そういうこと③
帰り際にどうしようもなく気持ちがざわついて、向こうが話している途中なのに、唇を奪うように重ねたのは自分だった。それなりにつき合ってきた女に対しては向き合っているつもりだったけど、こんなに感情がこみ上げるのは初めてで。想像以上に柔らかい厚みのある唇に舌を差し込むと、触れているイルカの体がギクリと硬くなったのが分かった。でも拒む様子はない。許された事に満足して顔の向きを変えて舌を絡めれば、イルカの鼻から声が漏れた。
初めて耳にするイルカのその声に。男だって分かってるのに、驚くくらいに気持ちが高ぶる。堪らずカカシは唇を浮かせた。不意に唇を離され閉じていた目を開けたイルカを間近で見つめる。
「俺の家に行ってもいいよね?」
その言い方が、焦っていると自分でも感じた。言われた言葉に黒い目が揺れる。どこまで許されるのか分からない。ただ熱くなった身体が示してるものははっきりしていて、それはきっとイルカも同じはずだ。返事がない事に勝手にそう解釈するとカカシは片手で印を切る。真っ暗な道で、煙と共に二人は消えた。
シャワーを、と言われるが、カカシはその言葉を遮るように唇を塞ぐ。自分も確かに任務だったが、それを拘っている余裕がなかった。いいから、とそんな言葉で口づけを再開させイルカの唇をその口内を堪能する。
イルカの靴を脱がせ、自分も靴を脱ぐとそのまま奥の寝室へ連れて行く。暗い部屋でも、ベットにされるがままに押し倒され、イルカが緊張しているのが分かった。それは自分も同じだ。誰かを勢いで自分の部屋へ連れ込んだ事は今までないし、これからもないと思っていた。物は少ないものの、それなにり一人住まいで、任務に出かけたままの、それなりに散らかった部屋なのは変わらない。跨がった自分を頬を赤く染めながら見上げるイルカの髪へ手を伸ばし、括った髪を解く。
「服、脱いで」
見下ろしながら、口にした。
男の身体で興奮するなんて自分自身知らなかった。汗の掻いたしっとりとした肌に指を這わせ唇を落とす。触れる度にびくりと引き攣らせる肌をじっとりと舐めた。胸の先端を舌で押しつぶすようにし、そこから吸えば、イルカの堪えていた声が漏れる。カカシは息を吐き出すように微笑んでいた。
「胸、感じるんだ」
独り言のように呟く。感じてくれる事がひどく嬉しい。
自分の愛撫で充血し、硬くなったぬめる先端を指でつまむ。もう片方へ舌を這わせた。
下半身へ目を向ければ、下着をつけたままのそこはしっかりと勃ち上がっていた。躊躇なくその中へ手を入り込ませれば、先走りで既に濡れていて、思わずカカシは喉を鳴らした。陰茎を手で扱くとイルカが気持ちよさそうな声を零す。唇を閉じ必死に声を出さないようにしているが、そのイルカの声が聞きたくて、すべる先端を親指で弄ればその先端は更に透明な液をたらす。イルカの首筋へ唇を伝わせれば、口から吐息のような甘い息を漏らした。
カカシは自分の下履きから張りつめた自分の陰茎を取り出す。イルカと同じように鈴口が先走りで濡れている。イルカの視線を感じてふと目線をあげると、上半身を起こしたイルカがそこを見つめていた。上気した頬に、潤んだ黒い目で。イルカに見られていると思うだけで、それだけなのに、視姦される気持ちにカカシは薄く微笑んだ。
「先生、俺のにくっつけて」
ベッドの上で膝立ちになってそう促せば、イルカは一瞬どういう意味なのか分からいと、そんな顔をしたが、理解したのか躊躇いながらもゆっくりと同じように膝立ちになる。カカシはイルカを抱き寄せるようにして自分の陰茎をイルカのものへ重ねると、手で覆うように上下に動かした。
「・・・・・・すご、」
