好きを知ると言う事。

まだ明るい部屋の中。布団を敷かれた上にイルカは組み敷かれていた。
四つん這いで腰を掴まれ、後ろから激しく突かれる。
「あ、...はぁっ...うっ...」
昼間で隣は誰もいないと分かっているが、薄い壁には違いない。必死に口を塞いでいるのに声が漏れる。イルカは眉根を寄せて奥歯に力を入れた。
「...っ、なに...締めないでよ」
そっちに力を入れたつもりはなかったが。言われた言葉に、イルカは否定するように弱々しく頭を振った。
「ちが....んっ..っ」
が、また奥まで突き入れられて、イルカは声を漏らした。熱く太いかたまりは容赦ない。いやなのに、どうしようもなく気持ちいい。
流れる唾液が枕を濡らす。
その様を後ろから眺めているカカシが、笑いを零したのが聞こえた。
それ以上なにも口にはせず、カカシはただひたすらに腰を振り快楽を貪る。
いつもそう。彼はこの行為に熱中する。昼夜関係ない。シたいときにここにくる。
いや、ほとんど一緒に住んでいるのと変わらないんだけど。
お互いにまだ若い。
そう思って見るも、やはり頭を掠めるのは後悔だった。
同い年で友人で。そんな関係だったカカシは階級が違うが気の合う友達だった。
二十歳を過ぎて酒を覚え、そこまで酒に弱くないイルカは、自分より酒が弱いカカシをよく誘った。
金がないからと家飲みが多く、最初はそれだけだったのに。
飲んで話をしていて。ふと目が合った次の瞬間、カカシに押し倒されていた。
驚き目を丸くしたイルカに、カカシはハッと我に返った。
「ごめん」
そう言って跨いでいた脚をどかす。
どんな意味で自分を押し倒したのか分からないけど、自分は酔っていた。そのまま身体もどかそうとしたカカシの腕を、イルカが掴む。
カカシは驚いた顔をした。
「なんだ。続きしないの?」
自分は挑発的な言葉を吐いていた。
もちろんそれは、これ以上の事は出来っこない。するはずがないと、高を括っていたからで。そこで笑って終わり。そうなるはずだった。
同い年の友達だったし、お互い二十歳になったばかりで、まだ考える事は幼稚だった。自分はただ、気持ちの背比べをしたかっただけなのだ。
それなのに。そんな事を言った瞬間、カカシの目の色が変わった。
そこから自分が挑発した通り、カカシはイルカを床に押し倒し、やめろと言ってもやめなかった。いや、カカシの耳に届いてなかった、のが正しいのかもしれない。
カカシは後ろを性急に慣らして、自分の猛った熱をねじ入れた。
最初痛かったけど、繋がった事に不思議と嫌悪感はなかった。カカシはどうなのか気になったが、やめないと言うことは同じなのだろう。
それに、カカシは女慣れしてるはずなのに、自分を扱うカカシはぎこちなくて。熱に浮かされている顔を見たら、どうしようもなく身体と心が疼いた。その気持ちは何と言ったらいいのかよく分からないけど、その何かに、心が、身体が満たされた。

ーーのは、自分だけだったのか。

それからカカシは自分を身体の繋がりを求めるようになった。
そう、身体の繋がりだけを。
善い箇所を突かれてイルカは眉を寄せる。その快感に思考が引き戻された。
ぱんぱんに腫れた亀頭が奥を押し広げ、気持ちよさに目に涙が浮かんだ。
自分が熱を吐き出すと同時にカカシも身体を震わせ再奥に熱を注ぎ込む。
解放され腰からカカシの手が離れ、イルカはぐったりと身体を布団にうずめた。
そこから呼吸だけを整えるように、ぼんやりとしていれば、カカシはイルカを覗き込み、自分の視界に入り込んでくる。
カカシは薄っすら額に汗を掻いていた。
「どうしたの?」
行為が終わってからだたひたすらに何も言わないイルカに、カカシが問う。
「...別に...」
「気持ちよくなかった?」
