喧嘩未満⑤
昼休み、いつもは適当に済ませているが、同僚に誘われて商店街に向かう。
つい最近出来たうどん屋が定評があるらしいのは知っていた。ただ、自分は同じ麺ならどちらかと言えばラーメンを選ぶから。誘ってくれて正直嬉しい。当番制で昼休みを取るから、時間的に少し遅く、込み合った時間を避けれたのか、行列も出来ていない。
ラッキーだったな、なんて言いながら暖簾をくぐろうとして、店から出てきた人影にぶつかりようになる。すみません、と言いかけながら顔を上げて、イルカは僅かに目を丸くした。自分より少しだけ背の高いカカシの視線がイルカに同じように向けられている。青い目にイルカの顔を映す。驚いたもののその場から退かないイルカの袖を同僚がぐいとひっぱった。すみません、と道を譲った同僚が慌てて頭を下げ、譲られたカカシが歩き出し、一緒に昼飯を食べていたのか、アスマが続いて店を出てきた。
いつもの煙草ではなく、楊枝を咥えたアスマに、悪りいな、と声をかけられ、同僚が、いえ、と笑顔で応える。二人が店から出て行くのを見送り、そこからようやくイルカは同僚とうどんやの暖簾をくぐった。
頼んだうどんが直ぐに運ばれ、ねぎと鰹節とぶっかけられた出汁の匂いが食欲をそそる。
いただきます、と丁寧に手を合わせ食べ始めようとするイルカに、お前さあ、と同僚から声がかかった。
「なに」
同僚が呆れ混じりの声に、うどんを啜りながらイルカが返すと、七味をうどんにかけながら、同僚がこっちを見た。
「カカシさんと何があったかしらないけどさ、あの態度はやめろって」
心臓に悪い。そう素直に苦言され、中忍である自分が上忍に対してあの態度はやばったかな、と思っていたから。何も返せず黙ってうどんを食べる。
仲がいいのは知ってるけどさあ。そう付け足され、イルカは自分の器に視線を落とした。
同僚の言う仲がいいと言うのは、飲みにいく関係だと思っているからで、それ以上でもそれ以下でもない。深読みもしていない。確かに、少し前までは一緒に酒を飲む関係で、それは今も続いているから間違ってはいないが。
ーーつき合っているとか、流石に言えない。
イルカは黙ってうどんを啜った。
そこまでの関係に進展している事を公にする事を望んでいない事を、敢えて口には出してはいないが、カカシは分かってくれているのか、自分に合わせてくれている。
さっきだって、上官として挨拶もしない自分を責めてもいいのに。カカシは何でもない風に装った。
イルカはもぐもぐと咀嚼しながら、通り過ぎ間際に自分を見つめたカカシを思い浮かべながら。思い出すのは今朝の事。
昨夜遅くに帰ってきたカカシに激しく抱かれてくたくたで、目覚ましの音が鳴っても、起きなきゃと分かっていても、それも夢の中で聞いていた。この時期、まだ朝晩は肌寒いけど、自分を抱き込むように寝ているカカシの温もりや体の重みが心地よくて、重い瞼を中々開けられない。触れているカカシの肌に頬ずりしながら、ゆめうつつにうとうとしていると、カカシの手がもぞりと動いた。
細くて長い指が自分の腰の辺りを這い、その感触も心地いい、そう思っていた時、先生、そう耳元でカカシに囁かれてイルカは微かに身じろぎした。イルカはゆっくりと息を吐き出す。
「・・・・・・あと五分」
そう返した時、カカシの指がイルカの尻に触れた。
「ちょっとだけ、させて?」
ぼんやりとした思考にその意味すら分かっていなくて。イルカの反応が遅れた。聞き返す間もなくカカシの指が双丘の奥に触れ、昨夜遅くまで使っていたそこに難なくカカシの指が入り込む。そこからゆったりと根本まで張り込んだその感触に、ん、と声を漏らしながら、イルカは薄く目を開けた。
「・・・・・・え、なに、」
