+α

同僚が書類を持ち席を外した部屋で、イルカは一人報告書を受け取り、確認をする。
報告書を受理すると上忍が出て行き、入れ違いで入ってきたのはカカシだった。
イルカの元へ真っ直ぐ歩いてくる。
「お使い様でした」
「うん」
ニコリと微笑むカカシの視線は優しい。二日ぶりだった。カカシが任務で里を出ていたのだから、仕方ないが。
それだけで心が弾む。それを悟られるのはやっぱり恥ずかしい。
報告書には特に不備はない。確認を終えて顔を上げると、カカシが僅かに屈んだ。
「先生、今日家に行ってもいい?」
何気なく、カカシは囁く。
途端。イルカの顔が真っ赤に染まった。分かりやすいくらいに。
家に来ていいか聞いてきただけなのに。過剰に反応するするつもりもなかったのに、止められなかった。
イルカの反応に少しだけカカシは驚き、どんな意味で顔を真っ赤にしているのか、分からないわけがない。
眉を下げ、困ったように小さく笑った。
「行っても、いいんだよね?」
「……はい」
こくりと頷けば、カカシはまたニコリと微笑みを返す。
「じゃあまた」
カカシが出て行き、その背中を見送り。イルカは机に顔を伏せた。
もーーーっ、と心で叫ぶ。
俺、バカ。
額を机にぶつける。
情けない。
カカシの困った顔を思い出すだけで居たたまれなくなる。
あんな反応すりゃだれだってああなる。そして、連鎖反応のようにカカシも苦笑しながら白い肌を赤く染めていた。
って事は。
やっぱりそう言う事だよな。
ぐうう、と手に力が入る。
でも、これは正直カカシのせいだ。
数日前に付き合って初めて身体を繋いだ。
初めてだからだろうか、カカシは優しくて、ゆっくりと丁寧で、自分はそれに身を委ねた。
結果から言うと、滅茶苦茶良かった。
前戯からとろとろになった。
自分からあんな声が出るなんて思わなかった。思い出しただけで耳を塞ぎたくなる。
でも、本当に気持ちよくて、カカシの長い指で触れられる全てに反応した。
女みたいに喘いだ。
カカシとのセックスを想像はしたが、こうなるとは思ってなかった。
にしても、やっぱりさっきの自分のアレはない。
後悔したところで、だからと言って違う反応が出来たのかと問えば、答えはきっとノーだ。
自分が単純だと思い知る。
夜どんな顔して会えばいいのか。
イルカは顔を赤らめながら両腕の中に顔を埋めた。


