答え
枝の上に寝そべりながら聞こえてきた声にカカシは小冊子から顔を上げると、少し先に見えたのは中忍仲間と歩くイルカの姿だった。
仲間の振った下ネタに、イルカがげらげらと笑う。豪快に笑う、恋人の顔をカカシは木の上から眺めた。
つき合う前からも感じていたが、イルカは普通に男らしい。おおらかで人当たりがいいからか、同性の友人も多いし、今みたいに下ネタを振られてもそれに同調して楽しそうに笑う。知り合って間もない頃酒の席で、カカシさんはどんなAVを見るかとか、どんな女性がタイプなのかとか、そんな話題も振ってきた。アパートに誘われ一緒に酒を飲むようになった時も、それなりに小綺麗ではあるがいかにも独身の一人暮らしといった感じで。グラビア雑誌やその手類の雑誌も、忍術の本や教本の横に積まれていた。
だから、何気に酒が入った状況を利用して、つき合ってみる?と聞いた時に、頷くとは思ってもみなかった。普通に、何言ってんですか、と冗談として笑い飛ばされるとばかり思っていたから、内心驚いた。
酒の席で告白した自分も狡いけど、つきあい始めて、ホントにイルカは自分の事が好きなんだろうか、と思う。
だって、イルカは自分から誘ってこない。
つき合う前は、一緒に飯でもどうですか、とか飲みに行きましょう、とか周りの友人達と同じようなノリで誘ってきたのに。つき合いだしてから、それがぴたりとなくなった。
自分が誘えばもちろん頷いてくれるし、一緒にいて変わらず楽しい。
でもそれはつき合う前も同じで。二人きりになった時には手だって繋ぎたいしエッチな事もしたい。一緒にいたい、そう思ったら相手を誘いたくなるわけだし、その心理は間違っていないと思うのに。
正直自分も誰かに告白したのも初めてでつき合うって言うのがどういう事なのか分かってないけど。
(・・・・・・つれないよねぇ)
カカシはそんな事を思いながら、イルカの背中を見つめた。
結局今日も自分から誘った。
イルカがつき合う事を公にしたくない事ぐらい自分でも分かる。だから、人前ではなく、イルカを廊下で見かけた時に呼び止めた。
今日先生の家に行ってもいい?
つき合う前だったらせいぜい飲みに誘うくらいで、こんな台詞は言わなかった。お伺いを立てる訳でもないが、少し甘えたように聞けば、イルカは一瞬驚くも、もちろんです、と嬉しそうに笑顔を見せた。
適当に買った総菜やつまみと、昨日の残りなんですが、とイルカが皿に盛った煮物がちゃぶ台に並ぶ。冷えた缶ビールを二人で飲みそれだけで満たされた気持ちになった。
イルカの部屋の匂いが好きだ。ここにいるだけで、自分の部屋よりも落ち着いた気持ちになれるし、寛げる雰囲気をイルカは作ってくれる。
つき合ってからも、変わらず部屋には女の子が載った表紙の雑誌が置かれていた。たぶん探せばどこかにAVもある。
自分もいつもの小冊子を持ち歩いて読んでるけど、女の誘いには乗らなくなったし、遊楽通いはやめた。通ってる事自体きっとイルカは知らないが、止めた方がいいかな、と何となく思ったから。今までどんな女と寝て関係を持とうが、そんな事を考えた事すらなかった。
どんな理想を求めていたわけでもないのに。そもそも自分の告白にイルカが頷いたのに、本当は俺なんかより女の人とつき合っていた方がイルカにとってはそれが当たり前で幸せなんじゃないのか、とか思う辺り、自分はそうとうイルカに入れ込んでいると実感する。
まあ、たぶんこれは。間違いなく、惚れた弱みってやつなんだろうけど。
イルカの寛いだ顔と、ビールを飲む嬉しそうな顔を眺めながら勝手に納得していれば、皿の上に置いた箸が肘に当たり床に落ちる。
屈んで箸を拾おうとして。視界に入ったのは床に胡座をかいて座っているイルカの腰から下で。明らかに股間の部分が膨らんでいた。
カカシの目が釘付けになった。
その視線に気が付いたイルカが、慌てて手で隠そうとするけど、それは今更で。誤魔化しようがない。素直に驚くカカシを前に、イルカは観念したのか、いや、その、と顔を赤らめながら口を開く。
「カカシさんに誘われたのが、嬉しくて、」
こんな時間から節操なくてすみません。
恥ずかしそうに口にされ、期待しているんだど、表情からも、ものすごく伝わる。男なんて単純だ。イルカが自分に対して性欲を持っている。
その素直な気持ちに、今までにないくらいに、カカシの胸が高鳴り、下半身が疼くのを感じた。