カカシは眉根を寄せながら僅かに息を詰める。先走りの濡れた水音に合わせるように腰を動かせば、今まで感じたことのない快感に身体の芯が熱くなる。気が付けば額に汗を掻いていた。自分の中で感じる事があまりなかった本能が理性に覆い被さる。普段ならあり得ないことだと思うのに、今はそれでいいと思った。
「先生も手、動かして」
ほら。
イルカの手を掴んでその場所へ導く。その手を包むように自分の手を重ね、動かした。腰を揺らせば、イルカもまた気持ちよさそうに腰を揺らす。その顔をうっとりとした表情で見つめた。生徒達の顔が過ぎったのか、こんなの、と否定するような、背徳感を含ませる言葉に、カカシは苦笑いを浮かべるとに片方の手をイルカの後頭部へ当てる。
「今さらでしょ」
そう囁くと、薄く開いたままの口を塞ぎ、舌を絡ませた。
下から上へ突き上げるようにしていれば、互いの余裕がなくなってくる。先端を広げるように動かしていた指を離し、側面から互いの陰茎を擦りつけ、上下に激しく扱く。
「あ、・・・・・・っ、ぁ、あ、」
イルカが声を短く零した。言葉にならないイルカの声にカカシの頭もまた沸騰しそうに熱くなる。それから間もなくイルカは短い嬌声の合間に腰を震わせた。カカシの目の前で、腰を震わせる度に、イルカの鈴口から精液が勢いよく吐き出される。それを見ていたら、まだ保つと思っていたカカシもまた高ぶった気持ちに射精感が一気に高まる。短い呻きと共にイルカや自分の手を汚していた。
自慰なんて幾度となくした経験はあるのに。こんな頭が真っ白になる事なんてなかった。いつものような倦怠感が纏うものの、甘い感覚が下半身の奥にまだ溜まったままで。カカシはイルカをベットへと押し倒す。長い夜になりそうだと、イルカが感じたのかは分からない。それでも、カカシは持て余した熱をこのまま終わらせたくなくて、イルカへ口づけた。
最後は本当に本能だけが機能していたように思う。
イルカの髪に鼻を押し当て、その匂いを肺に吸い込み、中で果てたいと言う感情のまま腰を動かした。
身体は普段使わない筋肉を使ったからだろう、それなりに疲労感はあるが、満たされたものの方が大きい。
目を開けるとそこは自分の部屋で、ベッドの上で。顔を横へ向けるとイルカが同じようにベッドに身体を横たえたまま、こっちを見ていた。
寝起きでぼんやりとした思考のまま、ああ、そうだ。と昨日の出来事を再生しながらイルカを見つめていれば、
「寝坊しちまいました」
そう口にした声はいつもの張りのある声ではなく、掠れている。無理をさせたのは誰でもない、自分だ。初めてだって知っていたのに。カカシは笑った。ごめん、と言いながら身体をゆっくりと起こす。時計へ目を向けた。自分も時間にはまだ余裕があるが、任務が入っている。
機能し始めた頭で一日の予定を浮かべながら、先生さあ、とカカシは口を開いた。
「またいつ会える?」
今日とか、明後日とか?と言いながらイルカへ顔を向け、目にしたイルカの驚いた表情に、思わず言葉を止めていた。何か変な事でも言っただろうか。
なに、と言い掛けるカカシに、イルカの表情が少し和らぐ、すみません、と笑って額の辺りに自分の手を乗せた。
「カカシさんって、一体どうしたいんだろうって、」
少しだけ悲しそうに、でも可笑しそうに笑うイルカのその台詞は、その表情と合致するには十分で。ああ、と思わず、カカシからそんな声が漏れた。銀色の髪をがしがしと掻く。
「俺なんかでよかったら」
「・・・・・・え?」
額に乗せていた手を退け聞き返すイルカを、カカシは見つめ返した。
「あんたの事もっと知りたい。・・・・・・駄目?」
慣れない状況に、それでも言葉を選びながら、自分の素直な気持ちを口にすれば、イルカは笑った。さっきはともかく、今はそんな可笑しい言葉を言ったつもりはない。それでも、イルカはくすくすと笑い、そして、カカシへ顔を向ける。