見当違いの台詞に、イルカは不機嫌そうに眉を寄せた。いいか悪いかって聞かれたらいいに決まってる。
抑えても声が漏れたくらいに。
ただ、自分が言いたいのはそんな事じゃない。
でも。
だからと言って、カカシに何て言ったらいいのか。
酔った弾みから始まったこの身体の関係とは言え、自分が仕掛けた事とは言え。
カカシとこんな関係を求めてなかったのは事実だ。
まさか心を許していた友達が、自分のセックスフレンドになるなんて。
後悔の波は常時イルカを襲っていた。
こんなに自分は悩んでいるのに。何も考えていないようなカカシに腹が立つ。
だから、なかった事にして、身体の繋がりを持つ関係を取り消してしまいたいのに。
求められると、どうしても拒めない。
眠いから、とか疲れてるからとか言ってみても。
少しだけ。
そう甘えた声で強請られて、結局自分は許してしまっている。
そんな心知る事がなく、不思議そうな顔をするカカシを見たくなくて、イルカはごろりと身体の向きを変えた。
「もう寝る」
「え、まだ昼間なのに?」
背中でそう言われる。
昼間っからこんな体力使わせたのは誰だよ。
そう悪態つきたくなるが、何言っても仕方がない。
イルカは諦めて目を閉じた。上半身を起こしていたカカシの視線を背中で感じたが。やがて部屋の窓を開けた音が聞こえたかと思うと、カカシもイルカの横に身体を横たえた。
腕が伸びイルカを引き寄せる。
窓から入る風の匂いと一緒にカカシの匂いがする。
さっきまでの行為が嘘のように、入り込む風は爽やかで、心地良い。
ぴったりとくっつくカカシから心音が聞こえる。
それを聞いていたら、そこまで眠くなかったのに簡単に眠気がイルカを包む。
イルカは誘われるまま目を瞑った。


数日後、イルカは火影の遣いで同僚と商店街にいた。
里でなかなか手に入らない酒。視察で訪れる先の相手に渡すのだと言う。
長く里の長に就いている事もあり、親交が深い街も多い。
その里の名酒、一升瓶数本。風呂敷に綺麗に包まれているそれを持ち持って同僚と歩く。
「これ一回でいいから飲んでみたいよな」
イルカの台詞に同僚が頷いた。自分の今の給料じゃとてもじゃないけど手が届かないし、入手は難しいのは分かり切っている。
「まあ、これ持ち逃げして里抜けしても、なあ」
その冗談にイルカも笑う。
ふと視線の先、少し離れたその道の先にいるカカシに、イルカは思わず同僚を引っ張り路地裏に入った。
なんだよ、と訝しむ同僚を無視して表通りを見ていれば、すぐに声は聞こえてきた。女の甘ったるい声。
表通りを歩き、路地裏の前を横切ったカカシは、やはり女を連れていた。
その女はカカシに腕を絡ませて身体をすり寄せている。
最近、カカシが女を連れて歩いているのを見かけた事がなかった。
それはたまたま見かけていなかったって事で。
自分に関係ないはずなのに。それだけの事でむかむかとした気持ちにイルカは眉根を寄せた。
時間的に大勢の人が商店街を往来している。同僚は、イルカがカカシに反応したとは気がついていない。
「まだ行かねえの?」
「悪い。じゃあ...行くか」
聞かれて、イルカは薄く微笑んだ。



その夜カカシは家に来た。
いや、来たと言うか勝手に入ってきたが正しいが。カカシが任務明けでくるのは大体夜中か夜明けか。暗部にいるのだから仕方ないのだろうが。
気持ちよく寝ていたイルカは、カカシが入ってきた物音で目を覚ました。
いつものようにそのままシャワーを浴びに浴室へ消える。
自分の家で済ませばいい事だし、ここにわざわざ来なくても。
そう思うが、寝たふりをしている手前、そうも言えない。
シャワーを浴びたカカシは、自分に手を出して来るかと構えてみたが。今日は珍しく、そのまま床に就いた。