「イルカ先生」
布団に入りまだ座っているイルカにかけられる声。はい、と答える前にカカシに後ろから抱き締められた。
銀色の柔らかい髪が首元にかかる。自分と同じシャンプーの香り。それがカカシの髪から香っただけで堪らない気持ちになった。
「しても、いい?」
昼間にあんな顔を晒してしまったのに、カカシは律儀に聞いてきてくれる。それが、嬉しい。
頷くと、カカシの指が服の上から胸を探り、触れる。イルカは眉根を寄せた。
頸に愛撫を施し、手がパジャマの上着の裾から入り込む。直に這うカカシの指に堪らず声が漏れた。もう片方の手がパジャマのボタンを外していく。
これからされる。その期待感がイルカの心音を早まらせた。
後ろから包み込むように抱き込まれながら胸の突起を摘まれ腰が揺れる。既に先走りで下着が濡れているのが分かっていた。既に下着の下で陰茎を固くさせ、先を濡らし腰が揺れる。
直接触って欲しい。それが分かっているかのように、カカシが後ろから膝立ちをさせ、パジャマのズボンを下着ごと下ろす。
外気に晒される。カカシの喉を鳴らす音が聞こえた。
「もうこんなになってる」
羞恥に顔が熱くなった、
「言わないで」
「俺を好きだからでしょ?いいじゃない」
囁くとかカカシはクスリと笑ってイルカの髪に顔を埋めた。ゆっくりと息を吸い込む。
「カカシさん、俺も」
「いーから」
直ぐにかかしの手のひらに包み込まれる。濡れた音が部屋に響いた。自分の勃ち上がったそれを後ろから見られ触れられているのは恥ずかしいのに、気持ち良さに喉が引き攣った。
「んっ……んっ、んっ……っ、」
前を扱かれながら胸を触られ、目に涙が溜まる。
「ね、先生。一回これでいかせていい?」
「……え……、な、んで……?」
カカシの手の動きに夢中になっていて、返事が遅れた。
カカシがゆるゆると手の動きを緩めた。ゆっくりにした分だけ、ぐちゅぐちゅと水音がまた大きくなる。
「先生がいくとこが見たい」
ね?頸に愛撫をされ、軽く吸われる。また鼻から甘い声が漏れた。
「そんな、」
戸惑うも、カカシの手が強く陰茎を擦り上げた。
「こんなに濡らして、腰を振って、すごくエッチ」
「だから言わないで……っ、」
柔らかい先の部分を固い指の腹で、ぬめりを楽しむかのように擦る。
「エッチでいてよ。すごく興奮する」
追い上げられ堪らず後ろにいるカカシに手を回す。その手をカカシが掴み指を絡ませた。
首を捻ったイルカに唇を重ね、震える吐息を奪い合うようにキスをする。
恥ずかしい事を事無げに言ってしまうカカシは狡い。
翻弄されっぱなしだ。
甘い囁きも厭らしい言葉も。
自分を求めるカカシの指も唇も。
愛おしくて仕方がなくなる。
そして、満たされる。
幸せで満たされ、またそれが欲しくなる。
セックスが恋愛の一部なんだと実感する。
だから、カカシにまた家に来ていいと聞かれたら、好きだから。受け入れたいから。
そして満たし合いたいから。
俺はまた顔を真っ赤にして頷く。
広げられた足を震わせながら、イルカはカカシの手の中に射精した。


まだ汗がひかない身体を横たえていると、カカシが水上入ったグラスを持って部屋に戻ってくる。
「どうしたの?」
ぼんやりと見つめるイルカを、カカシは不思議そうに見つめた。
「カカシさんて、……上手いですよね」
予想していなかったのか、カカシは目を丸くした後、どう受け取ったらいいのか分からない顔をした。
「それって……褒めてる?」
「ええ、まあ」
起き上がり腕を伸ばしてグラスを受け取ると、カカシはまだ複雑な顔をしていた。
イルカはグラスの水を一口飲みながら、計るようなカカシの眼差しを受けて、視線を外す。
単純な思考が顔に出てしまっているのは分かっている。
「そりゃ経験豊富なのは分かってますけど。ただ、」
「ただ?」
「……笑わないですか?」
カカシはイルカの隣に腰を下ろした。目線の高さを合わせる。
「笑わないよ、何?」
「ただ、カカシさんは……ああいうのも今まで付き合ってきた人にやってきたのかなあ、とか、」
語尾が自然小さくなる。でも、だってそうだ。あんなメロメロにされたら、そんな事が嫌でも頭をかすめる。
カカシがキョトンとする。そしてゆっくりと息を漏らすような笑いを零した。
「ああ……」
「笑った!」
「違うよ、確かにそうだなって思っただけ」
抗議の声を上げられカカシはまた可笑しそうに笑い、
「ないよ、一度も。自分が出せれば誰でも良かったから」
青い目をイルカに向けた。
「不思議だね。悦くしてあげたいって思えるのは先生だけみたい」
カカシは顔を近づける。
「気持ち良かった?」
目を丸くさせたあと、イルカは頬を赤く染めた。
「まあ……、そりゃあ……」
「じゃあもう一回しよーよ」
「え、」
またしてもうっかり顔を赤らめたイルカに、カカシは目を細める。愛おしそうに。
部が悪いと思うも、嬉しいのは事実で。
近くカカシの唇にイルカは薄く口を開いた。


<終>
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