as know as S⑦

 地面に座り込んだまま、人が途切れた繁華街の路地裏で自分の掌を見つめ、微かに震える指先にカカシは短く笑った。
 だって、可笑しい。
 柄にもなく動揺してる自分が。
 土がついたままの掌で、髪をぐしゃりと掴み、ぼんやりと黒い空へ視線を向けた。

 あの時、綱手から用を頼まれなければ、ーー偽った姿でイルカの前に現れなければよかった。

 何を後悔したらいいのかも、分からない。



 翌日、カカシは玄関を叩く音で目が覚めた。
 時計はまだ早い。カカシはため息を吐き出しながらのそりとベットから起き出し、玄関に向かう。
 扉開けると、上忍の男が立っていた。
「任務、予定より早く発つ事になったから伝えにきた。すぐ行けそうか?」
 その言葉で、目の前の上忍の男が今回一緒に任務を遂行する相手だと思い出す。
「先発部隊は?」
 聞くと男は肩を竦める。
「まだそこまでは聞いてない。とにかく早く着替ろよ、カカシ」
 促され、はいはい、とカカシは返事をした。
 今回は偵察の任務。同行する上忍の男は元々同じ暗部出身で、スケアの姿でツーマンセルの任務を受ける時は、必ずこの男が一緒だった。
 部屋に戻り、顔を洗うと慣れた手つきで顔にメイクをし、カラーコンタクトをつける。支給服を身に纏った。ベストを羽織り、最後にいつもと違う上着を手に取ったところで、玄関の扉が叩かれる。上忍の男が玄関の扉から顔を出した。
「悪い、ちょっと忘れ物。部屋に取りに行ってくる」
 男は上の階を指差した。自分と同じこの上忍専用のアパートの住人だと言う事すら知らなかったが。頷くカカシに、男が姿を消した。
 カカシは上着に袖を通す。極寒でもノースリーブの暗部の服もどうかと思ったが、この少し緩い上着は正直動きにくいし、なかなか慣れない。
 服を着ながら、思い出すのは昨夜の事。
 馬鹿な事をしたと思う。
 イルカは初めて出会った時、真っ直ぐで澄んだ瞳に苦手だと感じた。
 なのに、あの目が。優しい眼差しが、どこかの見知らぬ女へ向けられるのだと分かったら、無性に怖くなった。
 突き飛ばされたのは、イルカにとっては単に驚いたという理由なのかもしれないが、カカシが感じたのは、拒絶だった。
 イルカに拒絶されたのだと思ったら、後悔以外の言葉は浮かばない。イルカは前に進もうとしていたのだ。自分への思いを断ち切る為に。
 今まで自分の直感や、選択に後悔をした事はなかった。でもそれは任務の中だけで、私生活においてこんな状況に陥った事がなかった。十代の若者のじゃあるまいし、自分の中でどうでもいい事だと思っていた感情が、今更ながらになんでこんなに自分を追いつめるのか。
 気が付けば、イルカの事ばかり考えてしまっている事実。
 このあふれ出しそうになる気持ちは蓋をするべきだ。この気持ちは気のせいなのだと自分に言い聞かせ、鏡の前の自分の姿を見つめる。
 もう、このスケアの姿で彼に会うのもやめよう。
 扉が叩かれた。
 もう一度、最終的に自分の姿に問題がないか確認をし、カカシは玄関へ向かう。
 扉を開けた瞬間、カカシの身体が強ばった。目を見開く。
 イルカが、目の前に立っていた。
 一瞬にして、頭が真っ白なる。
 何故、今目の前にイルカがいるのか。
 驚き固まったまま立っているカカシに、イルカは丸くした目をカカシに向け。やがて、僅かに眉を顰めた。首を傾た。
「・・・・・・・・・・・・どうしてスケアさんがここに?ここってカカシさんの部屋・・・・・・ですよね?」
 当たり前の質問を口にした。
 イルカに尋ねられ、そこから心臓が激しく動き、身体に嫌な汗がじわりと掻いた。それを必死で抑える。
 そう。こんな状況を回避するのは簡単だ。自分だったら、いくらでもイルカが納得する説明を口に出来る。
 でも、まだ、イルカと面と向かって顔を合わせる心の準備が出来ていなかったのは確かだった。
 高まった緊張を緩めるように、カカシは無理に口元に笑みを浮かべ、口を開こうとした時、
「カカシ、もう用意出来たか」
 姿を見せた上忍の男。
 まさか別の人間がいると思っていなかったのか、カカシの名前を口にした。
 途端、イルカの目が僅かに見開かれた。じっとスケアの姿をしたカカシを見つめ、
「・・・・・・カカシ・・・・・・さん?」
 呆然としたままイルカが呟く。思考が固まっていた。気が動転しているとはこういうことなのか。
違う、と一言言えばいいだけなのに。黒く澄んだ瞳を前にしたら、からからに乾き、引き攣る喉から、何も言葉が出てこなかった。
「誰、こいつ」
 黙ったままのカカシとイルカを前に、不思議そうに、ぶっきらぼうに上忍の男がそう口にした後、イルカが何かを悟ったように、ふっと小さく笑った。その黒い視線が下に落とされる。
 悟ってからでは遅いと分かっているのに、その不安を今更ながらに払拭したくなり、
「イルカ、先生」
 名前を口にするカカシを前に、イルカの眉根に皺が寄った。その顔を、身体を、カカシから背を向けたイルカは走り出し、そのまま建物から出て行く。
 カカシは、追いかけなかった。正確には追いかける事が出来なかった。彼を追いかけたところで、何て声をかければいいのか。今自分から何を言っても、どの言葉も、イルカを傷つけるだけだ。
「・・・・・・おい、いいのか?」
 何だかよく分からないが、イルカの走り去った様子から、カカシにそう声をかける上忍の男に、カカシは茶色の頭を掻く。
「うん、・・・・・・大丈夫」
 静かにそう答えた。

