ある日の朝

 布団から出た腕が寒い。
 うつらうつらとしながらもぞりと体を動かせば緩んでいた腕がぐいとイルカを引き寄せる。抱き込んだカカシも同じようにまだ眠いはずなのだから再び寝てしまうだろう。微睡む意識の中そう思っていたのに。カカシの腕が上着の裾から入り込み思わず身体をぎくりとさせた。
 昨夜何度も交わってぐったりと二人でベットに横になったのは何時頃だったか。久しぶりだからとそれを理由にされたら嫌だとも言えなくて、いや、自分もこうしたかったのも事実だった。出会った頃よりは互いに歳はとったが回数が減ろうとも衰えないカカシの性欲に翻弄されたのは数時間。パジャマをいつ着たのかも覚えていないからカカシが着せてくれたんだと想像はつくが。
 それくらい記憶がもうろうとしているのだから、正直自分にはそんな元気はない。
 それでもカカシの手はイルカの肌を滑りゆっくりと行くべき場所へ向かう。胸の先端を指です摘まれ、声が出そうになり唇を噛んだ。それを拒もうとするが後ろから抱き込まれていてはそう身動きも取れない。いいように乳首を触られながらもう片方の手はパンツに入り込む。
「ちょ、カカシさん、」
 そこでようやく咎める言葉を口に出したが、カカシからの返事はない。代わりに頸をちゅう、と吸われ音が出た。愛撫を繰り返しながらその気にさせようとカカシの手は動き続けている。カカシの手のひらに包まれた陰茎はまだ柔らかいのに、背後から押し付けられたカカシのそれは既に固くしっかりと形を保っていてイルカは思わず腰を引いた。カカシは逃さないと手でイルカの腰を自分へ引きつける。
 いや、待て。ちょっと待て。もう少しだけ寝かせてくれ。
 浮かぶ懇願の言葉を口に出したいのにカカシが与えられる刺激でままならなくてそうさせてくれない。代わりに漏れるのは言葉にならない言葉で。
 緩く勃ち上がってきたのを確認したカカシの手が離れ、後ろへ回った。それがどこに行くなんて知っている。
 昨夜、さんざん貪られたそこはまだ柔らかくてカカシのゆびを簡単に飲み込んだ。ゾクゾクとしたものが背中を走りイルカは息を呑む。
 馬鹿野郎と言いかけて、バカ、としか発せない言葉はどこかで聞いたAVで出てくるような台詞が出る。どう捉えたのは想像がつくが。カカシは荒くなってきた息が耳元にかかり耳の穴に舌を差し込まれ身震いした。もう互いの身体はすっかり熱い。すっかり解れた後ろにカカシの指が抜かれ。
 待って、そう言いかけたイルカは自らその言葉を飲み込んだ。
 自分も役職に就いているとは言えまだ生徒の授業を受け持っている。これを許したら、昨夜のこれで今日一日緩い腰のまま過ごす事になるのは目に見えている。
 でも。もう今日は昨夜でもなく、新しい一日が始まっていて。そして、またいつこうして交わえるのか。きっとそれはカカシにも分からないだろう。
 そう思ったら、抵抗する気持ちは何処かに失せ、入り込んでくるカカシの陰茎を黙って受け入れた。
 熱いそれがゆっくりと入り込む。満たされる気分に声にならない声が漏れた。ゆっくりと腰を動かすカカシに合わせながら自分もまた腰を揺らし。甘い声だけが口から溢れる。
 なんだかんだで自分も若いなあ、と自嘲気味に内心苦笑いを浮かべながら。唇を求めるように首を捻りカカシへ向けた。
 
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