あやまち 追記

 うわ。
 促されるままにベットに腰を下ろしたイルカの目に入ったのは上着を脱ぐカカシの姿だった。
 ようやく見慣れたと思っていた、火影の上着をカカシが脱げば、アンダーウェアの上からでも分かる逞しい身体が嫌でも分かって、心臓がドキドキと鼓動を刻む。里の皆が火影と呼ぶカカシが今こうして目の前で服を脱いでいるかと思えば、妙な背徳感と満たされる独占欲がイルカを支配する。
 釘付けになっていれば、その視線に気が付いたカカシがふっと微笑んだ。
「その気になってるのは俺だけ?」
 言われて、いやっ、とイルカは反射的に首を横に振っていて、がっついてるみたいな自分に顔を赤らめると、カカシは目を細めながらベットに足をかけ体重を乗せた。
「今更でしょ」
 思考を読まれたかのような台詞にイルカかが息を詰めると、カカシが顔を近づける。笑うカカシの口から漏れる空気が肌に触れてこそばゆい、そう思ったのは一瞬で、そこから喉仏を舐められ背筋がぞくぞくと震えた。柔らかい部分をカカシは唇でちゅ、ちゅ、と音を立てながら何度も愛撫する。
「もっと早くこうすれば良かったね」
 独り言のように言われ視線を向けると下からこっちを見た色違いでないカカシの両目と視線が重なる。
 そうですね、なんて言えなかった。
 出せる一手も、戦略すらない。自分の中でこれが精一杯で。
 困ってしまったのが目に出てしまったんだろう、カカシは優しく微笑むとその気持ちを汲むように唇を重ねる。あれからずいぶん経っていようと忍びとしての経験を積んでいようと、慣れないものは慣れない。受け入れるように拙いながらも舌を差し出すとカカシの熱い舌が絡んだ。それだけで頭の奥がじんとする。
 こんな事をしていても夢じゃないんだろうかとさえ思える。
 日の下で歩くカカシは木の葉の里の長で、皆の火影だ。
 それでも。
 今は誰のものでもない、自分のものだと、その存在を確かめるようにその腕に頬を擦り寄せると、イルカ先生、とカカシが低い声で名前を呼んだ。
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