 
 



 任務が思ったよりも長引き、帰ってきた頃には、すっかり夜が更けていた。
 報告を追え、任務から徐々に気持ちが切り替わるにつれ、カカシの足取りが重くなった。
 こんな事は初めてだった。
 イルカを傷つけるつもりなんて無かった。
 最初は、ただ、イルカの心が知りたかっただけだった。でも、知れば知るほどに、イルカの自分に対する思いを突きつけられた。好きだと。簡単に気持ちを忘れられないと。
 でも、自分の中では、イルカは単なるナルトの元担任だという関係の枠だけで見ていたはずなのに。
 任務で終えたスケアの姿のまま、カカシの足は公園へ向かっていた。真っ暗な公園に、街灯がぽつんと灯り、ベンチにも、ブランコにも、何処にもイルカの姿はない。今更こんなところにいるはずなんかない。分かってるのに。
「・・・・・・俺は、このまま消えるつもりだったのに、勝手に暴いたのは先生じゃない・・・・・・」
 誰も座っていないブランコを見つめ、カカシは顔を歪めながらつぶやいた。
 公園に背を向け、自分の家に向かって歩きだしたその足をカカシは止める。
 眉間に深い皺を寄せたまま、足元をぼんやりと見つめた。
 別に、俺は悪くない。・・・・・・悪くない。
 なのに、脳裏から離れないのは。イルカの顔。
 そこからこみ上げるのは熱いうねりだった。
 何もかもが腹立たしい。
 イルカにも。自分にも。
 苛立ちのまま地面の土を蹴りあげた。

 ・・・・・・会いたい・・・・・・

 なのに、こんな時に浮かんだ自分の欲求は今まで持っていた感情とは相対するものだった。
 違う。これは、気のせい。会いたくなんか・・・・・・
 否定する言葉を心で呟いても。
 イルカの真っ直ぐで直向きな想いに、自分でも気づかぬうちに、いつの間にか心の深い部分を刺激され、その気持ちをどこかで受け入れていた事に気が付く。いや、心のどこかで気が付いていた。それを気が付かないフリをしていた。
 (・・・・・・ああ、もう・・・・・・っ)
 苛立ちに心で呟くとカカシは顔を上げる。そこから駆けだした。
 