言いかけ首を捻ろうとした時、カカシの指が抜かれ、直ぐに代わりに熱い固まりが押しつけられる。眠気に動いていなかった思考が動き出すもこの状況についていけない。信じられないのに、体の奥に触れるそれは熱くて、余計に混乱した。
「バカ、やめ、ぁ、」
言い終わらないうちに形をしっかりと誇示したそれが、自分の内壁の肉を分け入りイルカは思わず声を漏らした。ゆっくりと押し進められるのに合わせてイルカは呼吸をしながらも、すっかり中がカカシの形を覚えてしまっている。頬が熱くなった。
こんな朝っぱらから、なんでこんな事になったのか。だいたい、昨日さんざんしたじゃねえか、と言い返したいのに。後ろから腰を掴まれて奥まで入れられて、息を飲むしかない。
そこからゆるゆるとカカシは腰を動かし始めた。昨日は息つく暇もないくらいに激しく抱き潰されたのに。それとは比べものにならないくらいに、ゆっくりと押し込むような動きにじれったさも感じる。なんとも言えない感覚にイルカは切なげに眉根を寄せた。自分の中が昨日の今日だからなのか、しっとりと濡れ内壁をただ擦られるだけで気持ちよくて。激しくもない動きなのに、声を抑えられない。自分もカカシに合わせて腰を揺らす。後ろではカカシもまた息を乱しているのが聞こえる。
「・・・・・・きもちいい」
抱き込まれながら、耳元でうっとりと呟かれ、恥ずかしさにイルカはぎゅうと目を瞑った。既にパンツの中で勃ちあがった自分のものが先端を濡らし、下着を汚しているのが分かる。ゆさゆさと軽く揺さぶられているだけなのに、自分も、どうしようもなく、気持ちいい。
こんな事してる場合じゃないと思う自分もいるのに、甘い感覚に、夢中になっている自分がいた。
カカシの硬く膨らんだ先がじわじわと奥何度もを擦る。高まる熱に頬が火照った。黒い目に涙が浮かぶ。
自分の腰を掴む大きな手のひらや、熱っぽく吐き出される息に気持ちが高まる。ぐいと奥に突き入れられる度に、カカシを締め付けた。それが分かっているのにどうにも出来ず、イルカは浅い呼吸を繰り返しながらも、唇を噛んだ。それでも閉じた唇の隙間から細い声を漏れる。
じわじわと、今までにない快楽が下腹部の奥から熱が沸き上がる。それを止められなくてイルカは下着の中を放ったもので汚した。カカシもまた低く呻き熱いものが奥に叩きつけられる。その感覚にイルカは身震いした。
そこから。当たり前に気がついたら遅刻ぎりぎりの時間で、朝からカカシに与えられた快楽に腰を抜かしそうになりながらも、慌ててベットから起き出そうとしたら、カカシに背中から抱き込ませた。
「好きだよ」
甘く囁かれ、心臓がどくんと高鳴った。頬も耳も熱くなったのが分かる。
「・・・・・・っ、いい加減にしてください」
カカシを押しのけるようにして、イルカはベットから這い出た。
実際遅刻ぎりぎりだった。
イルカは書類を抱えながら、受付に向かって廊下を歩く。
今日がアカデミー勤務だったら、余裕でアウトだ。休日ならまだしも、なんであんなタイミングで。
どうしてカカシが急にそんな気分になったのかは分からない。ただ、カカシが朝から自分に欲情とか。動揺して、恥ずかしくて。それを苛立ちに変えてぶつけてしまったものの、そこに間違ってはないと思うが。同僚に咎められた事を気にしていないと言ったら嘘だった。
朝あんな事があったとは言え、カカシに昼間したあからさまな態度は筋違いだと、自分でも分かっている。
カカシは、どう思っているのか。交わったあの視線を見ただけでは分からなかったが、怒っているわけではないのは分かる。
ため息混じりに顔を上げて、その視線の先に見えた銀髪にイルカは足を止めた。カカシが上忍仲間歩きながら話をしていた。いつもと同じように、感情が分からない表情で、しかし里内にいるからか、穏やかな雰囲気に見えるは、自分より年上だからだろうか。そんなフィルターで見てしまっているからなのか。
