ちよさそうな顔を見たら、求められたら、あんな感じになってしまっていた。
自己嫌悪に陥りながら、イルカは受付に向かう。
とにかく、駄目になった食材を、今日の帰りにもう一度買いに行かなければ。
受付の席に座って直ぐ顔を見せたのはカカシだった。
イルカの顔を見て、カカシは露わな右目を緩ませた。にこっと微笑む。
まだ責めたい気持ちはあるのに、自分にだけ向けられた微笑みに、うかつにも胸が高鳴る。
そう、自分はすっかり恋に落ちてる。
どうしようもないくらいに。
こんなはずじゃなかったと、そう思いながらも、イルカは恥ずかしそうに目を伏せた。
<終>
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