知りたくて知りたくない事②
どうしようか。
カカシはただ歩きながらテンゾウの言った言葉を思い出していた。
あの暗部に長くいた中では一番真面で流されない、自分と重なる部分があると感じていたからこそ選んで相談を持ちかけた。
ただ、テンゾウ自体そうは思ってはいないらしい。自分は違うと、珍しく漆黒の瞳がそう主張していた。
それに思わず笑いが溢れる。
誰にでも自分は鏡でしか見えない。
人の事は言えないか。
その後輩と同じ目の色をしているのに。あの男のその色は、キラキラして丸で太陽を思い浮かび上がらせる。
笑うと緩んだ目元が印象的だ。
それだけで、カカシの背中に痺れが走った。
今まで抑えていた事を人に話したから気持ちが膨らんだのか。
気がつけば目で追う先の男。
同じように自分を追っていたらいいのにと思う。
笑ったら。
名前を呼んだら。
自分を求めたら。
他人に興味を持つ事さえ無かった。
やばい。やばいよね。
両手をポケットに入れ、猫背で歩きながらその意味知れぬ快感に酔いしれる。
ただ、一度だって同性相手に勃ったことはない。それが不安の一因だったが、女が足りてるからか、抜こうとも考えなかった。
若しかして、テンゾウに男ネタに試してると思われたかな。
はーあ、と考えなくてもいい後悔に溜息を零す。
カカシはポケットに手を入れたまま軽く跳躍して木の幹に両足を着きしゃがみ込む。
真っ直ぐ先に見えるのは、家賃がそう高そうにない、はっきり言えば安アパート。
その二階の角部屋にカカシは視線を向けていた。
ありゃ。
内心残念に、そして不審に思い片眉を上げる。
いつもなら電気が点いてる時間帯でしょ。
知らず知らずに知ったイルカの家。不透明な気持ちを抱えつつも、相手の家を眺める時が多かった。
自分の家の通り道なんだよね。
誰に言う訳でもない、言い訳を心で呟く。
こんな時間にいないなんて。カカシは考えを巡らせる。
人がいいから、予定にはない夜勤を交代して入ったとか。
友人と飲みに歩いてるとか。
体調不良で早く床についたか。
幹から身体を飛ばして音もなくアパートまで飛び移る。気配を探れば簡単にイルカのチャクラを感知出来た。
感じる波長から、起きている。だが、電気は点いていない。
知らず眉を寄せていた。
玄関の扉は施錠してあり、窓も同じく。
指を口元に当て、自分が考えた事にヒヤリとした。
当たり前だが、イルカは成人の男性。女性を連れ込んだっておかしくない。
そう考えた時にはカカシは屋根裏に入り込んでいた。作りが簡単なアパートは入り込むのは容易い。イルカの部屋の上まで行き、音なく板を少しだけズラす。
もし、もし相手が女でなく男だったら。想像しただけで禍々しい気持ちが湧きあがる。自分のクナイを確認するようにポーチに手を当てていた。
部屋は暗いがチャクラを凝らせば昼間と同じ明るさで見える。
気配を完全に殺し視力にチャクラを集中させる。
イルカの荒い息遣いが聞こえる。寝室の布団の上にイルカはいた。受付所で見るまんまの服装で。それに違和感を感じた。髪もまだ高く括ったまま。ただイルカだけしかいない事に胸をなでおろし。だが、そこまで視界に入れて、カカシは自分の目を疑った。
胡座をかいているイルカが、自分の陰茎を扱いている。ーー自慰をしていた。
まさしく、人には見せられない行為。カカシはイルカの顔をその場所から凝視していた。
テレビとか、雑誌とか、その行為に至らせる物が見渡す限り存在しない。静かな空気の中にただイルカの熱い呼吸音だけが存在している。
厚みのある赤みを帯びた唇から熱さを伴う息が短く吐き出されている。熱にうなされているように、頬も上気しほんのり赤い。男の、1人自分の陰茎を扱く姿なんて、見たくもない。
だが、カカシは釘付けになっていた。頭の思考は既に停止している。今まで感じた事のない興奮がじわじわと身体を蝕むように犯していく。
あのイルカが、受付で笑顔を見せている顔から想像も出来ないような、蕩けた目をして。黒い瞳がとろんとし、いつも以上に濡れた黒い目は、焦点を合わさずゆらゆらとし、時折ギュッと目を閉じる。緩んだ口元からは赤い舌がチラと覗かせていた。
カカシは堪らず喉を鳴らしていた。