目で追っている間に、カカシと会話をしていた上忍が手を上げ、階段を上がっていく。直ぐに背中を見せたカカシに、イルカは思わず声を出していた。
離れた距離から、あの、と少し大きな声で言えば、カカシは足を止め、振り返る。反応を窺うように、見つめていれば、イルカに気がついたカカシは、少しだけ目元を緩めたのが分かった。そこでイルカは一回唇を結ぶと、カカシに歩み寄る。
カカシは、手をポケットに入れたまま。近くまできたイルカを見つめ、微かに首を傾げた。
「どうかした?」
たまたま廊下に自分たち以外いないものの、いつ誰が通ってもおかしくはない。だから、さっきのように、いつものように変わらない反応をするカカシをイルカはじっと見つめた。あの、と言いながら、そして一回視線を廊下に落とし、もう一度顔を上げる。
「俺も、・・・・・・カカシさんの事、好きですから」
どうでもいいことなのかもしれないが、自分の中でひっかかっていた事を、朝伝えるべきだった事をイルカは口にする。
勢いで口にしたものの、恥ずかしさに頬を赤くしながら、それでも言えた事に自分の中で安堵する。カカシは、一瞬驚いた顔をした。そこから、今朝の事を思い出し合点したのか、ああ、と相槌を打った後、ふわりと微笑む。
「先生のそーいう素直なところ、好きだよ」
カカシの反応を予想していたわけではなかった。ただ、伝えたかっただけで。
でも、そんな事言われるなんて思わなくて。イルカの顔が一気に真っ赤に染まった。
「いや、その、」
言い訳なんか出来るはずがない。だってそのままなのだから。さらけ出してしまった自分の気持ちも引っ込める事も出来ず、かと言ってカカシの言葉の否定も出来ない。
俺のバカ・・・・・・本当に、バカ。
悔しいけど、湯気が出そうなくらいに顔を赤くさせたまま、固まる。
そんなイルカを見つめ、カカシは嬉しそうに歯を見せて笑った。
<終>
つい最近出来たうどん屋が定評があるらしいのは知っていた。ただ、自分は同じ麺ならどちらかと言えばラーメンを選ぶから。誘ってくれて正直嬉しい。当番制で昼休みを取るから、時間的に少し遅く、込み合った時間を避けれたのか、行列も出来ていない。
ラッキーだったな、なんて言いながら暖簾をくぐろうとして、店から出てきた人影にぶつかりようになる。すみません、と言いかけながら顔を上げて、イルカは僅かに目を丸くした。自分より少しだけ背の高いカカシの視線がイルカに同じように向けられている。青い目にイルカの顔を映す。驚いたもののその場から退かないイルカの袖を同僚がぐいとひっぱった。すみません、と道を譲った同僚が慌てて頭を下げ、譲られたカカシが歩き出し、一緒に昼飯を食べていたのか、アスマが続いて店を出てきた。
いつもの煙草ではなく、楊枝を咥えたアスマに、悪りいな、と声をかけられ、同僚が、いえ、と笑顔で応える。二人が店から出て行くのを見送り、そこからようやくイルカは同僚とうどんやの暖簾をくぐった。
頼んだうどんが直ぐに運ばれ、ねぎと鰹節とぶっかけられた出汁の匂いが食欲をそそる。
いただきます、と丁寧に手を合わせ食べ始めようとするイルカに、お前さあ、と同僚から声がかかった。
「なに」
同僚が呆れ混じりの声に、うどんを啜りながらイルカが返すと、七味をうどんにかけながら、同僚がこっちを見た。
「カカシさんと何があったかしらないけどさ、あの態度はやめろって」
心臓に悪い。そう素直に苦言され、中忍である自分が上忍に対してあの態度はやばったかな、と思っていたから。何も返せず黙ってうどんを食べる。
仲がいいのは知ってるけどさあ。そう付け足され、イルカは自分の器に視線を落とした。
同僚の言う仲がいいと言うのは、飲みにいく関係だと思っているからで、それ以上でもそれ以下でもない。深読みもしていない。確かに、少し前までは一緒に酒を飲む関係で、それは今も続いているから間違ってはいないが。