そしてまた背中から自分をぐいと引き寄せる。
逞しい腕に包まれ、引き離そうと思ったが。
すぐに定期的な寝息がイルカの耳に聞こえ、仕方なくイルカもそのまま眠った。

「おはよ」
昼近くになった頃、カカシは起きてきた。
「...おはようってもう昼近いんだよ」
「まあね」
そう返せば、カカシは眉を下げて微笑んだ。
頭を掻くカカシを見ると、寝癖のような銀色の髪がさらにぼさぼさになっている。お互いの休日はそんな被る事はないが。そうか、今日はカカシも休みらしい。
「イルカも休み?」
ぼんやりしたままのカカシに聞かれ、テレビを見てくつろいでいたイルカは、頷いた。
「まあね」
「ふうん。俺も」
カカシはそれだけ言うと、イルカの横に座る。
そう、今日は休みで、天気がいいから布団を干したかったのだ。
たたき起こしても良かったけど、気持ちよさそうに寝ているカカシの顔を見たら出来なかった。
イルカは腰を上げ立ち上がり、寝室へ向かう。起きてそのままになっていた布団を持ち上げた。開けた窓から布団を干す。
風もなく穏やかな太陽の暖かな光に、イルカは目を細めた。
気持ちがいい休日のはずだが。
気持ちはこの天気のように晴れやかではない。
浮かぶのは昨日見かけたあの情景。
どうでもいいはずなのに。
イルカはため息を吐き出してキッチンへ向かった。
「あ、飲み物?だったらコーヒー煎れて?」
そんなカカシの声に、イルカは足を止めカカシへ振り返った。
「やだね」
そんな事でいつもなら腹なんて立たないのに。突っ返すような言い方にカカシは首を傾げた。
「えーなんで?」
「何でって、今何時だと思ってんだよ。もう昼飯の時間だろ?」
帰ってきた時間も分かっているから、攻める必要はないはずなのに。冷たく言ってしまっていた。
カカシはそこまで気にせず壁に掛かっている時計へ視線を向けた。
「あー、ホントだ」
「大体...カカシは自分の家に帰ればいいだろ」
イルカはそのまま背を向けキッチンへ向かう。
冷蔵庫を開けた。
昨日作った煮物の残りと、あと何か適当に作ればいいか。
冷蔵庫の中を暫く眺めてみるも、頭が回らない。
取りあえず、と、イルカは冷蔵庫を閉めるとヤカンに水を入れ火をかけた。
なんだかんだでカカシの為にコーヒーのお湯を沸かしてしまう自分が嫌になる。
居間に目を向ける。テレビをかけたままだった。それをカカシが見ているのか。テレビの音が聞こえてくる。そのテレビから聞こえる楽しそうな笑い声が無性に空しく聞こえる。それがまるで自分とカカシとの温度差のようにも感じる。
イルカは居間に戻る気になれず、ぼんやり狭いキッチンを眺めて、シンクの汚れが目に付いた。
何も考えたくない。
イルカは思いつくまま、清掃用のスポンジを手に取り、シンクを洗う。
何も考えずに無心で何かをしているのは、実にいい。
「イルカ」
その声に身体がビクリと跳ねた。
首を捩って見れば、カカシが背後にいた。自分と同じジャージ姿で立っている。
「何してんの?」
「...見れば分かるだろ?掃除」
「ご飯作るんじゃなかったの?」
「...いいだろ、別に」
イルカは首を戻してシンクを再び洗い始める。
「何の用だよ」
「ああ、コーヒーをもらいに」
その台詞でお湯を沸かしているのを思い出した。ポットに入れる為に多めに水を入れたヤカンは、もう少しで沸きそうだ。
「だったらもうすぐ沸くから」
言い方が可愛くないと、自分でも思った。いや、可愛いと思われたくもないが、トゲのある言い方は確かだ。
カカシもいい加減どうしかたと聞いてくるかもしれない。
この勝手に作った険悪な空気を変えたくて、イルカは口を開いた。
「そういえば、昨日デートだったろ」
後ろにいるはずなのに、返事がない。
イルカが首だけ後ろを向けば、カカシがぼんやりした顔でこっちを見ていた。
