こうして愛は明かされる
つき合って欲しいと言ったのは俺だった。
性急にイルカをベットに押し倒しながらカカシは思い出す。濃厚なキスを繰り返したイルカの唇は赤みを増し、少し開いた口からはカカシが肌を弄る度に甘い声が漏れる。酒の甘い匂いに、ちょっと先生が飲み過ぎているのが分かるが、今日はしたい気分だった。
自分の腕で顔を覆っているのだから、あの黒い濡れた瞳は見れない。どかそうとカカシが腕を伸ばした時、脇にあった枕をイルカが掴む。首を捻り、その中に見たかった顔は隠されてしまう。剥き出しになった首は真っ赤になっていて、それだけで酷く興奮した。その首に顔を埋めて舌を這わせ、噛み、吸う。少し荒くなった息はきっとイルカにも聞こえいるだろう。カカシによって解かれた黒い髪は流れ、その生え際にも唇を移動させる。
最初に気持ちを打ち明けたのは俺だった。
その時のイルカ先生の目の見開き具合ったら。そりゃあ初めて見るくらいに大きく見開かれて、黒い目をまん丸にしていた。驚くとは予想していたけど、そんな顔を目の前でされ不安に一気に襲われるのは当たり前で。思わずその後に、出来ればなんだけど。と付け加えていた。
彼を夕食に誘って3回目、お互いの仕事もあり、なかなか時間も取れずにようやく一緒に夕飯を共にする事が出来た。
いつも受付や報告所で接する通り、どの相手にも、俺にも、先生は当たらず障らず程良い距離感を保つ。それは同じテーブルに座り酒を酌み交わしても同じだった。
元々俺は、表には出さなかったが、イルカ先生に性的なものを含んだ好意を持った目で見ていたし、だから勿論その気で誘っていた。少しでも叩けば埃が出るような事もあるかもしれないと、少しばかり先生の事を調べてみた。だが、生真面目で実直な性格そのもののまま、何も出てこない。強いて言えば過去女性と一人交際した事があるらしいから、ノンケなんだろうな、とは思ったが。
まあ、俺もイルカ先生に会うまでは、まさか男に対して、この人いいな、なんて思うなんて夢にも思わなかったのだから、可能性はないとは言えないはずだ。
だから、ちょっとでも自分に傾いてくれるような少しでも可能性があればいいと、少しでも脈があればいいと、無理だったらきっぱり諦めようとそんな風に思っていた。
何回か誘ってみたものの、イルカ先生の俺に対する対応はあまり進歩がなかった。だがどんなつもりで誘ってきているのか、先生がそれを俺から聞き出すような素振りは見せてきたが、保つ距離は頑なに変わらない。
可能性がなかったら諦めるなんて思っていたのに、夕飯を誘った回数が片手で数えるくらいだったのにも関わらず、彼に気持ちを伝えたのは。
一緒に飲めば飲むほど、知ってしまったイルカ先生の色々な事を、諦めると言う経緯には出来なかった。むしろもっと、自分の物にしたいと言う欲望だけが濃くなったから。
酒はたぶん俺よりも強いっぽいが、ビールから焼酎に切り替わった時から、健康的な肌色がほんのりと赤く染まるところとか。少しだけ崩した姿勢で、笑う表情とか。なんでこの人俺を何度も誘ってくるんだ、と警戒しつつも、ちょっと共通の好みを知ると、嬉しそうにするその顔とか。
間近で見た彼の項が思った以上にそそられるし。テーブルに向かい合った距離でさえ感じる、先生の汗が混じった体の匂いは、自分の性欲を掻き立てるに十分だった。
たぶん、先生の中で俺は友人でもなく、ちゃんと認識された飲み友達でもない。知人、と言う枠の中に入っていればまだいい方だろう。
それでも、彼を知れば知るほど、他の人に渡したくない先生のあれやこれがどんどんと増え続けていく事を素直に自分の中で認めた。
出来ればなんだけど、と付け加えた告白を受けたイルカは、居酒屋でグラスを片手に固まった。
元々脈なんてないに等しい相手に言ってるのだから、まあこうなるんだろうなあ。と反応を静かに見つめていると、イルカは手に持っていたグラスを置き、視線を一回テーブルに落とす。
「いいですよ」
と、言ったのは視線を上げたのと同時だった。
あまりにもあっさりした返答に、今度は俺が目を見開く番だった。あ、そう。と、イルカが頷いた事にものすごく驚いたが、それを必死に誤魔化しながら酒を飲んだ。あの味は正直覚えていない。
もしかして酔った勢いで意味を理解せずに適当に返事をしたとか、冗談だと思われているとか、そんなオチだったら洒落にならない。翌日悶々と色々な憶測を浮かび不安が襲われ、イルカに会いに行けば、至っていつもと同じだった。
