何気ない二人の会話「幸福」
ちょうど顔を合わせた上忍仲間に声をかけられ、道の脇で話しをしていれば、そこに通りかかった人影に、カカシは目を留める。互いの情報も交換し終えた頃だったから。じゃあね、と相手に告げると、その場から離れ少し先を歩いているイルカの元へ足を向けた。
「先生」
後ろから声をかけられイルカは振り向く。カカシを見て黒い目元が緩んだ。今帰り?と聞きながらカカシはイルカの隣に並ぶ。
そうなんですよ、と笑顔で返すイルカへ視線を向けながら。自分に人なつこい笑みを見せるようになったのはいつからだろうかと考える。初見ではちょっと相容れないものがあるとばかり思っていたが。今は、流石に嫌われてはいないのは分かる。
そして、自分がイルカに興味を持っているという自覚はあった。なかったら自ら声をかけるなんて事はしない。
「今日は何作ろうかなあ」
独り言のようにイルカは隣で呟いた。
自分は、同じように早く上がれたからと言って自炊しようなんて少しも考えていなかった。昔から自炊する時間があるのなら寝ていた。家に帰る目的は睡眠で。それ以外に時間を割く事をしようともしなかった。昔と比べれば、今は多少余裕が出てきているが、染み付いた習慣は中々抜けない。
その時点でイルカと自分とは違うと感じるのに。その違う部分に単純にも興味が湧く。
先生料理得意だもんね、と言えば、それは違いますよ、と意外な声が返ってきた。
「自炊はやらなきゃいけないからやってるだけです」
そうなの?と聞けば、そうです、とまた直ぐに返される。
「だって生きていく為には食べなきゃいけない。食べる為には作らなきゃいけない、」
「出来合いじゃ駄目なの?」
「俺、そんな高給取りじゃないんで」
イルカはにやりと笑う。嫌み混じりな顔を見せるが、まあ、そっか、とカカシはそこは素直に頷くしかない。眉を下げれば、イルカは続けた。
「だったら家賃安くなる中忍専用のアパートに引っ越せって話ですが、俺、今のアパート気に入ってるんです」
職場からは遠いけど、大家さん優しいし、銭湯にも近いし、近所の農家の方から時々作った野菜いただけるし、懐いてる野良猫もいるし。
指折り数えるイルカを見つめながら、その理由がイルカらしいと感じた。寝れればいい。ただそれだけの自分と比べたら、考え方も、環境も違う。だけど違和感は感じない。そこに見出されるものは、言うならば、幸福だ。
この前、イルカに子供達が懐くコツを教えてよ、と言ったが。上手く言えないが、イルカと話している中で、目に見えない、イルカが生み出す幸せなものが、そこに繋がっているような気がして。
足らないものを持っている。それが分かる。
と、イルカの視線がこっちへ向いた。
「こんな話、楽しいですか?」
見つめたまま黙ってしまったカカシに、心配そうに、イルカが聞く。
途端、合点した事に、カカシは笑いたくなった。
そう、自分は楽しい。
こうして一緒にいて話していることが。
ただ、楽しい、なんて言葉を自分に使うのはいつぶりだろうか。ただ、イルカに聞かれなければ気が付かなかった。
イルカが不思議そうな顔をするが、今の気持ちを上手く言葉にする事は出来そうにない。
だけど。
「うん、すごく」
カカシはニッコリと嬉しそうに微笑んだ。
「先生」
後ろから声をかけられイルカは振り向く。カカシを見て黒い目元が緩んだ。今帰り?と聞きながらカカシはイルカの隣に並ぶ。
そうなんですよ、と笑顔で返すイルカへ視線を向けながら。自分に人なつこい笑みを見せるようになったのはいつからだろうかと考える。初見ではちょっと相容れないものがあるとばかり思っていたが。今は、流石に嫌われてはいないのは分かる。
そして、自分がイルカに興味を持っているという自覚はあった。なかったら自ら声をかけるなんて事はしない。
「今日は何作ろうかなあ」
独り言のようにイルカは隣で呟いた。
自分は、同じように早く上がれたからと言って自炊しようなんて少しも考えていなかった。昔から自炊する時間があるのなら寝ていた。家に帰る目的は睡眠で。それ以外に時間を割く事をしようともしなかった。昔と比べれば、今は多少余裕が出てきているが、染み付いた習慣は中々抜けない。
その時点でイルカと自分とは違うと感じるのに。その違う部分に単純にも興味が湧く。
先生料理得意だもんね、と言えば、それは違いますよ、と意外な声が返ってきた。
「自炊はやらなきゃいけないからやってるだけです」
そうなの?と聞けば、そうです、とまた直ぐに返される。
「だって生きていく為には食べなきゃいけない。食べる為には作らなきゃいけない、」
「出来合いじゃ駄目なの?」
「俺、そんな高給取りじゃないんで」
イルカはにやりと笑う。嫌み混じりな顔を見せるが、まあ、そっか、とカカシはそこは素直に頷くしかない。眉を下げれば、イルカは続けた。
「だったら家賃安くなる中忍専用のアパートに引っ越せって話ですが、俺、今のアパート気に入ってるんです」
職場からは遠いけど、大家さん優しいし、銭湯にも近いし、近所の農家の方から時々作った野菜いただけるし、懐いてる野良猫もいるし。
指折り数えるイルカを見つめながら、その理由がイルカらしいと感じた。寝れればいい。ただそれだけの自分と比べたら、考え方も、環境も違う。だけど違和感は感じない。そこに見出されるものは、言うならば、幸福だ。
この前、イルカに子供達が懐くコツを教えてよ、と言ったが。上手く言えないが、イルカと話している中で、目に見えない、イルカが生み出す幸せなものが、そこに繋がっているような気がして。
足らないものを持っている。それが分かる。
と、イルカの視線がこっちへ向いた。
「こんな話、楽しいですか?」
見つめたまま黙ってしまったカカシに、心配そうに、イルカが聞く。
途端、合点した事に、カカシは笑いたくなった。
そう、自分は楽しい。
こうして一緒にいて話していることが。
ただ、楽しい、なんて言葉を自分に使うのはいつぶりだろうか。ただ、イルカに聞かれなければ気が付かなかった。
イルカが不思議そうな顔をするが、今の気持ちを上手く言葉にする事は出来そうにない。
だけど。
「うん、すごく」
カカシはニッコリと嬉しそうに微笑んだ。
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