「デート?なにそれ」
そんな言葉すら知らないような口振りに、苛立ちがイルカに芽生える。
「デートはデートだろ。昨日、女と歩いてたの見たからさ」
笑いを零しながら言って顔を戻す。
我ながらさりげない言い方だと思った。
「最近女連れて歩いているの見てなかったから、安心した」
それもさらりと口から出せた。とんとんと、心音は軽快に鳴っている。
「...ああ、あの女...イルカ見てたんだ」
カカシが呟くように言った。
「あれね、最近全然相手してくれないって、なんか駄々こねられて。面倒くさいから仕方なくお昼一緒に食べただけだよ?」
面倒くさい。
その一言はなぜか自分の胸に突き刺さる。
「面倒くさいって、」
「それより安心したって、なに」
言葉を遮られていた。
少しだけ強い口調のカカシに、背中を向けシンクを洗いながら、どう答えようか考える。
「だって...そりゃそう思うだろ?女とつき合ってるのが普通だからさ」
「そんな風に思ってたの?」
あれ、そんな風って、俺が思ってる風でいいんだよな?
自分が想像していた事とは違う台詞を続けるカカシに、イルカは内心狼狽した。確認するように、口を開く。
「だって、...俺とは身体だけのつき合いだし、それだけだったらやっぱり心配って言うか、」
「ちょっと待って」
水を流そうと水栓を開けた途端、肩を掴まれてぐいと前を向かされた。
色違いの目がじっとイルカを見つめる。
「なんだよ」
「あれはデートじゃないし、つき合ってもない。そう言ってるじゃない」
思った以上の真剣な眼差しに、イルカは黒い目でカカシをじっと見た。
「それに、イルカと俺が身体だけのつきあいだって、それ本気で言ってるの?」
目の際がじりじりする。瞬きさえ我慢してカカシを見つめ返した。
「....だって...そうなんじゃないの?」
あんな事ばかりしておいて、何を言い出すのだろうか。自分の都合のいいように身体を重ねてきたくせに。
「違うよ。好きだからでしょ?」
目を丸くした。
当たり前のように言われて、イルカは頭が混乱する。そのままカカシを睨んだ。
「何だよ...それ。カカシが何考えてるのか全然分からない」
好きって。そんな事を言うなんて。
あんな行為に、そんな意味があるんなんて、到底理解できない。
イルカは可笑しくないのに笑っていた。
「何で笑うの?」
「だって...今までの事思い出してみたらさ。好きだって言うなら、なんかおかしいって思うだろ」
「でも好きだからしてたんだけど」
好きと言われて嫌な気持ちにならないが、それは驚くばかりだ。愛情のあるセックスって、経験ないけど、それくらいは分かってるつもりだ。
「そうじゃなくって」
「もしかしてもっとして欲しかったとか?」
間違った方向に進んでイルカは慌てて首を振った。
「違うっ、そんな事じゃなくて。その...行為に対する内容が、」
「内容?」
こんな事を説明しなければいけないのだろうか。話してる事は馬鹿げてるのに、カカシの目は至って真剣だ。
わざわざ口に出して言う事じゃないだろう。
でも、カカシは本当に分かっていない様子に、イルカは仕方なく口を開いた。
「だって、あんなの...愛し合ってるって言うんじゃないだろ?相手が好きなら...キスとか他の事をもっと...するべき事が...足りないって言うか...」
「していいの?」
面と向かって聞かれ、一気に赤面した。そんなイルカにカカシは続ける。
「今まで女としてきただけだけど、セックスってそんなもんだとばっかり思ってたから。キスしたかったけど、イルカはそれだけで満足してるのかと思って」
「そんな訳ないだろっ」
思わず言い返していた。カカシは目を開く。
勘違いも甚だしい。それに、この関係に自分にカカシの気持ちが向いていた事すら分からなかった。