おはようございます。受付で爽やかな笑顔を浮かべられ、困惑し、イルカを廊下へ連れ出した。
「昨日の事、あれ、有効なんだよね?」
人が往来する廊下だからと、一応言葉を控えて尋ねると、イルカは隠す様子もなく、ええ、と、またしてもあっさりと頷く。
もしかしてあれが伝わっていないのかと不安に眉を寄せると、
「俺達がつき合うって事ですよね」
抵抗なくその言葉を口にされ、その事に内心驚きながらも、うん、と頷くとイルカは微笑んだ。
「勿論有効です。じゃあ、俺仕事があるんで」
俺にとったら重要な確認事項だったはずなのに、イルカの丸で仕事の一環のような態度に、少し呆気にとられた。
まあ、でもそんな感じで始まったのは確かで。
上着を押し上げ、イルカの胸の先を口に含む。舌でぬめらせながら、既に固くなったそこをきつく吸えばイルカの背中が反った。
いつも以上に感度が良く感じるのは酒のせいか。
イルカを見つけたのは、よく顔を出す居酒屋だった。たまたま任務で里から帰ったその足で、居酒屋に足を運んだのは何となくだった。時間が遅くなった時はイルカの負担を避けたかったから、夕飯をどこかで済ませてしまおうと遅くまで開いている居酒屋に入った。
そこで、思った以上に酔っているイルカを見つけたのは、ビールと適当に軽く食べ物を胃に入れてさっさと帰ろうとした時。
奥の座敷から出てきたアスマに、もたれるように歩いていたのはイルカだった。聞けば、元教え子が昇進した祝い酒にアスマ達がつき合っていたのだと言う。
「カカシさん」
カカシに気がついたイルカは、ふにゃりとした警戒心のかけらもない笑顔をカカシに向ける。口にしていなくとも薄々感づいていたアスマは、当たり前の様にイルカをカカシに引き渡した。
しばらく任務が忙しくてイルカにまともに会っていないのもあったから。うとうととしながらも、まだ意識があるイルカをそのままベットに一人寝かす、なんて事は頭に少しもなかったのは事実だった。
口を塞げば、イルカからも素直に舌が差し出され、絡めてくる。つき合ってもないあの頃思ったイルカの体の匂いは、カカシの酷く興奮させた。自分よりも高い体温と、健康的な肌色とその質感も全てが狂おしいほど愛おしい。
こんな事に応えてくれてるって事は、俺の事を好きだからだろうと分かってはいるが。
たまには愛の言葉くらい返してくれてもいいんじゃないのって、思う。
正直イルカが応えてくれているだけでも嬉しい。十分に解したイルカの後孔から自分の指を引き抜くと、カカシは自分のベルトに手をかけながら、内心苦笑いを浮かべる。ズボンを下着ごと下ろし陰茎を露わにする。それはすでに屹立し、鈴口からはイルカと同じ透明な先走りをもらしていた。それを一回手のひらで包み込むと、ゆっくりとイルカの中に挿れた。
「・・・・・・あ、」
イルカから、熱っぽい声が漏れた。ずぶぶずと熱く硬く凝った陰茎が奥に満たされていく。
「・・・・・・っ」
カカシからも思わず息が漏れた。
久しぶりに感じる、イルカの中が熱くて、締められ、そこからカカシは夢中で揺すり上げた。
今日任務に就きながらも、考えていたのはイルカの事だった。声が聞きたくて、会いたくて、温もりを感じたくて。
なのにあんな顔を居酒屋で向けるのは、狡い。
その場で押し倒したくなるのを必死で堪えた。
動く度に、ぎしぎしとベットが激しく軋む音を立てる。
「ぁっ・・・・・・ん、あっ、カカシさ・・・・・・っ、待・・・・・・っ、」
イルカに覆い被さったまま奥を何度も突き入れながら、イルカの声が耳に届き、カカシは慌てて動きを緩めた。
自分本位に余りにもがっつきすぎた。
いつもはイルカのペースに合わせるようにしていたのに。
「あ、ごめ・・・・・・先生、・・・・・・大丈夫?」
荒い息を吐きながらイルカを見下ろすと、枕をぎゅっと掴んだままイルカが潤んだ目をカカシに向け、
「カカシさん・・・・・・格好いい・・・・・・」
ぽつりと呟いた。
セックスをしている最中に、イルカが何か話すことは今までなくて。だけど、今何を言ったのか。
「えーっと・・・・・・」
なんて言ったの?と聞き返す前に再びイルカの口が動く。
「すごく激しいけど、こうやって止まって・・・・・・くれるし、優しい」
黒い目を緩ませたまま、カカシを見上げている。
「それに・・・・・・俺あなたしか知らないけど、・・・・・・すごい・・・・・・気持ちいい」
え?