心臓がドクドクと血を廻らせ、明らかに下半身へ血を運んでいるのが分かる。
痴態にそう身体が錯覚している。
カカシはまだハッキリとは掴めない自分の気持ちを鎮めたくて、掌で胸をベストの上から抑えた。
だが目は離せない。高く括った尻尾が扱きをする度に揺れる。
このまま帰るべきか。一人でしている事を誰だって見られたくないし、何より相手がいなかった事はカカシに安堵感を与えていた。
それしか答えはないはずだと思い板を戻そうと手を動かした時、
「カカシさん…」
あの柔らかな唇から、はっきりと自分の名前を呼ぶ声が耳に入った。
甘い、囁く声が耳元で囁かれたみたいで腰にビリビリと痺れが疼く。
呼んでいる。
紛れも無い自分の名前を呼ぶイルカに呼び寄せられるように、カカシは板の間から下へ身体を落としていた。
音なくイルカの背後に着地して、背後に近づいても尚イルカは気が付いていない。
「イルカ先生」
名前を呼ぶと同時に背後から抱きしめた。ビクリとイルカの身体自分の腕の内で面白いくらい揺れる。
「ひぇ、?あ…ぇ…?」
何がどうなったのか、パニックになったイルカは首を捩り背後にいるカカシを見て、濡れた目を見開いた。
「俺を呼んだよね?」
口布をずらすと首元に顔を埋めて、舌で舐める。汗をかいた肌からは少しだけイルカの匂いがする。
やばい。
我慢が効かなくなる興奮が自分を支配しようとしているのを知る。
「え?、か、カシさん…?な、…んで、…」
今の状況を理解しようとイルカは途切れ途切れに聞く。
「いいから、最後までやらなきゃね」
絶頂を迎えようとしていた陰茎をイルカの手の上から自分の手で覆い、扱かせる。
「ぁっ!やっ…っ、ん……!」
ぐちゅ、と濡れた音と共に手を動かせば、イルカは口から母音を漏らした。ぬめりでイルカの陰茎は気持ちよさそうにイルカの中で大きくなる。先端から溢れる先走りに動かす手元を眺めながら、親指の腹で包み込むと、イルカが身体を震わせた。
「ね、さっきみたいに俺を呼んで」
「いや、そんな…っ」
いやいやと首を振って否定をする。カカシは上唇を舐め上げた。
「カカシさ、んっ、やめ、っ」
「何で?気持ちいいでしょ?ほら、イキなよ」
耳朶を甘噛みして中に息を吹き込むようにして舌を入れる。
イルカは身体をしならせ息を詰める。
一緒に手を激しく動かし先端を爪で擦れば、鈴口から白濁が勢いよく飛び出しお互いの手とイルカの服を汚した。
途切れ途切れに精液が出てくるのをイルカの肩越しに眺めて、改めてイルカが達っしているのを確認する。言い知れぬ自分を満たす快感にカカシは自然恍惚とした。
白濁で汚れた手をゆっくりと離す。
イルカが鼻にかかった声を漏らし、その首筋に唇を押し付けてから、身体を離した。
汚れた右手の手甲を外しながらイルカを見ると、背中を向けたまま身体が微かに震えている。
後戻りが出来ない状況に、カカシはさして焦る訳でもなく、平然としている自分がいた。ただまだ覚めない興奮とイルカが目の前で達した事による満足感が身体に残っている。それがすごくいい。
「なんで…」
イルカは、未だカカシに背中を向けたまま何かに耐えるように身体を震わせながら呟いた。耳は真っ赤に染まっている。
こっちこそ聞きたい。何故自分の名前を口にしたのか。そのせいで帰るにも帰れなくなり、自分の熱は直ぐにでも挿れれそうなくらいに張り詰めている。
一人で試すまでもなかった。
カカシは手甲を外し終えると、額当てを取る。
そして立ち上がると金属音を鳴らしながら自分のベルトを外し、スボンを下げ始める。
その音に、イルカはカカシへ目線をようやく投げ、カカシのしている姿に目を剥いた。
振り返ると信じられないとカカシを見て、制止させるように片手を上げた。
「カカシさん、何を、」
声が引き攣っているのがわかった。
ズボンを下げ下着も下げると、自身の屹立した陰茎が勢いよく飛び出した。鍛え上げられた腹筋に触れるほど勃ち上がっている。それを呆然と眺めて、顔を青くさせているイルカの表情を見ながら、薄っすらと微笑んだ。
「見てて、イルカ先生」