「いいですよ」
それは、今まで見てきた何倍も穏やかで可愛いイルカの笑顔だった。
<終>
初めて耳にするイルカのその声に。男だって分かってるのに、驚くくらいに気持ちが高ぶる。堪らずカカシは唇を浮かせた。不意に唇を離され閉じていた目を開けたイルカを間近で見つめる。
「俺の家に行ってもいいよね?」
その言い方が、焦っていると自分でも感じた。言われた言葉に黒い目が揺れる。どこまで許されるのか分からない。ただ熱くなった身体が示してるものははっきりしていて、それはきっとイルカも同じはずだ。返事がない事に勝手にそう解釈するとカカシは片手で印を切る。真っ暗な道で、煙と共に二人は消えた。
シャワーを、と言われるが、カカシはその言葉を遮るように唇を塞ぐ。自分も確かに任務だったが、それを拘っている余裕がなかった。いいから、とそんな言葉で口づけを再開させイルカの唇をその口内を堪能する。
イルカの靴を脱がせ、自分も靴を脱ぐとそのまま奥の寝室へ連れて行く。暗い部屋でも、ベットにされるがままに押し倒され、イルカが緊張しているのが分かった。それは自分も同じだ。誰かを勢いで自分の部屋へ連れ込んだ事は今までないし、これからもないと思っていた。物は少ないものの、それなにり一人住まいで、任務に出かけたままの、それなりに散らかった部屋なのは変わらない。跨がった自分を頬を赤く染めながら見上げるイルカの髪へ手を伸ばし、括った髪を解く。
「服、脱いで」
見下ろしながら、口にした。
男の身体で興奮するなんて自分自身知らなかった。汗の掻いたしっとりとした肌に指を這わせ唇を落とす。触れる度にびくりと引き攣らせる肌をじっとりと舐めた。胸の先端を舌で押しつぶすようにし、そこから吸えば、イルカの堪えていた声が漏れる。カカシは息を吐き出すように微笑んでいた。
「胸、感じるんだ」
独り言のように呟く。感じてくれる事がひどく嬉しい。
自分の愛撫で充血し、硬くなったぬめる先端を指でつまむ。もう片方へ舌を這わせた。
下半身へ目を向ければ、下着をつけたままのそこはしっかりと勃ち上がっていた。躊躇なくその中へ手を入り込ませれば、先走りで既に濡れていて、思わずカカシは喉を鳴らした。陰茎を手で扱くとイルカが気持ちよさそうな声を零す。唇を閉じ必死に声を出さないようにしているが、そのイルカの声が聞きたくて、すべる先端を親指で弄ればその先端は更に透明な液をたらす。イルカの首筋へ唇を伝わせれば、口から吐息のような甘い息を漏らした。
カカシは自分の下履きから張りつめた自分の陰茎を取り出す。イルカと同じように鈴口が先走りで濡れている。イルカの視線を感じてふと目線をあげると、上半身を起こしたイルカがそこを見つめていた。上気した頬に、潤んだ黒い目で。イルカに見られていると思うだけで、それだけなのに、視姦される気持ちにカカシは薄く微笑んだ。
「先生、俺のにくっつけて」
ベッドの上で膝立ちになってそう促せば、イルカは一瞬どういう意味なのか分からいと、そんな顔をしたが、理解したのか躊躇いながらもゆっくりと同じように膝立ちになる。カカシはイルカを抱き寄せるようにして自分の陰茎をイルカのものへ重ねると、手で覆うように上下に動かした。
「・・・・・・すご、」
カカシは眉根を寄せながら僅かに息を詰める。先走りの濡れた水音に合わせるように腰を動かせば、今まで感じたことのない快感に身体の芯が熱くなる。気が付けば額に汗を掻いていた。自分の中で感じる事があまりなかった本能が理性に覆い被さる。普段ならあり得ないことだと思うのに、今はそれでいいと思った。
「先生も手、動かして」
ほら。
