2021「クリスマス」②
休日の昼下がり。隣に座っているイルカがテレビを見ながら笑っている。手にはポテトチップス、コタツには飲みかけのお茶。
忍びは身体が資本で鍛錬もするが、休みの日だけはこうして好きなものを適度に飲み食いしながらダラダラ過ごす時間がストレス発散になると話していた通り、イルカは隣で寛いでいる。
知り合った当初、お堅い教師なのだとばかり思っていたイメージは最初だけで。一緒にいた上忍仲間の冗談に笑うイルカの人好きする笑顔を見て、自分にも向けて欲しいと思ったのがきっかけでそこから話しかけるようになった。
積極的な自分に内心自分自身驚いたがそれが功を奏し、知人から恋人に昇格したのはつい最近。 頑固なのは変わらないが。なにより笑顔が可愛い。
くだらないとも思えるテレビの内容にゲラゲラ笑うイルカを、カカシは横目で見る。寛いでるイルカを近くで見ることが出来るのは恋人である特権だと分かっているが。
でもなあ、とカカシは心の中でため息混じりに呟く。
付き合い始めても、イルカのこの友人の時と何ら変わらないのはどうなんだろうか。
いや、親しくなったのだからこれはこれでいいんだと思うが、そうじゃなくて。なんかこう、せっかく二人で休日を過ごしているんだから、イチャイチャとまではいかなくとも甘い空気が流れたっていいはずなのに。あ、いや、イチャイチャしたいのか。
途中で自分の思考を否定したカカシはまたそっとイルカを見つめた。
だって今日はクリスマスなのだ。クリスマスだからってわけではなくいつだってそうしたい。そして今日はクリスマスを理由にイチャイチャ出来る絶好のチャンスだと思っていたが、それは自分だけだったのか。
すぐ触れられる距離にいるのに。
恋人だから触れてもいいんだろうが、中々イルカの作る雰囲気がそうさせないからイライラが募る。
そういう雰囲気に持っていくのは得意だったはずなのに。好きな人を前にするとこうも上手くいかないものなのか。
どうしようか考えている間にも、隣のイルカは見ていたテレビ番組のCMの合間だからだろう、お茶をお代わりしようとコタツから立ち上がろうとするのを見たら、カカシの口が開いていた。
「したい」
その言葉に、腰を浮かせたイルカが動きを止めた。こっちにイルカが顔を向けるから、当然視線が重なる。
「えっと、何を?」
「セックス」
イルカの目が僅かに丸くなるが構わなかった。
こんな真っ昼間から何を言ってるんだと呆れられるか笑われるか。どちらにしろ言わなきゃ伝わらないのだから仕方がない。
「セックスしたい。先生と」
まるで子供が、ご飯を食べたい、と言っているようなニュアンスが自分でも滑稽だと思うが、仕方がない。
包み隠さず自分の意思をハッキリと口にするカカシに、イルカは当たり前だが驚いたた顔をする。
その驚いたままの開きかけの口がグッと結ばれ、そして再び開く。
「俺もです」
聞き間違えかと思った。
だって確かにしたいとは言ったけどそれは自分だけで、だからそんな言葉がイルカが出るとは思ってなくて。
それに、さっきまでのテレビを見てお菓子を食べながらゲラゲラ笑っていた顔が一変して頬が赤らみ恥じらう表情に、目を見張る。
キスだってまだ数回しかしてなくて。タイミングがなくて手だってまだ繋いでない。
それに、きっと先生の事だから上か下かとかすら分かってないと思ってたのに。
色気が滲む黒い目に眩暈に近いものを感じる。
さっきまで五月蝿いとすら思っていたテレビの音は遠くに聞こえて。
ついさっきまでの自分の葛藤はなんだったのか。
既に覚悟を決めたイルカを見つめ返しながら、カカシはゴクリと喉を鳴らした。
忍びは身体が資本で鍛錬もするが、休みの日だけはこうして好きなものを適度に飲み食いしながらダラダラ過ごす時間がストレス発散になると話していた通り、イルカは隣で寛いでいる。
知り合った当初、お堅い教師なのだとばかり思っていたイメージは最初だけで。一緒にいた上忍仲間の冗談に笑うイルカの人好きする笑顔を見て、自分にも向けて欲しいと思ったのがきっかけでそこから話しかけるようになった。
積極的な自分に内心自分自身驚いたがそれが功を奏し、知人から恋人に昇格したのはつい最近。 頑固なのは変わらないが。なにより笑顔が可愛い。
くだらないとも思えるテレビの内容にゲラゲラ笑うイルカを、カカシは横目で見る。寛いでるイルカを近くで見ることが出来るのは恋人である特権だと分かっているが。
でもなあ、とカカシは心の中でため息混じりに呟く。
付き合い始めても、イルカのこの友人の時と何ら変わらないのはどうなんだろうか。
いや、親しくなったのだからこれはこれでいいんだと思うが、そうじゃなくて。なんかこう、せっかく二人で休日を過ごしているんだから、イチャイチャとまではいかなくとも甘い空気が流れたっていいはずなのに。あ、いや、イチャイチャしたいのか。
途中で自分の思考を否定したカカシはまたそっとイルカを見つめた。
だって今日はクリスマスなのだ。クリスマスだからってわけではなくいつだってそうしたい。そして今日はクリスマスを理由にイチャイチャ出来る絶好のチャンスだと思っていたが、それは自分だけだったのか。
すぐ触れられる距離にいるのに。
恋人だから触れてもいいんだろうが、中々イルカの作る雰囲気がそうさせないからイライラが募る。
そういう雰囲気に持っていくのは得意だったはずなのに。好きな人を前にするとこうも上手くいかないものなのか。
どうしようか考えている間にも、隣のイルカは見ていたテレビ番組のCMの合間だからだろう、お茶をお代わりしようとコタツから立ち上がろうとするのを見たら、カカシの口が開いていた。
「したい」
その言葉に、腰を浮かせたイルカが動きを止めた。こっちにイルカが顔を向けるから、当然視線が重なる。
「えっと、何を?」
「セックス」
イルカの目が僅かに丸くなるが構わなかった。
こんな真っ昼間から何を言ってるんだと呆れられるか笑われるか。どちらにしろ言わなきゃ伝わらないのだから仕方がない。
「セックスしたい。先生と」
まるで子供が、ご飯を食べたい、と言っているようなニュアンスが自分でも滑稽だと思うが、仕方がない。
包み隠さず自分の意思をハッキリと口にするカカシに、イルカは当たり前だが驚いたた顔をする。
その驚いたままの開きかけの口がグッと結ばれ、そして再び開く。
「俺もです」
聞き間違えかと思った。
だって確かにしたいとは言ったけどそれは自分だけで、だからそんな言葉がイルカが出るとは思ってなくて。
それに、さっきまでのテレビを見てお菓子を食べながらゲラゲラ笑っていた顔が一変して頬が赤らみ恥じらう表情に、目を見張る。
キスだってまだ数回しかしてなくて。タイミングがなくて手だってまだ繋いでない。
それに、きっと先生の事だから上か下かとかすら分かってないと思ってたのに。
色気が滲む黒い目に眩暈に近いものを感じる。
さっきまで五月蝿いとすら思っていたテレビの音は遠くに聞こえて。
ついさっきまでの自分の葛藤はなんだったのか。
既に覚悟を決めたイルカを見つめ返しながら、カカシはゴクリと喉を鳴らした。
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