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カカシはただ歩きながらテンゾウの言った言葉を思い出していた。
あの暗部に長くいた中では一番真面で流されない、自分と重なる部分があると感じていたからこそ選んで相談を持ちかけた。
ただ、テンゾウ自体そうは思ってはいないらしい。自分は違うと、珍しく漆黒の瞳がそう主張していた。
それに思わず笑いが溢れる。
誰にでも自分は鏡でしか見えない。
人の事は言えないか。
その後輩と同じ目の色をしているのに。あの男のその色は、キラキラして丸で太陽を思い浮かび上がらせる。
笑うと緩んだ目元が印象的だ。
それだけで、カカシの背中に痺れが走った。
今まで抑えていた事を人に話したから気持ちが膨らんだのか。
気がつけば目で追う先の男。
同じように自分を追っていたらいいのにと思う。
笑ったら。
名前を呼んだら。
自分を求めたら。
他人に興味を持つ事さえ無かった。
やばい。やばいよね。
両手をポケットに入れ、猫背で歩きながらその意味知れぬ快感に酔いしれる。
ただ、一度だって同性相手に勃ったことはない。それが不安の一因だったが、女が足りてるからか、抜こうとも考えなかった。
若しかして、テンゾウに男ネタに試してると思われたかな。
はーあ、と考えなくてもいい後悔に溜息を零す。
カカシはポケットに手を入れたまま軽く跳躍して木の幹に両足を着きしゃがみ込む。
真っ直ぐ先に見えるのは、家賃がそう高そうにない、はっきり言えば安アパート。
その二階の角部屋にカカシは視線を向けていた。
ありゃ。
内心残念に、そして不審に思い片眉を上げる。
いつもなら電気が点いてる時間帯でしょ。
知らず知らずに知ったイルカの家。不透明な気持ちを抱えつつも、相手の家を眺める時が多かった。
自分の家の通り道なんだよね。
誰に言う訳でもない、言い訳を心で呟く。
こんな時間にいないなんて。カカシは考えを巡らせる。
人がいいから、予定にはない夜勤を交代して入ったとか。
友人と飲みに歩いてるとか。
体調不良で早く床についたか。
幹から身体を飛ばして音もなくアパートまで飛び移る。気配を探れば簡単にイルカのチャクラを感知出来た。
感じる波長から、起きている。だが、電気は点いていない。
知らず眉を寄せていた。
玄関の扉は施錠してあり、窓も同じく。
指を口元に当て、自分が考えた事にヒヤリとした。
当たり前だが、イルカは成人の男性。女性を連れ込んだっておかしくない。
そう考えた時にはカカシは屋根裏に入り込んでいた。作りが簡単なアパートは入り込むのは容易い。イルカの部屋の上まで行き、音なく板を少しだけズラす。
もし、もし相手が女でなく男だったら。想像しただけで禍々しい気持ちが湧きあがる。自分のクナイを確認するようにポーチに手を当てていた。
部屋は暗いがチャクラを凝らせば昼間と同じ明るさで見える。
気配を完全に殺し視力にチャクラを集中させる。
イルカの荒い息遣いが聞こえる。寝室の布団の上にイルカはいた。受付所で見るまんまの服装で。それに違和感を感じた。髪もまだ高く括ったまま。ただイルカだけしかいない事に胸をなでおろし。だが、そこまで視界に入れて、カカシは自分の目を疑った。
胡座をかいているイルカが、自分の陰茎を扱いている。ーー自慰をしていた。
まさしく、人には見せられない行為。カカシはイルカの顔をその場所から凝視していた。
テレビとか、雑誌とか、その行為に至らせる物が見渡す限り存在しない。静かな空気の中にただイルカの熱い呼吸音だけが存在している。
厚みのある赤みを帯びた唇から熱さを伴う息が短く吐き出されている。熱にうなされているように、頬も上気しほんのり赤い。男の、1人自分の陰茎を扱く姿なんて、見たくもない。
だが、カカシは釘付けになっていた。頭の思考は既に停止している。今まで感じた事のない興奮がじわじわと身体を蝕むように犯していく。
あのイルカが、受付で笑顔を見せている顔から想像も出来ないような、蕩けた目をして。黒い瞳がとろんとし、いつも以上に濡れた黒い目は、焦点を合わさずゆらゆらとし、時折ギュッと目を閉じる。緩んだ口元からは赤い舌がチラと覗かせていた。
カカシは堪らず喉を鳴らしていた。