 家に戻り変装を解き、シャワーを浴びたカカシは着替えを済ませ向かったのは、イルカの住むアパートだった。
 もう日付が変わってしまっている。時間的に寝ていてもおかしくはない。会うなら翌日でもいいのかもしれない。
 でもこの衝動に身を任せていた。
 翌日になったら。もっと時間が経ってしまった事で、自分の中で気持ちが有耶無耶になってしまうかもしれない。この自分の衝動が、なくなってしまうのかもしれない。それが嫌だった。
 アパートのイルカの部屋にはまだ電気がついていた。それを見て、ほっとする。カカシはゆっくりと階段を上った。
 玄関の扉の前に立ち、ノックをしようと手を上げ。 
 緊張に手が震えている事に気が付いた。
 こんな事、初めてだった。
 ゆっくりと深呼吸をし、カカシは扉を数回叩く。
 イルカの気配を感じるが、返事がない。
 寝ていないのは分かった。
 それでも応答しないのは、相手が自分だと知っているから。
「イルカ先生」
 名前を呼んだ。その先に続ける言葉が、イルカにかける言葉が見つからなくて、カカシは覆面の下で一回唇を噛む。
 顔を見たい。
「先生・・・・・・ごめん」
 言葉が零れて出て来た。がた、と音がし、部屋の中でイルカの気配が動いたのが分かった。だが、玄関の扉は開く事はなく、
「謝罪の言葉なんて聞きたくありません」
 聞こえてきたのは、厳かなイルカの言葉だった。その声は近く、自分がが立っている玄関の扉の向こう側にイルカがいるのが分かる。
 少し古い扉を、カカシは見つめた。
 イルカからすれば当然の言葉だった。怒って当然だ。罵声を投げられても仕方がない。本当に自分は勝手だと思う。
 姿を偽り、勝手に彼の心に踏み入れ、覗き、気持ちを吐露させた。
「・・・・・・全部、・・・・・・全部知りながら、何のつもりで・・・・・・」
 呟くイルカの悔しそうな声に、思わずカカシは目を伏せていた。その言葉全てがカカシの胸に突き刺さる。
「俺・・・・・・あなたの気持ちが分かりません。・・・・・・どうして、どうして別人のフリをしたんですか・・・・・・?」
 悔しいかった声が次第に悲しみに代わり、カカシは改めて自分がイルカにした酷い事を思い知る。扉一枚隔てた向こうにいるイルカに手を伸ばす。扉に触れた。
「俺は何も知らずにあなたの前で・・・・・・」
 言葉を切ったイルカが、息を漏らすように笑ったのが分かった。泣きそうな顔で笑っていると。そう思ったら、扉を開けたい衝動に駆られる。
「あなにとっては、きっと滑稽だったでしょう」
 その言葉にカカシは落としかけていた視線を上げた。
「そんな事ない」
 自然口調が強くなっていた。扉に触れていた手を握りしめ、拳に変える。その手の上に自分の額を乗せた。
「ねえ先生・・・・・・俺もね、途中まで何でこんな事してるのかって思ってた。・・・・・・でもね、今なら分かる」
 銀色の睫毛を伏せる。本当、自分の方が滑稽だと気が付き、情けなくて泣きたいような笑いたいような気持ちになる。唇が震える声を押し出した。
「気が付いたらあなたが気になって仕方がなかった。放っておけなかった。だってそうじゃない。こんな俺なんか好きになって。先生にはさ、もっと素敵な人がいるはずなのに・・・・・・、馬鹿がつくくらい真っ直ぐで、」
 こんな感情を誰かに吐き出したのはいつぶりだろうか。でも、それも。どうでもよかった。
「先生、俺はあんたが可愛い」
 ああ、そうだ。口に出した事で気がつく。
「そう、俺はあなたが可愛くて仕方がなかったんだ」
 突然、ガチャリという重い音と共に扉が勢いよく開き、カカシは扉に体重を預けていたカカシは思わずバランスを崩しそうになった。
 顔を上げると、目の前にイルカが立っていた。
「こんな中年の部屋に向かって、何度も可愛い可愛い言わんでくださいっ」
 顔を真っ赤にして睨まれ、カカシは思わずイルカの怒った顔をぽかんと見つめる。イルカの瞳は相変わらず真っ直ぐ澄んでいて、でもその顔を見たかった。腕を引っ張られ、玄関を締められる。
「先生が中年なら俺だって、」
「いや、何と言うか、ナルト達からしたらって事です。そこまで若くないのは事実ですし」
 咳払いをしながらカカシを改めて抗議の眼差しを向けた。
「可愛いに当てはまるような年齢じゃないですから。俺は男です」
「知ってる」
 即答していた。
 そう。知ってる。
 同性相手だと。それでも可愛いと、イルカに確かに思った。そして、今も。
 この扉を開けるつもりはなかったのか。勢いで開けてしまった事を悔いるような顔をしているものの、刺々しい感情は見えない。困ったように思案顔を浮かべるイルカを見つめた。
「俺を・・・・・・許すの?」
 恐る恐る聞いていた。そんな事を聞かれると思っていなかったのか。一瞬驚いた顔を見せた後、目を横にずらした。
「正直、まだ怒ってます。許すつもりなんてなかった」
 でも、と続けるイルカは、静かに息を吐き出した。
「話を聞いてくれたのは、嬉しかった。・・・・・・カカシさんの事で悩んで、カカシさんに慰められた形になっちゃいましたが、側にいてくれて本当に、嬉しかったんです」
 それに開けるつもりなかったのに開けちゃったし。許すしかないでしょう?
 苦笑いを浮かべそう口にしたイルカに、身体の力が抜けた。
 もっと、責めてもいいのに。
 あんな酷い事をして、振り回したくせに。許すと言った言葉通り、イルカの目も表情も、既に怒りの色はない。
 殴られても仕方がないと、そのくらいは覚悟していた。
「まだ、好き?」
 そのカカシの問いを聞いたイルカは拍子抜けしたようにカカシを見た後、目を細める。
「馬鹿ですね、カカシさんは。今更これくらいで嫌いになるわけないでしょう」
 ふわりと花のような笑顔を浮かべた。