もはや聞き間違いではない。
酔っているから。
そんなの分かっている。
でも。
イルカの口から途切れ切れに、しかししっかりと聞こえる台詞。
ぶわ、と自分の体温が上がるのが分かった。心音もまた高鳴り始める。
動きを止めたまま凝視していると、イルカは手伸ばし、繋がったままのカカシのぬめるに陰茎触れた。
思わず息を呑む。
「カカシさんの・・・・・・俺の中でどくどくして・・・・・・気持ちいいんです・・・・・・だって、ほら、奥まで当たって」
同時に締め付けられ、眉根を寄せた。射精感に襲われ、焦る。
「せんせ、ちょっと・・・・・・待って、」
聞こえていないのか、イルカは困った様に微笑みながら続ける。
「あの、・・・・・・えっと、なんて言うか、俺、こうやってカカシさんとエッチできて、……」
すごく、幸せです。
頬を火照らせながら、幸せそうにイルカが微笑む。
その笑顔を目の当たりにした瞬間、堪えきれずイルカの中に吐き出していた。
「あ、……ごめ、」
不本意過ぎるタイミングの射精にも、イルカは満足そうに微笑む。カカシは苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
明日になったら。
確認したら、イルカはなんと言うのだろうか。
酔っていても。
これは愛なのだと。
あの時の様に何ともない顔で言うのだろうか。
正直想像がつかないが。
そうであって欲しいと願いながら、カカシは再びイルカに覆い被さった。
<終>
性急にイルカをベットに押し倒しながらカカシは思い出す。濃厚なキスを繰り返したイルカの唇は赤みを増し、少し開いた口からはカカシが肌を弄る度に甘い声が漏れる。酒の甘い匂いに、ちょっと先生が飲み過ぎているのが分かるが、今日はしたい気分だった。
自分の腕で顔を覆っているのだから、あの黒い濡れた瞳は見れない。どかそうとカカシが腕を伸ばした時、脇にあった枕をイルカが掴む。首を捻り、その中に見たかった顔は隠されてしまう。剥き出しになった首は真っ赤になっていて、それだけで酷く興奮した。その首に顔を埋めて舌を這わせ、噛み、吸う。少し荒くなった息はきっとイルカにも聞こえいるだろう。カカシによって解かれた黒い髪は流れ、その生え際にも唇を移動させる。
最初に気持ちを打ち明けたのは俺だった。
その時のイルカ先生の目の見開き具合ったら。そりゃあ初めて見るくらいに大きく見開かれて、黒い目をまん丸にしていた。驚くとは予想していたけど、そんな顔を目の前でされ不安に一気に襲われるのは当たり前で。思わずその後に、出来ればなんだけど。と付け加えていた。
彼を夕食に誘って3回目、お互いの仕事もあり、なかなか時間も取れずにようやく一緒に夕飯を共にする事が出来た。
いつも受付や報告所で接する通り、どの相手にも、俺にも、先生は当たらず障らず程良い距離感を保つ。それは同じテーブルに座り酒を酌み交わしても同じだった。
元々俺は、表には出さなかったが、イルカ先生に性的なものを含んだ好意を持った目で見ていたし、だから勿論その気で誘っていた。少しでも叩けば埃が出るような事もあるかもしれないと、少しばかり先生の事を調べてみた。だが、生真面目で実直な性格そのもののまま、何も出てこない。強いて言えば過去女性と一人交際した事があるらしいから、ノンケなんだろうな、とは思ったが。
まあ、俺もイルカ先生に会うまでは、まさか男に対して、この人いいな、なんて思うなんて夢にも思わなかったのだから、可能性はないとは言えないはずだ。
だから、ちょっとでも自分に傾いてくれるような少しでも可能性があればいいと、少しでも脈があればいいと、無理だったらきっぱり諦めようとそんな風に思っていた。
何回か誘ってみたものの、イルカ先生の俺に対する対応はあまり進歩がなかった。だがどんなつもりで誘ってきているのか、先生がそれを俺から聞き出すような素振りは見せてきたが、保つ距離は頑なに変わらない。