ーーつき合っているとか、流石に言えない。
イルカは黙ってうどんを啜った。
そこまでの関係に進展している事を公にする事を望んでいない事を、敢えて口には出してはいないが、カカシは分かってくれているのか、自分に合わせてくれている。
さっきだって、上官として挨拶もしない自分を責めてもいいのに。カカシは何でもない風に装った。
イルカはもぐもぐと咀嚼しながら、通り過ぎ間際に自分を見つめたカカシを思い浮かべながら。思い出すのは今朝の事。
昨夜遅くに帰ってきたカカシに激しく抱かれてくたくたで、目覚ましの音が鳴っても、起きなきゃと分かっていても、それも夢の中で聞いていた。この時期、まだ朝晩は肌寒いけど、自分を抱き込むように寝ているカカシの温もりや体の重みが心地よくて、重い瞼を中々開けられない。触れているカカシの肌に頬ずりしながら、ゆめうつつにうとうとしていると、カカシの手がもぞりと動いた。
細くて長い指が自分の腰の辺りを這い、その感触も心地いい、そう思っていた時、先生、そう耳元でカカシに囁かれてイルカは微かに身じろぎした。イルカはゆっくりと息を吐き出す。
「・・・・・・あと五分」
そう返した時、カカシの指がイルカの尻に触れた。
「ちょっとだけ、させて?」
ぼんやりとした思考にその意味すら分かっていなくて。イルカの反応が遅れた。聞き返す間もなくカカシの指が双丘の奥に触れ、昨夜遅くまで使っていたそこに難なくカカシの指が入り込む。そこからゆったりと根本まで張り込んだその感触に、ん、と声を漏らしながら、イルカは薄く目を開けた。
「・・・・・・え、なに、」
言いかけ首を捻ろうとした時、カカシの指が抜かれ、直ぐに代わりに熱い固まりが押しつけられる。眠気に動いていなかった思考が動き出すもこの状況についていけない。信じられないのに、体の奥に触れるそれは熱くて、余計に混乱した。
「バカ、やめ、ぁ、」
言い終わらないうちに形をしっかりと誇示したそれが、自分の内壁の肉を分け入りイルカは思わず声を漏らした。ゆっくりと押し進められるのに合わせてイルカは呼吸をしながらも、すっかり中がカカシの形を覚えてしまっている。頬が熱くなった。
こんな朝っぱらから、なんでこんな事になったのか。だいたい、昨日さんざんしたじゃねえか、と言い返したいのに。後ろから腰を掴まれて奥まで入れられて、息を飲むしかない。
そこからゆるゆるとカカシは腰を動かし始めた。昨日は息つく暇もないくらいに激しく抱き潰されたのに。それとは比べものにならないくらいに、ゆっくりと押し込むような動きにじれったさも感じる。なんとも言えない感覚にイルカは切なげに眉根を寄せた。自分の中が昨日の今日だからなのか、しっとりと濡れ内壁をただ擦られるだけで気持ちよくて。激しくもない動きなのに、声を抑えられない。自分もカカシに合わせて腰を揺らす。後ろではカカシもまた息を乱しているのが聞こえる。
「・・・・・・きもちいい」
抱き込まれながら、耳元でうっとりと呟かれ、恥ずかしさにイルカはぎゅうと目を瞑った。既にパンツの中で勃ちあがった自分のものが先端を濡らし、下着を汚しているのが分かる。ゆさゆさと軽く揺さぶられているだけなのに、自分も、どうしようもなく、気持ちいい。
こんな事してる場合じゃないと思う自分もいるのに、甘い感覚に、夢中になっている自分がいた。
カカシの硬く膨らんだ先がじわじわと奥何度もを擦る。高まる熱に頬が火照った。黒い目に涙が浮かぶ。
自分の腰を掴む大きな手のひらや、熱っぽく吐き出される息に気持ちが高まる。ぐいと奥に突き入れられる度に、カカシを締め付けた。それが分かっているのにどうにも出来ず、イルカは浅い呼吸を繰り返しながらも、唇を噛んだ。それでも閉じた唇の隙間から細い声を漏れる。
