病室の続きみたいの。
混み合った居酒屋は活気に溢れている中で、一際大きな笑い声が上がったのは奥にあるテーブル席だった。
相変わらずだな、と髭を生やした上忍が言うと、すかさず別の中忍から、そうなんですよ、と肯定の相槌が入った。
「誰にでも直ぐに喧嘩腰になるから見てるこっちがヒヤヒヤしてたまったもんじゃないです」
非難された当の本人であるイルカは言い訳するでもない不満そうな表情を浮かべながらも、面目ないです、とボソリと言いジョッキを傾けた。
同期数人で飲んでいた時にたまたま近くのテーブル席に案内されたのが上忍グループだった。その上忍グループからどうせだったら一緒に飲もうと誘われるままに合流して一時間。合流もよくある事だし、こんな話題の流れもいつもの事だが。
自分が頑固なのも重々承知していた。
ただ、自分が我慢すべきだと思ったら拳を握りしめながらも耐えるし、頭を下げる。ケースバイケースだ。
「だから女が出来ないんだって」
ズバリ同期に言われて、それはその通りでイルカは否定できなかった。仕事人間でプライベートに比重を置かないからだろう、せっかく恋人が出来そうになっても向こうから去っていく。がっくりはするが仕事に打ち込んでいればやがて忘れる。それが分かっているから、
「まあ、俺はモテないんで」
認めてイルカは後頭部に手を当てると明るく笑った。
席を外してトイレに向かう。
熱気がある空気から離れたことでイルカは一息つくように息を吐き出して小便器の前に立った時、トイレに入ってきたのはカカシだった。
アスマから合流しようと誘われた時、カカシがいることに内心驚いたのはきっと自分だけではない。敬遠しているわけではない、ただ飲み会でカカシの顔を見たのは初めてだから、驚いただけだ。
元々皆と混ざって会話をするタイプではないだろうし席も自分からは離れた場所だから、話しかける機会もなく。でも本当はナルト達の話題を振りたいし話をしたい。それは今日に限らずで、カカシからしたら迷惑なのかもしれないと思うのに顔を見たらつい口を開いてしまう。
どうも、と酔った顔でぺこりと頭を下げたイルカにカカシは僅かに反応を見せただけで、そして自分の隣に立った。
だからといってこんな場所じゃなぁ
用を足しながら、うーん、と思うイルカにふと隣に立つカカシが顔をこっちに向ける。何だろうと思った時、
「あなたはカッコいいよ」
低い声でカカシが呟く。
ハッキリと聞こえた。
何を言いたいのかは分かった。
さっきの場でモテないと自分が口にした言葉に反して言ったんだと分かるが。
こんな時間差で。
まさかカカシからそんな事を言われるなんて。
ゆっくりと視線を動かす。
こんな近くでカカシを見たのは初めてだった。
素顔を晒したカカシの顔は当たり前だが驚くほど整っていた。
銀色の髪に白い肌。涼しげな目元とその青い目が自分を映している。
衝撃だった。
何もかもが衝撃過ぎてイルカの頭の情報処理が停止する。
固まったままのイルカに、カカシは先にトイレから出ていく。
それをイルカは目で追った。
こんな場所で。言うタイミングとか。台詞とか。相手とか。色々あるが。
(……イケメンすげぇ……)
心底感じた。
こんな無骨でズボラでなんならこの前カカシさんの病室で寝てしまった挙げ句イビキかいてるような男なのに。なんなら涎だって垂れてた。かっこいいのかの字もない。
衝撃はしばらくなくなることはなかった。
相変わらずだな、と髭を生やした上忍が言うと、すかさず別の中忍から、そうなんですよ、と肯定の相槌が入った。
「誰にでも直ぐに喧嘩腰になるから見てるこっちがヒヤヒヤしてたまったもんじゃないです」
非難された当の本人であるイルカは言い訳するでもない不満そうな表情を浮かべながらも、面目ないです、とボソリと言いジョッキを傾けた。
同期数人で飲んでいた時にたまたま近くのテーブル席に案内されたのが上忍グループだった。その上忍グループからどうせだったら一緒に飲もうと誘われるままに合流して一時間。合流もよくある事だし、こんな話題の流れもいつもの事だが。
自分が頑固なのも重々承知していた。
ただ、自分が我慢すべきだと思ったら拳を握りしめながらも耐えるし、頭を下げる。ケースバイケースだ。
「だから女が出来ないんだって」
ズバリ同期に言われて、それはその通りでイルカは否定できなかった。仕事人間でプライベートに比重を置かないからだろう、せっかく恋人が出来そうになっても向こうから去っていく。がっくりはするが仕事に打ち込んでいればやがて忘れる。それが分かっているから、
「まあ、俺はモテないんで」
認めてイルカは後頭部に手を当てると明るく笑った。
席を外してトイレに向かう。
熱気がある空気から離れたことでイルカは一息つくように息を吐き出して小便器の前に立った時、トイレに入ってきたのはカカシだった。
アスマから合流しようと誘われた時、カカシがいることに内心驚いたのはきっと自分だけではない。敬遠しているわけではない、ただ飲み会でカカシの顔を見たのは初めてだから、驚いただけだ。
元々皆と混ざって会話をするタイプではないだろうし席も自分からは離れた場所だから、話しかける機会もなく。でも本当はナルト達の話題を振りたいし話をしたい。それは今日に限らずで、カカシからしたら迷惑なのかもしれないと思うのに顔を見たらつい口を開いてしまう。
どうも、と酔った顔でぺこりと頭を下げたイルカにカカシは僅かに反応を見せただけで、そして自分の隣に立った。
だからといってこんな場所じゃなぁ
用を足しながら、うーん、と思うイルカにふと隣に立つカカシが顔をこっちに向ける。何だろうと思った時、
「あなたはカッコいいよ」
低い声でカカシが呟く。
ハッキリと聞こえた。
何を言いたいのかは分かった。
さっきの場でモテないと自分が口にした言葉に反して言ったんだと分かるが。
こんな時間差で。
まさかカカシからそんな事を言われるなんて。
ゆっくりと視線を動かす。
こんな近くでカカシを見たのは初めてだった。
素顔を晒したカカシの顔は当たり前だが驚くほど整っていた。
銀色の髪に白い肌。涼しげな目元とその青い目が自分を映している。
衝撃だった。
何もかもが衝撃過ぎてイルカの頭の情報処理が停止する。
固まったままのイルカに、カカシは先にトイレから出ていく。
それをイルカは目で追った。
こんな場所で。言うタイミングとか。台詞とか。相手とか。色々あるが。
(……イケメンすげぇ……)
心底感じた。
こんな無骨でズボラでなんならこの前カカシさんの病室で寝てしまった挙げ句イビキかいてるような男なのに。なんなら涎だって垂れてた。かっこいいのかの字もない。
衝撃はしばらくなくなることはなかった。
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