イルカの手を掴んでその場所へ導く。その手を包むように自分の手を重ね、動かした。腰を揺らせば、イルカもまた気持ちよさそうに腰を揺らす。その顔をうっとりとした表情で見つめた。生徒達の顔が過ぎったのか、こんなの、と否定するような、背徳感を含ませる言葉に、カカシは苦笑いを浮かべるとに片方の手をイルカの後頭部へ当てる。
「今さらでしょ」
そう囁くと、薄く開いたままの口を塞ぎ、舌を絡ませた。
下から上へ突き上げるようにしていれば、互いの余裕がなくなってくる。先端を広げるように動かしていた指を離し、側面から互いの陰茎を擦りつけ、上下に激しく扱く。
「あ、・・・・・・っ、ぁ、あ、」
イルカが声を短く零した。言葉にならないイルカの声にカカシの頭もまた沸騰しそうに熱くなる。それから間もなくイルカは短い嬌声の合間に腰を震わせた。カカシの目の前で、腰を震わせる度に、イルカの鈴口から精液が勢いよく吐き出される。それを見ていたら、まだ保つと思っていたカカシもまた高ぶった気持ちに射精感が一気に高まる。短い呻きと共にイルカや自分の手を汚していた。
自慰なんて幾度となくした経験はあるのに。こんな頭が真っ白になる事なんてなかった。いつものような倦怠感が纏うものの、甘い感覚が下半身の奥にまだ溜まったままで。カカシはイルカをベットへと押し倒す。長い夜になりそうだと、イルカが感じたのかは分からない。それでも、カカシは持て余した熱をこのまま終わらせたくなくて、イルカへ口づけた。
最後は本当に本能だけが機能していたように思う。
イルカの髪に鼻を押し当て、その匂いを肺に吸い込み、中で果てたいと言う感情のまま腰を動かした。
身体は普段使わない筋肉を使ったからだろう、それなりに疲労感はあるが、満たされたものの方が大きい。
目を開けるとそこは自分の部屋で、ベッドの上で。顔を横へ向けるとイルカが同じようにベッドに身体を横たえたまま、こっちを見ていた。
寝起きでぼんやりとした思考のまま、ああ、そうだ。と昨日の出来事を再生しながらイルカを見つめていれば、
「寝坊しちまいました」
そう口にした声はいつもの張りのある声ではなく、掠れている。無理をさせたのは誰でもない、自分だ。初めてだって知っていたのに。カカシは笑った。ごめん、と言いながら身体をゆっくりと起こす。時計へ目を向けた。自分も時間にはまだ余裕があるが、任務が入っている。
機能し始めた頭で一日の予定を浮かべながら、先生さあ、とカカシは口を開いた。
「またいつ会える?」
今日とか、明後日とか?と言いながらイルカへ顔を向け、目にしたイルカの驚いた表情に、思わず言葉を止めていた。何か変な事でも言っただろうか。
なに、と言い掛けるカカシに、イルカの表情が少し和らぐ、すみません、と笑って額の辺りに自分の手を乗せた。
「カカシさんって、一体どうしたいんだろうって、」
少しだけ悲しそうに、でも可笑しそうに笑うイルカのその台詞は、その表情と合致するには十分で。ああ、と思わず、カカシからそんな声が漏れた。銀色の髪をがしがしと掻く。
「俺なんかでよかったら」
「・・・・・・え?」
額に乗せていた手を退け聞き返すイルカを、カカシは見つめ返した。
「あんたの事もっと知りたい。・・・・・・駄目?」
慣れない状況に、それでも言葉を選びながら、自分の素直な気持ちを口にすれば、イルカは笑った。さっきはともかく、今はそんな可笑しい言葉を言ったつもりはない。それでも、イルカはくすくすと笑い、そして、カカシへ顔を向ける。
「いいですよ」
それは、今まで見てきた何倍も穏やかで可愛いイルカの笑顔だった。
<終>
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