じわじわと、今までにない快楽が下腹部の奥から熱が沸き上がる。それを止められなくてイルカは下着の中を放ったもので汚した。カカシもまた低く呻き熱いものが奥に叩きつけられる。その感覚にイルカは身震いした。
そこから。当たり前に気がついたら遅刻ぎりぎりの時間で、朝からカカシに与えられた快楽に腰を抜かしそうになりながらも、慌ててベットから起き出そうとしたら、カカシに背中から抱き込ませた。
「好きだよ」
甘く囁かれ、心臓がどくんと高鳴った。頬も耳も熱くなったのが分かる。
「・・・・・・っ、いい加減にしてください」
カカシを押しのけるようにして、イルカはベットから這い出た。
実際遅刻ぎりぎりだった。
イルカは書類を抱えながら、受付に向かって廊下を歩く。
今日がアカデミー勤務だったら、余裕でアウトだ。休日ならまだしも、なんであんなタイミングで。
どうしてカカシが急にそんな気分になったのかは分からない。ただ、カカシが朝から自分に欲情とか。動揺して、恥ずかしくて。それを苛立ちに変えてぶつけてしまったものの、そこに間違ってはないと思うが。同僚に咎められた事を気にしていないと言ったら嘘だった。
朝あんな事があったとは言え、カカシに昼間したあからさまな態度は筋違いだと、自分でも分かっている。
カカシは、どう思っているのか。交わったあの視線を見ただけでは分からなかったが、怒っているわけではないのは分かる。
ため息混じりに顔を上げて、その視線の先に見えた銀髪にイルカは足を止めた。カカシが上忍仲間歩きながら話をしていた。いつもと同じように、感情が分からない表情で、しかし里内にいるからか、穏やかな雰囲気に見えるは、自分より年上だからだろうか。そんなフィルターで見てしまっているからなのか。
目で追っている間に、カカシと会話をしていた上忍が手を上げ、階段を上がっていく。直ぐに背中を見せたカカシに、イルカは思わず声を出していた。
離れた距離から、あの、と少し大きな声で言えば、カカシは足を止め、振り返る。反応を窺うように、見つめていれば、イルカに気がついたカカシは、少しだけ目元を緩めたのが分かった。そこでイルカは一回唇を結ぶと、カカシに歩み寄る。
カカシは、手をポケットに入れたまま。近くまできたイルカを見つめ、微かに首を傾げた。
「どうかした?」
たまたま廊下に自分たち以外いないものの、いつ誰が通ってもおかしくはない。だから、さっきのように、いつものように変わらない反応をするカカシをイルカはじっと見つめた。あの、と言いながら、そして一回視線を廊下に落とし、もう一度顔を上げる。
「俺も、・・・・・・カカシさんの事、好きですから」
どうでもいいことなのかもしれないが、自分の中でひっかかっていた事を、朝伝えるべきだった事をイルカは口にする。
勢いで口にしたものの、恥ずかしさに頬を赤くしながら、それでも言えた事に自分の中で安堵する。カカシは、一瞬驚いた顔をした。そこから、今朝の事を思い出し合点したのか、ああ、と相槌を打った後、ふわりと微笑む。
「先生のそーいう素直なところ、好きだよ」
カカシの反応を予想していたわけではなかった。ただ、伝えたかっただけで。
でも、そんな事言われるなんて思わなくて。イルカの顔が一気に真っ赤に染まった。
「いや、その、」
言い訳なんか出来るはずがない。だってそのままなのだから。さらけ出してしまった自分の気持ちも引っ込める事も出来ず、かと言ってカカシの言葉の否定も出来ない。
俺のバカ・・・・・・本当に、バカ。
悔しいけど、湯気が出そうなくらいに顔を赤くさせたまま、固まる。
そんなイルカを見つめ、カカシは嬉しそうに歯を見せて笑った。
<終>
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