何も、言葉がないまま始まった関係は、何も存在しないものだと、割り切るしかないのだと、思い込んでいた。
それなのに、カカシは自分を好きだったなんて。
女慣れしているのに、変に世間ずれしているカカシが無性に可愛く見える。
その可愛いと思ったカカシがふっと近づき唇を塞いだ。急で驚き目を丸くするが、柔らかいカカシの唇が何度も重なり、そこからぬるっと舌が割り込んできた。
話し合いはしたが、今そんな状況じゃないだろ。
そう言い返したいがカカシのキスが余りにも気持ちよくて目が潤んでくる。
長い口づけに息が苦しくなりふ、ふ、と鼻で息をすれば、カカシの口が離れた。そこから自然に項に移動する。
今までにない流れに、未だ頭の整理が出来ていないイルカはそれだけで身体が震えた。優しく薄い肌をカカシに吸われて、背中が甘く痺れる。
胸の先端が堅くなったのが分かった。
そこは今までカカシが触れる事はほとんどなかった。
だから、油断していた。
ジャージの上からカカシの指が硬く尖ってきたそこに触れる。
「あっ、ちょっと待って」
「イルカの...硬くなってる」
服の上からでも分かったのか、そう言葉で言われてまた顔が熱くなった。
思わず身体を引くが、カカシのもう片方の手が背中に回り固定された。
「変なイルカ。今さっきそれ意外の事もして欲しいって言ってたのに」
平然と言ってするりと手を服の裾から入り込ませた。少しだけ冷たい指がイルカの肌を這い、今度は直接胸の突起を掴んだ。
「あ...っ」
さっきより大きい声が出て、自分でも驚く。カカシは親指の腹で硬くなった場所を潰すように擦った。
敏感になった箇所に与えられた刺激は大きい。身体が勝手に前のめりになる。それを支えるようにカカシは抱く腕に力を込めた。
後ろから水が溢れ出す音が聞こえた。
ああ、そうだ。言い争っているうちに忘れていたが、まだ水栓をひねったままだった。
排水溝は閉じていた為、そのまま当たり前にシンクから水が溢れてきている。
「み、水...」
言うもカカシにまたしても声が届いていないのか。
服をめくり上げられ、唇で吸われる。動く舌に勝手に息が上がってくる。
唾液で濡れたその箇所にカカシの指が再び触れた。ぬる、とさっきと違う感触に背中が震える。
「さっきより硬くなった」
自分の知識の中で、こんな事でこんな感じるとは思ってもみなくて、今まであったはずなのに、カカシに見られている事にも恥ずかしさがこみ上げる。
「待って...カカシ、ちょっと、待って」
「何で?気持ちよくないの?」
「そうじゃなくって...っ」
胸の刺激に耐えられなくなりそうで、イルカは眉根を寄せた。
言ってもカカシの手がひたすらに胸をまさぐられて、息は乱れ上手く言い返せそうにない。
ヤカンの沸騰し蒸気を吹き出す音や、足下を濡らしている水に、カカシは気にする素振りさえない。
「イルカ」
耳元で名前を囁かれ優しく耳たぶを噛まれぞくぞくと背中が震えた。それは下半身を強く刺激する。嫌な予感が過ぎってイルカは苦しそうに息した。
自分の過剰なまでの反応に、内心驚き、なんとかカカシをやめさせたいが、カカシは首もとに愛撫を繰り返しながら、胸をしつこく触られ、ますます身体が高ぶってくる。身体が熱い。
カカシに必死にしがみつくが足下がふらついてしまう。
「本当にもう...やめ...んっ」
抵抗する口を、再びカカシの唇が塞いだ。
唾液が多くなった口内はとろとろで、その中をカカシの舌が荒らす。
その熱い舌で舌を絡ませられ、同時に胸の先端をを強く摘まれ、一気に下半身の甘い痺れが突き上げてくる。
だめと言おうにも、口は塞がれているし、胸の刺激に足腰に力が入らない。潤んだ目をぎゅっと閉じた。
