喧嘩未満 +α

 どこかでいい加減下ろしてくれるだろうと思っていたが、カカシは下ろさなかった。
 ようやく下ろされた時は自分のアパートに入った後で。鍵がかかっていたはずなのに、それも容易に開けるとカカシは部屋に入る。下ろされほっとしたのもつかの間、カカシはイルカをしゃがませると腕を取り、片手で手首をひとまとめにして握ると、その腕を上げた。きょとんとした顔でカカシを見上げる。
「カカシさん、何を、」
 聞いてもカカシは答える代わりに自らの額当てを外した。見慣れているはずなのに。写輪眼が暗闇で赤く光り、その目に引き込まれそうなる。その隙に、カカシはイルカの手引っ張りこたつの足に縛り付けた。引っ張られるままに低いこたつの足に手を縛られ、仰向けになるイルカをカカシはじっと見下ろした。
「なに、してるんですか?」
 酔いはすっかり覚めてしまっている。カカシに今回の事である程度怒られることは覚悟はしていたが、どうして縛り付ける必要があるのか。アカデミーでも廊下に立たせる事はあっても縛る事は流石にしない。何をしているのか理解出来ないが、身動きを出来ないようにされるのは本能的に逃げ出したくなる。だが、どんなに腕を動かしても、こたつ自体は動くが額当てを解く事は出来なかった。
 そうしている間にもカカシの腕が伸びる。ベストのジッパーをカカシが下ろし、その固い音が部屋に響いた。
「・・・・・・カカシ、さん?」
 名前を呼ぶとカカシはイルカをじっと見つめる。
「さっきの威勢はもうどっかいっちゃった?」
 逆にそう言われてイルカは困惑した。そりゃあ外であんな事しないで欲しいと責めたかったが、それよりも、ちょっと、この状況がよく分からな過ぎる。それが顔に出たのか、カカシは小さく笑うと、ゆるりと上着の上からイルカの胸の突起辺りを撫でた。まだ固くもなくともカカシの指の感触に身体がぴくりと反応する。そこでようやくどんな状況なのか理解した。それさえも顔に出たのだろう、イルカのまん丸になった黒い目をカカシは見つめ、僅かに目を細めた。上着をぐいと引き上げると、露わになった突起にカカシは唇を落とす。吸われてイルカは短い声を上げた。
「カカシさん、ちょっと、」
 聞こえているはずなのに、カカシはそれを止めない。ちゅくちゅくと赤ん坊の様に吸い、ぬめる乳首を舌で押しつぶす。縛り上げられた手に力が入った。自分の胸を舐める度に銀色の髪がふさふさと動く。その髪さえ触れないのが、もどかしい。口を上げたカカシが、先生さ、と呟いた。
「俺がどんだけあんたを思ってるか、分かってる?」
 そうカカシが聞く。じれったい感覚に身体を捩りながら、え?と聞き返すとカカシは再び唇を胸元に添えた舐めながら目だけをイルカに向けた。
「何にも分かってないないような顔して。先生がどっかの女と飲んでるの見ても俺がなんとも思わないとでも思った?」
 イルカを見つめながら、赤い舌で固くなった乳首を舐める。その光景に背中が甘く痺れた。
「だからね、お仕置き」
 何も言えずに潤んだ目でカカシを見つめていれば、そう口にしたカカシはイルカから視線を外す。ぬるぬるになった乳首を舌で転がすように舐めながら、もう片方の手がイルカのズボンへ延びた。
 布越しに触られ、既に愛撫だけで勃ち上がっているそれを分かっているように、指の腹で優しく撫でる。イルカは眉根を寄せ声を詰めた。
「解いてください」
 自分から出た声は思ったよりも弱々しかった。懇願するも、解かないよ、とカカシからすぐ声が返った。

 竿を下から舐め上げられて思わず喉が引き攣った。普段素顔を晒さないカカシが整った素顔のまま、口を開け赤い舌で陰茎を舐め上げる。イルカは眉根を寄せた。何度も身体は重ねているし、そんな表情も見慣れているつもりだったが、見ているだけで胸が酷く高鳴る。イルカの視線に、カカシがふと目をイルカに向けた。舐めながら、何?と目で問われる。
「・・・・・・だってカカシさんが、エロくて、」
 堪らずそう口にしたイルカに、カカシが、どっちが?と笑った。
「手を縛られながら物欲しそうにこっち見て」
 どんな顔してるか知ってる?聞かれて羞恥心に顔が赤くなる。期待をしていないと言えばそれは嘘だった。それでも、そんな、と言えば、カカシはそんなイルカを見ながら目を細め微笑む。そのままイルカの陰茎を咥えた。続けて言おうとした言葉は喉奥に息とともに引っ込んだ。じゅるじゅると音を立てながら、口内にその中の唾液に包まれ擦られる感触にイルカは息を詰めた。カカシは楽しむように咥えたまま上下させ、先の柔らかい部分を舌でねぶる。押し殺そうとしても声が勝手に漏れた。

 縛られ擦れ始めた手は、気がつけば解かれていた。それよりも、普段らしくない雰囲気に飲み込まれ、丁寧に解されたそこに押し入れられイルカは切なげに眉を寄せた。やがてゆっくりと奥まで熱い肉棒が入り込む。きつ、とカカシが苦しげに声を漏らした。そこから間を空けず腰を掴まれ激しく動かし始める。息つく暇もないくらい攻めたてられ、突き上げられる度にいつも以上に感じて、恥ずかしいのに、声を止められない。そして、こんなにいつも以上に激しく求められ、それが嬉しくないわけがない。イルカはカカシの背中に手を回した。
「これじゃ、お仕置きにならない、」
 喘ぎながらも、途切れ途切れに口にした言葉に、カカシもまた荒い呼吸を繰り返しながら、だね、と息を吐くような笑いを零した。
「でもいいじゃない、気持ちいいんだから」
 途切れ途切れに、そしてのぞき込んだカカシがふわりと微笑む。カカシの快楽に浮かされた顔が、そしてあどけない笑い方が、普段の印象から想像も出来ない表情で。胸が苦しくなった。ふとした瞬間でさえ胸が高鳴る。ちょろいと自分でも感じるも、告白されてから自分自身が驚くくらいにカカシに夢中になっている事に自覚する。カカシの顔を惚けるようにじっと見つめていれば、何を考えているのか分かっていないカカシは困ったように苦笑いを浮かべる。
集中して、と口にしたカカシは形のいい唇でイルカの唇を塞いだ。



<終>
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