可能性がなかったら諦めるなんて思っていたのに、夕飯を誘った回数が片手で数えるくらいだったのにも関わらず、彼に気持ちを伝えたのは。
一緒に飲めば飲むほど、知ってしまったイルカ先生の色々な事を、諦めると言う経緯には出来なかった。むしろもっと、自分の物にしたいと言う欲望だけが濃くなったから。
酒はたぶん俺よりも強いっぽいが、ビールから焼酎に切り替わった時から、健康的な肌色がほんのりと赤く染まるところとか。少しだけ崩した姿勢で、笑う表情とか。なんでこの人俺を何度も誘ってくるんだ、と警戒しつつも、ちょっと共通の好みを知ると、嬉しそうにするその顔とか。
間近で見た彼の項が思った以上にそそられるし。テーブルに向かい合った距離でさえ感じる、先生の汗が混じった体の匂いは、自分の性欲を掻き立てるに十分だった。
たぶん、先生の中で俺は友人でもなく、ちゃんと認識された飲み友達でもない。知人、と言う枠の中に入っていればまだいい方だろう。
それでも、彼を知れば知るほど、他の人に渡したくない先生のあれやこれがどんどんと増え続けていく事を素直に自分の中で認めた。
出来ればなんだけど、と付け加えた告白を受けたイルカは、居酒屋でグラスを片手に固まった。
元々脈なんてないに等しい相手に言ってるのだから、まあこうなるんだろうなあ。と反応を静かに見つめていると、イルカは手に持っていたグラスを置き、視線を一回テーブルに落とす。
「いいですよ」
と、言ったのは視線を上げたのと同時だった。
あまりにもあっさりした返答に、今度は俺が目を見開く番だった。あ、そう。と、イルカが頷いた事にものすごく驚いたが、それを必死に誤魔化しながら酒を飲んだ。あの味は正直覚えていない。
もしかして酔った勢いで意味を理解せずに適当に返事をしたとか、冗談だと思われているとか、そんなオチだったら洒落にならない。翌日悶々と色々な憶測を浮かび不安が襲われ、イルカに会いに行けば、至っていつもと同じだった。
おはようございます。受付で爽やかな笑顔を浮かべられ、困惑し、イルカを廊下へ連れ出した。
「昨日の事、あれ、有効なんだよね?」
人が往来する廊下だからと、一応言葉を控えて尋ねると、イルカは隠す様子もなく、ええ、と、またしてもあっさりと頷く。
もしかしてあれが伝わっていないのかと不安に眉を寄せると、
「俺達がつき合うって事ですよね」
抵抗なくその言葉を口にされ、その事に内心驚きながらも、うん、と頷くとイルカは微笑んだ。
「勿論有効です。じゃあ、俺仕事があるんで」
俺にとったら重要な確認事項だったはずなのに、イルカの丸で仕事の一環のような態度に、少し呆気にとられた。
まあ、でもそんな感じで始まったのは確かで。
上着を押し上げ、イルカの胸の先を口に含む。舌でぬめらせながら、既に固くなったそこをきつく吸えばイルカの背中が反った。
いつも以上に感度が良く感じるのは酒のせいか。
イルカを見つけたのは、よく顔を出す居酒屋だった。たまたま任務で里から帰ったその足で、居酒屋に足を運んだのは何となくだった。時間が遅くなった時はイルカの負担を避けたかったから、夕飯をどこかで済ませてしまおうと遅くまで開いている居酒屋に入った。
そこで、思った以上に酔っているイルカを見つけたのは、ビールと適当に軽く食べ物を胃に入れてさっさと帰ろうとした時。
奥の座敷から出てきたアスマに、もたれるように歩いていたのはイルカだった。聞けば、元教え子が昇進した祝い酒にアスマ達がつき合っていたのだと言う。
「カカシさん」
カカシに気がついたイルカは、ふにゃりとした警戒心のかけらもない笑顔をカカシに向ける。口にしていなくとも薄々感づいていたアスマは、当たり前の様にイルカをカカシに引き渡した。
しばらく任務が忙しくてイルカにまともに会っていないのもあったから。うとうととしながらも、まだ意識があるイルカをそのままベットに一人寝かす、なんて事は頭に少しもなかったのは事実だった。
