買ったのはたまたま目に入ったから。
元々そこまで童顔ではないから制服でも着ていない限り店員も気がつかない。
カカシはビールとお茶。それにおつまみになりそうな乾物類を数種類とスナック菓子をかごに入れるとレジに向かった。
コンビニを出てそこからイルカ先生のアパートまでは歩いて10分程だ。その道のりを鼻歌を歌いながら歩く。
ついでに言うなら口笛を吹いてスキップだってしたい気分だ。
恋い焦がれて想いを募らせていた先生が、ついに俺の恋人になった。
考えてみればそれまでの道のりは、瞬きくらいの一瞬の出来事のようにも感じるが、遙か長い道のりを乗り越えてきた感じもする。忍びだったあの時代から、この今生きている時代まで。
幸せな感覚に、カカシは一人歩きながらふふ、と笑いを零した。

チャイムを鳴らすと少しの間の後、どたどたと愛しい人の足音が部屋の中から聞こえる。扉が開きイルカが顔を出した。
「カカシさん、早いですね」
「うん、1本早いバスに乗れたから」
だったらもうちょっと早めに掃除始めればよかったなー。
イルカの相変わらずのルーズさにカカシは笑った。
先生は掃除も料理も基本苦手だ。本人曰く、苦手なだけで嫌いではないらしい。
イルカ先生は俺をカカシではなく、カカシさんと呼ぶ。年齢差や元担任だった事もあって呼び捨てでも全然構わないんだけど。
どうやら昔の記憶が基盤になってしまっているらしい。まあ、俺も昔の記憶はしっかり残っているから、つい昔の調子の口調になたったりもする。
あの頃は4つ歳下の可愛い恋人だったんだけど、
「あ、これ!」
大きな声に驚くカカシにイルカが詰め寄った。
イルカは渡したコンビニのビニール袋を広げている。
「ビールを買って来るなって、あれほど言ったじゃないですか!」
「ああ、」
カカシは頭を掻いた。
「だってそれ期間限定だったし。先生好きそうだったから」
「まあ、確かに好きですけど、って違う!カカシさん!あんたはまだ未成年なんだって言ってるでしょうが!」
「あー、でも」
「こ・う・こ・う・せ・い!」
四の五の言わせないと指を刺され、カカシは仕方なく眉を下げて笑った。その誤魔化した笑いにイルカはむっとして口をへの字にする。
「いいですか。カカシさん。あんたはまだ未成年なんだ。こんなつまらない事で面倒起こしたくないでしょう」
「相変わらず固いなあ、先生は」
「・・・・・・あんたねえ」
これ以上言っても無駄だと分かったのか。呆れながらも、まあ、でもこれは有り難くいただきます、とイルカは口にして台所へ向かった。
冷蔵庫へビールを入れるイルカの後ろ姿をカカシは見つめる。

未成年が酒を買うのは駄目だって。
知ってるよ先生。
そんなの。
だけど、俺はたぶん。
あんたが怒った顔も見たかったから。

そこまで思ってカカシは息を吐き出すように笑った。

俺ってもしかしてマゾ?

ぼすん、とスナック菓子の袋で頭を叩かれた。
「何笑ってんですか?」
台所から戻ってきたイルカが、居間で座って一人にやにやしているカカシを片眉を上げた後、不思議そうに見る。
「ううん、別に」
目を細めイルカを見上げれば、何故かイルカの顔が赤く染まった。ふいと顔を背けながら、テレビのリモコンを取った。向かいの場所に座り電源を入れる。
「いい天気だし、どっかでかけますか?」
サッカーの試合が流れる画面を見ながら言うイルカに、カカシは首を振った。
「ううん、いいよ出かけなくて。ごろごろしたい」
「でも今ちょうど公園の藤が見頃なんですよ」
「知ってる、さっきバスから見えた」
「えー、じゃあどうします?」
「夕飯の買い物は一緒にいきたい。でもその前に」
カカシはちゃぶ台に置かれたイルカの手を握った。


「・・・・・・はっ、・・・・・・や」
後ろから挿入されながら胸の突起を指で潰され、イルカから堪らず声が漏れる。
既に数回射精したそこはぐしゅぐしゅになり、滑りが加わり熱い。胸の刺激で中を締め付けられその感覚にカカシは短く呻き、眉根を寄せた。
「駄目だって、それ・・・・・・いっちゃうでしょ」
熱っぽい吐息と共に言うカカシに、イルカは首を捻りカカシを黒く潤んだ目で睨んだ。
「だ、から。早くいってくれって、・・・・・・っ」
何回目だと思ってんだ。
苦しそうに訴えられ、カカシは眉を下げながらも口角を上げる。
「ごめーんね。でもほら、今俺やりたい盛りなんだって知ってるでしょ?」
抜き差ししながら前に屈みイルカの唇に自分の唇を重ねる。そこからぺろりと唇を舐めたカカシは、腰を掴み直すと動きを早めた。
「そ、んなのあんた前から、あっ、ぁあっ・・・・・・んっ」
昔のまんまで変わってないだろうと言おうとしたのだろうが、言葉にならない。イルカは甘い声を零す。
その声にうっとりしながらカカシは腰を動かした。
酷く、具合がいい。
こんなセックス後にも先にもこれ以上のものはないんじゃないだろうと、思う。
今はこの年齢でそこまで経験はないが、実は昔もそう記憶している。
上忍師になってイルカに出会い、恋人になり身体を繋げた時、今までの経験が何だったのかと思ったからだ。
同性に対して思うのも変な話かもしれないが、自分が男で良かったと心底思えた。男として産まれてイルカと繋がれた喜び。
だから、若気の至りなんかで表現して欲しくないんだけど。
カカシは苦笑いを浮かべイルカの再奥を貫く。
動く度に身体の熱が上がる気がする。額に汗が浮かび、しっかりと窓が閉められている部屋は二人の熱気が籠もっている。
聞こえるのはベットが軋む音とイルカの甘い嬌声。シーツを掴んでいるイルカの手に自分の手を重ねた。指を上から絡ませ繋ぐと、イルカから握り返されたのが分かった。
暖かい。イルカの手。
幸せに胸が苦しくなる。
(・・・・・・あれ)
イルカを追い上げながら、こみ上げるものにカカシは息を止めた。
不思議に思うも、カカシの心の奥にはその答えが見えていた。
幸せなのに泣きたくなるのは、拭えない不安があるからだ。
愛ってなんて脆いんだろうか。
綺麗で、脆い感情の固まり。
それでも俺は、この愛が欲しくて欲しくて堪らなくて。
手に入れた今は、二度と手放したくない。

どうか。
願わくは。
この人と共にずっといられますように。

自分のあんまりな少女趣味らしい文句に、カカシは可笑しくなって密かに笑いを噛みしめる。
それでも涙でぼやける視界にカカシは奥歯に力を入れ、動きを早めた。
愛してる
そう耳で呟いてカカシはイルカの中で熱いものを放った。

<終>


元の世界でイルカがまだカカシと別れる前にagainの夢を見た、と言う設定で話を書きたいなあ、とか考えています。
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