それってつまり 後日談
もともと上手くはいかないだろうと思っていたが案の定だったことに、カカシは静かに小冊子を読みながら納得する。ただ、その納得の中に後悔があるのは確かだった。
こちらもこちらで慣れない事をした自覚はあるが。半年、自分では頑張った方だ。でも、あの鈍さはあんまりだろう。
それに加え、アイスを食べながら平然とした顔でいい人が出来ればいい、なんて。正直あれは聞き捨てならなかった。
ただ、たまたま人通りがなかったとは言え、裏道で押し倒したのはまずかった。かもしれない。でもああでもしなきゃあの人はずっとこっちの意図に気が付かないことは、簡単に想像できた。というのも、彼にとったら言い訳にしかならないだろうけど。
以前紅から恋愛に向いてないと冗談混じりに言われたことがあったが。気にもしていなかったその言葉が今更ながらに呪いにかけられてる気分になり、カカシは思わず一人で嘆息した。
顔真っ赤にして怒ってたし。
普段から感情がハッキリしているからそんな顔をするのも想像できた。ただ、それはナルトや生徒たちに向けられているのもで、いままで自分に向けられたことがなかった。
ただ、イルカのそんな表情を見て、興奮した。
ま、こーいうところがなんだろうな、とカカシは口布の下で僅かに口端を上げる。
あれから三日経つがイルカとは顔を合わせていない。たまたまなんだろうが仕事上嫌でも顔を合わせることはあるだろうし、向こうもプロだ。割り切ってきちんと仕事をするだろう。ただ、感情を安易に顔に出す人だから。
自分に向けたイルカの不快な顔を想像しただけなのに。チクリと痛むその胸に、あまりにも似合わなさすぎると内心可笑しくなりふと顔を上げた時、目に映ったのはイルカの姿だった。
真っ直ぐ見つめるその先で相変わらず忙しそうに書類を抱えて歩いている。その黒い目が木陰で立っているカカシを見た。
そっぽを向くか、はたまた嫌な顔をするか。黙って様子を見ていたカカシが目を開いたのは、イルカが予想に反してこっちに向かって真っ直ぐ向かってきたからだ。少し距離があったのに周りを見向きもせず一直線にこっちに向かってくる。
不謹慎だと、また真っ赤な顔して怒鳴るんだろう。その通り、歩き方はいかにも怒ってます、そんな感じで。
何を言うだろうか。
嫌いです。
最低だ。
何考えてんだ。
アンタの顔なんて見たくない。
三日前、美味そうにアイスを食べていたその口で何を言うのか。
ぐっと閉じた口がカカシの前で開く。
「俺って下なんですか!?」
つかつかと歩み寄ったイルカが間髪入れずに聞いてきた台詞に、カカシは瞬きをした。
イルカの言わんとしている事は分かる。
そこまで鈍くない。
いやでも。
これは、ちょっと。
ぽかんとしたのは一瞬で、そこから普段から感情なんて顔に出ないのに、我慢しようとしたのに、耐えきれずにカカシは吹き出す。
ははっ、と一際大きな笑った声が出た。
可笑しい。
可笑しくて仕方がない。
その笑いには安堵に近い気持ちも入り混じり、かつて無い気持ちがカカシを支配する。
胸の奥が暖かくなるこの気持ちを何で言うのか。分からないけど。
「すごいね、アンタ」
そう、すごい。
これは何と言うか。
ついさっきまでは勝手に諦めようとしてたのに。
分かる事は一つ。
この人をそう簡単には手離したくない。
破顔しながらも感心してそう口にしたカカシを、イルカはただ困惑した顔で見つめていた。
こちらもこちらで慣れない事をした自覚はあるが。半年、自分では頑張った方だ。でも、あの鈍さはあんまりだろう。
それに加え、アイスを食べながら平然とした顔でいい人が出来ればいい、なんて。正直あれは聞き捨てならなかった。
ただ、たまたま人通りがなかったとは言え、裏道で押し倒したのはまずかった。かもしれない。でもああでもしなきゃあの人はずっとこっちの意図に気が付かないことは、簡単に想像できた。というのも、彼にとったら言い訳にしかならないだろうけど。
以前紅から恋愛に向いてないと冗談混じりに言われたことがあったが。気にもしていなかったその言葉が今更ながらに呪いにかけられてる気分になり、カカシは思わず一人で嘆息した。
顔真っ赤にして怒ってたし。
普段から感情がハッキリしているからそんな顔をするのも想像できた。ただ、それはナルトや生徒たちに向けられているのもで、いままで自分に向けられたことがなかった。
ただ、イルカのそんな表情を見て、興奮した。
ま、こーいうところがなんだろうな、とカカシは口布の下で僅かに口端を上げる。
あれから三日経つがイルカとは顔を合わせていない。たまたまなんだろうが仕事上嫌でも顔を合わせることはあるだろうし、向こうもプロだ。割り切ってきちんと仕事をするだろう。ただ、感情を安易に顔に出す人だから。
自分に向けたイルカの不快な顔を想像しただけなのに。チクリと痛むその胸に、あまりにも似合わなさすぎると内心可笑しくなりふと顔を上げた時、目に映ったのはイルカの姿だった。
真っ直ぐ見つめるその先で相変わらず忙しそうに書類を抱えて歩いている。その黒い目が木陰で立っているカカシを見た。
そっぽを向くか、はたまた嫌な顔をするか。黙って様子を見ていたカカシが目を開いたのは、イルカが予想に反してこっちに向かって真っ直ぐ向かってきたからだ。少し距離があったのに周りを見向きもせず一直線にこっちに向かってくる。
不謹慎だと、また真っ赤な顔して怒鳴るんだろう。その通り、歩き方はいかにも怒ってます、そんな感じで。
何を言うだろうか。
嫌いです。
最低だ。
何考えてんだ。
アンタの顔なんて見たくない。
三日前、美味そうにアイスを食べていたその口で何を言うのか。
ぐっと閉じた口がカカシの前で開く。
「俺って下なんですか!?」
つかつかと歩み寄ったイルカが間髪入れずに聞いてきた台詞に、カカシは瞬きをした。
イルカの言わんとしている事は分かる。
そこまで鈍くない。
いやでも。
これは、ちょっと。
ぽかんとしたのは一瞬で、そこから普段から感情なんて顔に出ないのに、我慢しようとしたのに、耐えきれずにカカシは吹き出す。
ははっ、と一際大きな笑った声が出た。
可笑しい。
可笑しくて仕方がない。
その笑いには安堵に近い気持ちも入り混じり、かつて無い気持ちがカカシを支配する。
胸の奥が暖かくなるこの気持ちを何で言うのか。分からないけど。
「すごいね、アンタ」
そう、すごい。
これは何と言うか。
ついさっきまでは勝手に諦めようとしてたのに。
分かる事は一つ。
この人をそう簡単には手離したくない。
破顔しながらも感心してそう口にしたカカシを、イルカはただ困惑した顔で見つめていた。
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