<終>
仲間の振った下ネタに、イルカがげらげらと笑う。豪快に笑う、恋人の顔をカカシは木の上から眺めた。
つき合う前からも感じていたが、イルカは普通に男らしい。おおらかで人当たりがいいからか、同性の友人も多いし、今みたいに下ネタを振られてもそれに同調して楽しそうに笑う。知り合って間もない頃酒の席で、カカシさんはどんなAVを見るかとか、どんな女性がタイプなのかとか、そんな話題も振ってきた。アパートに誘われ一緒に酒を飲むようになった時も、それなりに小綺麗ではあるがいかにも独身の一人暮らしといった感じで。グラビア雑誌やその手類の雑誌も、忍術の本や教本の横に積まれていた。
だから、何気に酒が入った状況を利用して、つき合ってみる?と聞いた時に、頷くとは思ってもみなかった。普通に、何言ってんですか、と冗談として笑い飛ばされるとばかり思っていたから、内心驚いた。
酒の席で告白した自分も狡いけど、つきあい始めて、ホントにイルカは自分の事が好きなんだろうか、と思う。
だって、イルカは自分から誘ってこない。
つき合う前は、一緒に飯でもどうですか、とか飲みに行きましょう、とか周りの友人達と同じようなノリで誘ってきたのに。つき合いだしてから、それがぴたりとなくなった。
自分が誘えばもちろん頷いてくれるし、一緒にいて変わらず楽しい。
でもそれはつき合う前も同じで。二人きりになった時には手だって繋ぎたいしエッチな事もしたい。一緒にいたい、そう思ったら相手を誘いたくなるわけだし、その心理は間違っていないと思うのに。
正直自分も誰かに告白したのも初めてでつき合うって言うのがどういう事なのか分かってないけど。
(・・・・・・つれないよねぇ)
カカシはそんな事を思いながら、イルカの背中を見つめた。
結局今日も自分から誘った。
イルカがつき合う事を公にしたくない事ぐらい自分でも分かる。だから、人前ではなく、イルカを廊下で見かけた時に呼び止めた。
今日先生の家に行ってもいい?
つき合う前だったらせいぜい飲みに誘うくらいで、こんな台詞は言わなかった。お伺いを立てる訳でもないが、少し甘えたように聞けば、イルカは一瞬驚くも、もちろんです、と嬉しそうに笑顔を見せた。
適当に買った総菜やつまみと、昨日の残りなんですが、とイルカが皿に盛った煮物がちゃぶ台に並ぶ。冷えた缶ビールを二人で飲みそれだけで満たされた気持ちになった。
イルカの部屋の匂いが好きだ。ここにいるだけで、自分の部屋よりも落ち着いた気持ちになれるし、寛げる雰囲気をイルカは作ってくれる。
つき合ってからも、変わらず部屋には女の子が載った表紙の雑誌が置かれていた。たぶん探せばどこかにAVもある。
自分もいつもの小冊子を持ち歩いて読んでるけど、女の誘いには乗らなくなったし、遊楽通いはやめた。通ってる事自体きっとイルカは知らないが、止めた方がいいかな、と何となく思ったから。今までどんな女と寝て関係を持とうが、そんな事を考えた事すらなかった。
どんな理想を求めていたわけでもないのに。そもそも自分の告白にイルカが頷いたのに、本当は俺なんかより女の人とつき合っていた方がイルカにとってはそれが当たり前で幸せなんじゃないのか、とか思う辺り、自分はそうとうイルカに入れ込んでいると実感する。
まあ、たぶんこれは。間違いなく、惚れた弱みってやつなんだろうけど。
イルカの寛いだ顔と、ビールを飲む嬉しそうな顔を眺めながら勝手に納得していれば、皿の上に置いた箸が肘に当たり床に落ちる。
屈んで箸を拾おうとして。視界に入ったのは床に胡座をかいて座っているイルカの腰から下で。明らかに股間の部分が膨らんでいた。
カカシの目が釘付けになった。
その視線に気が付いたイルカが、慌てて手で隠そうとするけど、それは今更で。誤魔化しようがない。素直に驚くカカシを前に、イルカは観念したのか、いや、その、と顔を赤らめながら口を開く。
「カカシさんに誘われたのが、嬉しくて、」
こんな時間から節操なくてすみません。
恥ずかしそうに口にされ、期待しているんだど、表情からも、ものすごく伝わる。男なんて単純だ。イルカが自分に対して性欲を持っている。
その素直な気持ちに、今までにないくらいに、カカシの胸が高鳴り、下半身が疼くのを感じた。
<終>
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