口を塞げば、イルカからも素直に舌が差し出され、絡めてくる。つき合ってもないあの頃思ったイルカの体の匂いは、カカシの酷く興奮させた。自分よりも高い体温と、健康的な肌色とその質感も全てが狂おしいほど愛おしい。
こんな事に応えてくれてるって事は、俺の事を好きだからだろうと分かってはいるが。
たまには愛の言葉くらい返してくれてもいいんじゃないのって、思う。
正直イルカが応えてくれているだけでも嬉しい。十分に解したイルカの後孔から自分の指を引き抜くと、カカシは自分のベルトに手をかけながら、内心苦笑いを浮かべる。ズボンを下着ごと下ろし陰茎を露わにする。それはすでに屹立し、鈴口からはイルカと同じ透明な先走りをもらしていた。それを一回手のひらで包み込むと、ゆっくりとイルカの中に挿れた。
「・・・・・・あ、」
イルカから、熱っぽい声が漏れた。ずぶぶずと熱く硬く凝った陰茎が奥に満たされていく。
「・・・・・・っ」
カカシからも思わず息が漏れた。
久しぶりに感じる、イルカの中が熱くて、締められ、そこからカカシは夢中で揺すり上げた。
今日任務に就きながらも、考えていたのはイルカの事だった。声が聞きたくて、会いたくて、温もりを感じたくて。
なのにあんな顔を居酒屋で向けるのは、狡い。
その場で押し倒したくなるのを必死で堪えた。
動く度に、ぎしぎしとベットが激しく軋む音を立てる。
「ぁっ・・・・・・ん、あっ、カカシさ・・・・・・っ、待・・・・・・っ、」
イルカに覆い被さったまま奥を何度も突き入れながら、イルカの声が耳に届き、カカシは慌てて動きを緩めた。
自分本位に余りにもがっつきすぎた。
いつもはイルカのペースに合わせるようにしていたのに。
「あ、ごめ・・・・・・先生、・・・・・・大丈夫?」
荒い息を吐きながらイルカを見下ろすと、枕をぎゅっと掴んだままイルカが潤んだ目をカカシに向け、
「カカシさん・・・・・・格好いい・・・・・・」
ぽつりと呟いた。
セックスをしている最中に、イルカが何か話すことは今までなくて。だけど、今何を言ったのか。
「えーっと・・・・・・」
なんて言ったの?と聞き返す前に再びイルカの口が動く。
「すごく激しいけど、こうやって止まって・・・・・・くれるし、優しい」
黒い目を緩ませたまま、カカシを見上げている。
「それに・・・・・・俺あなたしか知らないけど、・・・・・・すごい・・・・・・気持ちいい」
え?
もはや聞き間違いではない。
酔っているから。
そんなの分かっている。
でも。
イルカの口から途切れ切れに、しかししっかりと聞こえる台詞。
ぶわ、と自分の体温が上がるのが分かった。心音もまた高鳴り始める。
動きを止めたまま凝視していると、イルカは手伸ばし、繋がったままのカカシのぬめるに陰茎触れた。
思わず息を呑む。
「カカシさんの・・・・・・俺の中でどくどくして・・・・・・気持ちいいんです・・・・・・だって、ほら、奥まで当たって」
同時に締め付けられ、眉根を寄せた。射精感に襲われ、焦る。
「せんせ、ちょっと・・・・・・待って、」
聞こえていないのか、イルカは困った様に微笑みながら続ける。
「あの、・・・・・・えっと、なんて言うか、俺、こうやってカカシさんとエッチできて、……」
すごく、幸せです。
頬を火照らせながら、幸せそうにイルカが微笑む。
その笑顔を目の当たりにした瞬間、堪えきれずイルカの中に吐き出していた。
「あ、……ごめ、」
不本意過ぎるタイミングの射精にも、イルカは満足そうに微笑む。カカシは苦笑いを浮かべるしか出来なかった。
明日になったら。
確認したら、イルカはなんと言うのだろうか。
酔っていても。
これは愛なのだと。
あの時の様に何ともない顔で言うのだろうか。
正直想像がつかないが。
そうであって欲しいと願いながら、カカシは再びイルカに覆い被さった。
<終>
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