 未だ玄関で向き合ったまま、イルカは距離の近い場所で、一端伏せた顔を上げ、カカシを上目遣いで見つめる。
「さっきのは・・・・・・カカシさんの本心、なんですよね・・・・・・?」
 さっきのとはどこの部分かと、ん? と、首を傾げるカカシにイルカはぐっと一回唇を結び、
「可愛いは兎も角、気になるとか、放っておけないって事は、俺の事好きって事ですよね・・・・・・?」
 一歩近づくイルカの黒い目は、輝いて見える。
「・・・・・・うん。そう、だけど・・・・・・」
「じゃあ、ちゃんと好きって言ってください」
「え、」
 更にイルカがカカシに詰め寄られ、距離が縮まった。明らかに、その目は期待に胸を膨らませている。
 確かにさっきは色々イルカに伝えたけど、自分の気持ちについさっき、ようやく気がついたばかりで、上手く整理もできていない。なのに改めて言葉にしろと言われ、本人を前にして恥ずかしさに言葉が喉に詰まる。困って口に出来ないでると、イルカに腕を掴まれた。
「けじめは大切です」
「いや、でも、」
「言ってください」
 ーーたぶん俺は、この瞳に弱い。
 小さく息を吐き出したカカシは、自分の覆面を人差し指で下げ、目の前のイルカへ唇を重ねた。そこからゆっくりと唇を離し、
「・・・・・・好き」
 突然の口づけに目がまん丸になったまま固まるイルカを見つめ、小さく囁いた。
 本心でこの言葉を言ったのは、初めてだった。
 言い慣れないし、恥ずかしい。こんなにもどかしい気持ちにカカシは初めてだ。
 なのに、イルカはぼんやりと見惚れる眼差しを向けている。心配になり、カカシはイルカを見つめ返した。
「分かってると思うけど、俺はあまり優しくないよ?あなたが思ってるような恋人にはほど遠いと思うけど、いいの?」
 覗き込むと、イルカは苦笑いを浮かべた。
「何も問題はありませんよ。俺が何年カカシさんに片思いしてたと思ってるんですか?」
 驚くカカシにイルカは笑う。そういうものなのかと、カカシは照れながら頬を掻いた。
「まあ・・・・・・いいけど。でもあまりおおっ広げにはしないでね。特に五代目には」
 イルカが不思議そうな顔をした。
「何でですか?」
「何ででも」
 周りはともかく五代目だけにはばれたくない、のが正直なところだった。私の可愛いイルカに何かしたらタダじゃおかないと、威嚇に近い目を向けられた事を忘れた訳じゃない。それに、あと、恋人が出来たのは初めてだから、色々なんか照れくさい。
 理由を言わないカカシにイルカは、腑に落ちないのか、そうですか、と小さく答え、黒い目でカカシをじっと見つめた。
「でもカカシさん。俺も言いたいことが」
 と、一歩カカシに近づく。
「言っておきますが。女遊びとか、もししていたんなら、もうやめてください」
「何それ」
「だってカカシさんはすごくモテるから」
 不安そうに言われ、目を丸くした後、カカシはふっと笑った。酷い事もしたが、付き合う以前からこんなに優しくした相手は、イルカ先生以外いないのに。
 笑いながら、はいはい、と答えるカカシにイルカは胡乱な眼差しを向ける。
「はいはいって、本当に分かってます?浮気なんてもってのほかですからね?」
 思った以上に心配性なイルカに、くすくす笑いながら、
「そんな事より恋人になったんだから、キス以上の事、しようよ」
「・・・・・・えっ」
 驚いたままのイルカの手をカカシは引っ張り、玄関の鍵が締められた。
 カカシの手によって。
 





