カカイルワンライ「動悸」続き
「うわ、うまっ」
イルカは出来立てのカレーを一口食べてその美味さに一人唸った。
肉屋に総菜のコロッケを買いに行った時に、どうせ今日売れ残るからと牛肉を店主からいただいたのだが普段買わない肉をどう料理しようと考え、結果自分の作れる数少ない料理の中からカレーに決定し作ったのだが、これが正解だった。
作り方も変えていないしカレーのルーはいつも使っている市販のルーだが、肉だけでこうも味が変わるとは。
缶ビールを一口飲み、コロッケを食べた後に再びカレーを口にする。
「あー、マジで美味い」
一日が終わった後、風呂上がりに冷えたビールとこんなにも美味い料理で幸せにならないはずがない。イルカはあぐらを掻きながら思わず幸せのため息を漏らした。
肉は薄切りの肉だが煮込んだことで旨味がしっかりルーの中に溶け込んでいる。たぶん、今まで作ったカレーの中で一番美味い。
肉屋の店主に感謝しながらイルカはカレーを銀色のスプーンで掬って食べる。今までのグラム九十八円の豚コマでも十分だったが。こんな美味いものを食べてしまったら、しばらくは当分カレーは作れないな。
なんて思いながらイルカは一人苦笑いを浮かべる。
一人暮らしは気ままではあるが一人であるゆえに生活する上ではふとした気持ちの共感が出来ない。こんなに美味いカレーを作れたのに当たり前だが共感する相手はいない。
ナルトがもしこの場にいたら、きっと美味いと連呼しながら喜び、そしてお代わりもしただろう。考えただけで笑みが漏れる。でも、再びスプーンを動かしながらその視界に映る食べかけのカレーから浮かんだのは、あの時店で会ったカカシだった。
銀色の睫毛を伏せたカカシは右側からカレーと白飯をスプーンで掬い、そして口を開け、食べる。その時は大して気にも留めていなかったが、口元の左下に小さな黒子があった。
カカシは自分の世代からしたら憧れの存在だ。いわば雲の上のような忍びで人間離れした能力を持っていて。だからだろうか。今思えば、何かを食べるカカシの姿は鮮烈な印象を受けた。
あのはたけカカシもカレーを食べるんだ、と。
そんな事を思った。
カカシには人間臭いところがあまりにもイメージにない。だから、自分と同じなんだという安心感のようなものを覚えた。そしてきっとカカシにも好物がある。美味いものを食べたら自分の様に美味いと唸るとまではいかないがその言葉を口に出したり、一緒に食べている相手と共感するんだろう。
そう思った瞬間、不意に浮かんだのはカカシが目の前でカレーを食べている姿だった。
店のカレーではない、今自分が食べているこのカレーをカカシが食べる。そう、もしカカシがこのカレーを食べたらきっと美味いと思うはずだ。そして、────、
(美味いね)
カカシがこっちへ顔を上げ、微笑む。
あの時、自分に僅かに目元を緩めた時のように。
(・・・・・・っていやいやいやいや、なんだそれ?)
缶ビール一本で酔うはずもないが、あり得ない妄想にイルカは我に返り慌てる。
妄想するにしてもこれはあまりにも馬鹿らしい。
久しぶりに良い肉を食って頭がおかしくなったのか。
それか一人暮らしの寂しさにここまできたか。
自分自身に呆れるも、その馬鹿らしい妄想に赤面が一向に止まらない。
ああ、くそっ。
イルカは赤い顔のままスプーンを動かすとカレーを勢いよく食べ始めた。
イルカは出来立てのカレーを一口食べてその美味さに一人唸った。
肉屋に総菜のコロッケを買いに行った時に、どうせ今日売れ残るからと牛肉を店主からいただいたのだが普段買わない肉をどう料理しようと考え、結果自分の作れる数少ない料理の中からカレーに決定し作ったのだが、これが正解だった。
作り方も変えていないしカレーのルーはいつも使っている市販のルーだが、肉だけでこうも味が変わるとは。
缶ビールを一口飲み、コロッケを食べた後に再びカレーを口にする。
「あー、マジで美味い」
一日が終わった後、風呂上がりに冷えたビールとこんなにも美味い料理で幸せにならないはずがない。イルカはあぐらを掻きながら思わず幸せのため息を漏らした。
肉は薄切りの肉だが煮込んだことで旨味がしっかりルーの中に溶け込んでいる。たぶん、今まで作ったカレーの中で一番美味い。
肉屋の店主に感謝しながらイルカはカレーを銀色のスプーンで掬って食べる。今までのグラム九十八円の豚コマでも十分だったが。こんな美味いものを食べてしまったら、しばらくは当分カレーは作れないな。
なんて思いながらイルカは一人苦笑いを浮かべる。
一人暮らしは気ままではあるが一人であるゆえに生活する上ではふとした気持ちの共感が出来ない。こんなに美味いカレーを作れたのに当たり前だが共感する相手はいない。
ナルトがもしこの場にいたら、きっと美味いと連呼しながら喜び、そしてお代わりもしただろう。考えただけで笑みが漏れる。でも、再びスプーンを動かしながらその視界に映る食べかけのカレーから浮かんだのは、あの時店で会ったカカシだった。
銀色の睫毛を伏せたカカシは右側からカレーと白飯をスプーンで掬い、そして口を開け、食べる。その時は大して気にも留めていなかったが、口元の左下に小さな黒子があった。
カカシは自分の世代からしたら憧れの存在だ。いわば雲の上のような忍びで人間離れした能力を持っていて。だからだろうか。今思えば、何かを食べるカカシの姿は鮮烈な印象を受けた。
あのはたけカカシもカレーを食べるんだ、と。
そんな事を思った。
カカシには人間臭いところがあまりにもイメージにない。だから、自分と同じなんだという安心感のようなものを覚えた。そしてきっとカカシにも好物がある。美味いものを食べたら自分の様に美味いと唸るとまではいかないがその言葉を口に出したり、一緒に食べている相手と共感するんだろう。
そう思った瞬間、不意に浮かんだのはカカシが目の前でカレーを食べている姿だった。
店のカレーではない、今自分が食べているこのカレーをカカシが食べる。そう、もしカカシがこのカレーを食べたらきっと美味いと思うはずだ。そして、────、
(美味いね)
カカシがこっちへ顔を上げ、微笑む。
あの時、自分に僅かに目元を緩めた時のように。
(・・・・・・っていやいやいやいや、なんだそれ?)
缶ビール一本で酔うはずもないが、あり得ない妄想にイルカは我に返り慌てる。
妄想するにしてもこれはあまりにも馬鹿らしい。
久しぶりに良い肉を食って頭がおかしくなったのか。
それか一人暮らしの寂しさにここまできたか。
自分自身に呆れるも、その馬鹿らしい妄想に赤面が一向に止まらない。
ああ、くそっ。
イルカは赤い顔のままスプーンを動かすとカレーを勢いよく食べ始めた。
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