頬が熱い。身体も、下半身も熱く疼く。それが酷くもどかしくなった。揺れそうになる腰が何とも嫌になるがカカシはやめない。
涙がこみ上げてくる。
「ん...っ、んっ....、んーっ...」
我慢しようとしたが無理だった。
解放されることなく苦しく張りつめたそこが濡れるのが分かった。涙が頬を伝う。
一気に身体の力が抜け、足下から崩れ落ちそうになり、口づけをやめたカカシがイルカの身体を腕で支えた。
がくんとうなだれ、肩で息をしているイルカをゆっくり床に座らせる。当たり前だが、水で濡れて脚も尻も冷たくなる。
それは裸足のカカシも同じはずだが。
だが、それはもうどうでもよかった。
自分の今起きてしまった事に頭が真っ白になっている。
「...イルカ?もしかして...あれだけでイっちゃったの?」
のぞき込まれて言われて火照った顔がさらに熱くなった。
あれだけで、なんて言われて悔しくもなるがそれは事実だった。キスをされ、胸をいじられただけで、下着を濡らしてしまった。
達したのに、下半身は未だ余韻にびくつくし、胸はまだ硬くひりひりする。
カカシの顔を恥ずかしくて見れない。唇を噛むイルカをカカシは眺め、
「ああ、ガス...と水...」
今更ながらにその状況に気がついたのか。立ち上がると、カカシは水栓を止めガスを止める。
「イルカ」
呼ばれ上目遣いでカカシへゆっくり顔を上げて見れば、優しそうな目でこっちを見つめていた。
「布団にいこ?」
手を差しだし、泣きそうなイルカに慰めるように優しく言う。一回達したがまだじくじく熱を持っている。
イルカは素直にこくんと頷き腕を伸ばすと、カカシはイルカの手を掴んで力の入っていない身体を抱き抱えた。
奥の部屋に入って布団が干されている状態に気がつく。
「ちょっと待ってて」
了解を待つわけでもなくカカシはそう言うと畳の上にイルカを寝かした。
布団を部屋の中に引っ張り込み、窓を閉める。そして上半身を起こして見ていたイルカの手を取り布団の上に招いた。
まだ干して間もないはずなのに、布団は暖かく太陽の匂いがする。
「太陽の匂い...イルカの匂いと一緒」
そんな事を嬉しそうに言われてイルカは頬が赤くなった。
カカシはそれを上から見下ろしながら、目を細める。
「ねえ。イルカもちゃんと言って」
「...何が」
「俺を好きって」
あんな説明をした相手に向かって今更だろ。困った顔をすると、カカシの顔が不安そうに変わった。
「...カカシが...好きだよ」
消えそうな声で言うと、ふわとカカシの顔がほころんだ。胸がきゅうと締め付けられた。腕が回され抱き締められる。
「俺も。ずっと前からイルカが好き」
それは初めて聞いたカカシの本音だった。でもきっと本当にそうだったんんだろう。
こんな関係になって初めて気づいた俺も俺だけど。
これで良かった。
カカシと友達のままでそれはそれで良かったのかも知れないが、カカシの気持ちを知れて、それ以上の親密な関係になれて、すごく幸せだ。今まで経験した事のない満たされた気持ちに、イルカは心からそう思った。

<終>


賽の目屋pinさんのイメージイラストです!!「好きを知ると言う事。」からイラストを描いてくださいました。
エロをリベンジしたい!と書き始めたのですが。20歳設定で書いて良かった!こんな可愛いカカイルを描いてくれるなんて!イルカの色っぽい感じが...!項が❤カカシの表情がか・わ・い・い!!2人の部屋着になりたいです。
イラストを2つ描いてくださり、どちらも違う雰囲気で選べなかったので2つ、雲さんに捧げる事になりました!!
雲さんおめでとうございますーー!!

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