「よお」
 執務室に入ってきたアスマが煙草を咥えながら入ってくる。どかりとカカシの前に腰を下ろした。
 いつものように小冊子を片手に缶コーヒーを飲むカカシを見つめながら、
「お前イルカと付き合ってんだな」
 間髪を入れずに言われた言葉に、思わずコーヒーを吹き出しそうになった。寸前で堪え、視線をアスマに向けると、その顔はすこしにやけているようでむかつく。その視線を受け流しながらカカシは小冊子を閉じた。
 イルカと付き合い始めて数日。まだ数日なのに。これで何人の奴に言われたか。
 周りを全然気にしないイルカにほとほと呆れている事実。今日も満面の幸せな笑顔全開で、この部屋に愛妻弁当を持ってきたばかりだ。その時にいた上忍仲間との微妙な空気ったらない。こんなことしたらばれちゃうからダメでしょ、と部屋の外につれて行き説教したら、だってカカシさんちゃんとしたご飯食べているか心配だったから、と、丸で叱られた仔犬のような顔をされ。だからそれ以上は何も言えなくなった。取りあえずありがとうと礼を言って、缶コーヒーを奢ってみたんだけど。
 執務室でも、受付でも、通りすがった時も。目が合っただけで、にへらと微笑まれ、最近は秘密っていいですね、なんて嬉しそうに言い出した。
 五代目にばれるのも時間の問題だと半分諦めている。
 ため息を吐き出すカカシを、面白そうに眺めながめるアスマへ顔を上げる。

「だってすっごいんだもん。あの人」

 それ以外に言葉がない。
 そんな言葉で認めたカカシに、アスマは眉を下げ、豪快に、可笑しそうに笑った。
 

 <終>
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