心臓がドクドクと血を廻らせ、明らかに下半身へ血を運んでいるのが分かる。
痴態にそう身体が錯覚している。
カカシはまだハッキリとは掴めない自分の気持ちを鎮めたくて、掌で胸をベストの上から抑えた。
だが目は離せない。高く括った尻尾が扱きをする度に揺れる。
このまま帰るべきか。一人でしている事を誰だって見られたくないし、何より相手がいなかった事はカカシに安堵感を与えていた。
それしか答えはないはずだと思い板を戻そうと手を動かした時、
「カカシさん…」
あの柔らかな唇から、はっきりと自分の名前を呼ぶ声が耳に入った。
甘い、囁く声が耳元で囁かれたみたいで腰にビリビリと痺れが疼く。
呼んでいる。
紛れも無い自分の名前を呼ぶイルカに呼び寄せられるように、カカシは板の間から下へ身体を落としていた。
音なくイルカの背後に着地して、背後に近づいても尚イルカは気が付いていない。
「イルカ先生」
名前を呼ぶと同時に背後から抱きしめた。ビクリとイルカの身体自分の腕の内で面白いくらい揺れる。
「ひぇ、?あ…ぇ…?」
何がどうなったのか、パニックになったイルカは首を捩り背後にいるカカシを見て、濡れた目を見開いた。
「俺を呼んだよね?」
口布をずらすと首元に顔を埋めて、舌で舐める。汗をかいた肌からは少しだけイルカの匂いがする。
やばい。
我慢が効かなくなる興奮が自分を支配しようとしているのを知る。
「え?、か、カシさん…?な、…んで、…」
今の状況を理解しようとイルカは途切れ途切れに聞く。
「いいから、最後までやらなきゃね」
絶頂を迎えようとしていた陰茎をイルカの手の上から自分の手で覆い、扱かせる。
「ぁっ!やっ…っ、ん……!」
ぐちゅ、と濡れた音と共に手を動かせば、イルカは口から母音を漏らした。ぬめりでイルカの陰茎は気持ちよさそうにイルカの中で大きくなる。先端から溢れる先走りに動かす手元を眺めながら、親指の腹で包み込むと、イルカが身体を震わせた。
「ね、さっきみたいに俺を呼んで」
「いや、そんな…っ」
いやいやと首を振って否定をする。カカシは上唇を舐め上げた。
「カカシさ、んっ、やめ、っ」
「何で?気持ちいいでしょ?ほら、イキなよ」
耳朶を甘噛みして中に息を吹き込むようにして舌を入れる。
イルカは身体をしならせ息を詰める。
一緒に手を激しく動かし先端を爪で擦れば、鈴口から白濁が勢いよく飛び出しお互いの手とイルカの服を汚した。
途切れ途切れに精液が出てくるのをイルカの肩越しに眺めて、改めてイルカが達っしているのを確認する。言い知れぬ自分を満たす快感にカカシは自然恍惚とした。
白濁で汚れた手をゆっくりと離す。
イルカが鼻にかかった声を漏らし、その首筋に唇を押し付けてから、身体を離した。
汚れた右手の手甲を外しながらイルカを見ると、背中を向けたまま身体が微かに震えている。
後戻りが出来ない状況に、カカシはさして焦る訳でもなく、平然としている自分がいた。ただまだ覚めない興奮とイルカが目の前で達した事による満足感が身体に残っている。それがすごくいい。
「なんで…」
イルカは、未だカカシに背中を向けたまま何かに耐えるように身体を震わせながら呟いた。耳は真っ赤に染まっている。
こっちこそ聞きたい。何故自分の名前を口にしたのか。そのせいで帰るにも帰れなくなり、自分の熱は直ぐにでも挿れれそうなくらいに張り詰めている。
一人で試すまでもなかった。
カカシは手甲を外し終えると、額当てを取る。
そして立ち上がると金属音を鳴らしながら自分のベルトを外し、スボンを下げ始める。
その音に、イルカはカカシへ目線をようやく投げ、カカシのしている姿に目を剥いた。
振り返ると信じられないとカカシを見て、制止させるように片手を上げた。
「カカシさん、何を、」
声が引き攣っているのがわかった。
ズボンを下げ下着も下げると、自身の屹立した陰茎が勢いよく飛び出した。鍛え上げられた腹筋に触れるほど勃ち上がっている。それを呆然と眺めて、顔を青くさせているイルカの表情を見ながら、薄っすらと微笑んだ。
「見てて、イルカ先生」
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