静かな逆襲②

三日後の襲来は、また大雨の深夜だった。
俺は静かに外を眺めていた。
風の音と共にトントンとドアを叩く音が聞こえた。それは静かな訪問だった。
俺は自らドアを開けた。
任務帰りなのか全身どす黒く汚れたままの姿で俺を見てニコリと笑った。
「イイコで待ってた?」
そんな事を平然と言った。
「どうぞ」
「んー、玄関でもいいよ。汚れるでしょ?」
そう言って伸ばしかけた手をパチンと叩いた。
「汚れが気になるなら風呂でもどうぞ。衣服も使えそうなのは洗わせてもらいます」
そう言うと、彼は目を見開いた。
「なんの心境の変化?えらく従順になって」
その言葉にほくそ笑みならが、正面から彼に向き合った。

「作戦です」

そう言ってニヤリと笑った。
スルリと言い淀むことなく出た言葉はひどく自分の心を満たしてくれた。
彼は目をぱちくりさせている。
きっと混乱しているだろう。彼が思い描いたどの対応とも違うから。
抵抗すれば彼を喜ばせるだけだ。それはあの二日間で学んだ。
だから、別の作戦でいかないといけない。
忍同士、得意な騙し合いをすればいい。力では勝てないのだから、残る手は頭脳戦だ。
俺は三日かけて作戦をたてた。
その作戦は、他人から見ればひどく呆れられるような理解できないものだろう。だけど、俺はこの作戦を思いついた時、未だかつてないほど頭は冴えていた。

彼に一泡吹かせてやる。
そのためなら羞恥もプライドも尊厳も何もかも捨ててやる。

そのためには絶対俺の手を読ませないようにしなければならない。知られればそこでゲームオーバーだ。なんの価値もなくなる。
俺の作戦はタイミングが命だ。そのタイミングを見落とさないようにすればいい。それまではただ、彼に従い、彼を満足させなければならない。
長期戦になるだろう。だが、構わない。
彼に一泡吹かせてやれるのなら。
さすが優秀な彼はすぐさま頭を切り替えて、俺と同じようにニヤリと笑った。
「弱いアンタが何してくれるのか、楽しみだねぇ。ま、そういうことなら風呂でも入るよ」
靴を脱ぎ、俺の隣に立つと耳元に口をよせた。
「今日もメチャクチャにしてあげる」
ゾクリとするような低い声にブルッと体が震えた。その姿に満足すると、迷いもせず風呂場に向かった。

あぁ、そうか。
何度か泊めたことがあった。

それを思い出すと胸にどす黒いモノが渦巻いた。



長いシャワーの音が止み、そろそろ上がってくると感じた俺は静かに寝室へいった。
座って待ってると、まるで生贄になった気分だった。あんなに色々と考えていたのに、さっきまで強気で、作戦を実行するまでは従順でいようと思っていたのに。
手を見ると震えていた。
当たり前だ。あの二日間の恐怖を忘れてなどいない。あの他人に体の中に入り込まれる感覚が今でもハッキリと思い出せる。
入り込んで中から引き出されて埋め込まれてバラバラにされるのだ。
怖い。気持ち悪い。痛い。苦しい。
それでも相手にそれを気が付かせたくなくてギュッと手を握った。
「待ってたの?今日はイイコだねぇ」
気配すら感じず、突然現れた彼に小さくヒッと悲鳴をあげた。
彼は腰にタオルを巻いている状態でたっていた。
白くて美しい体が光に照らされている。
何度も見たはずだった素顔が今日は一段と美しく、不気味だった。
まるで悪魔のようだった。
彼が一歩一歩歩く度に歯はガチガチと鳴り、手は震え、足は逃げ出しそうに暴れる。それを必死で抑えながらも彼の顔から目を反らせなかった。
彼は近づくと俺の横に座った。
髪の毛から水が滴り落ちる。
その感触にビクッと震えると、クスリと笑われた。
「イイコにしてたら、痛いことはしない。痛いの嫌でしょ?」
ガクガクと震えながら頷くとフフッと耳元で笑った。とても愉快そうだった。
「服脱いで足広げな」
言われるがまま足を広げた。羞恥などなかった。今は従ってさえいればいいのだから。
彼は俺の股間に顔を埋めた。
「うん。綺麗に洗ったね。石鹸の匂いがする」
「ーーッ、ひぃ」
ぺろっと何の躊躇もなくソコを舐めた。彼の触れた手や体は冷たく、冷水を浴びていたのかと思うぐらい冷たかった。
「今日はアンタに土産がある。コレ何かわかる?」
取り出されたのは小さな小瓶だった。見たことがないが、きっと液体が入っているのだろう。
「クスリ・・・」
「そう。媚薬。ちょっと任務で必要でね、オレも使ったの。まだ抜けきれなくて・・・分かるよね?」
つまり抜け切るために相手をしろというのか。普段でさえひどいのに、薬の効いた彼はどんなのだろう。そしてその相手を務めるために彼のように薬が効かない人でも効くような薬を俺も飲まされるのか。
媚薬は軽いものしか飲んだことがなかった。効きすぎるとドクターストップがかかったのだ。それ以来飲んだことがない。
「の、飲まなくても、ぁ、いてしますから・・・っ」
「んー?でも薬を飲んだオレの相手するの大変だよー?飲んだ方が気持ちイイし、すっごく濡れるしね」
「俺、効きすぎるから・・・」

忍は例えどんな状態でも己の弱点を言ってはいけない。
さらけ出した瞬間、そこを狙われるのは当然の摂理だ。

どうしてそのことを忘れてしまったのだろうか。
そう口にした瞬間、彼はニタリと意地悪く笑った。

ヒュッと喉がなった。


彼は口で小瓶の蓋を開けると自身の口に含んだ。
全部口に入れると、俺を見下ろした。
ゾクッとするような色気と、狂気を含んでいた。
そのまま頭を押さえられて唇を重ねた。彼の舌が液体と共に口の中に入ってきた。
あまりのことに口を閉じることも出来ず、促されるまま液体を喉に通し、舌に絡まらせた。
口の中にあった液体を飲ませるとゆっくりと口を離した。そして口の端から溢れた液体を丁寧に舐めた。
人生二度目の媚薬は花の蜜のような味がした。
甘い甘い、禁断の果実のような。
ジワリと体が熱くなってくるのがわかった。即効性だ。ドクドクと心臓は高鳴り頭が真っ白になっていく。

「アンタなんか狂えばいい」

媚薬のように甘い声がする。
僅かに残っていた理性が彼の形を捉えた。
何て顔してるんだ。
ポロッと涙が溢れたのを感じた。
俺の意識はそこまでだった。




目が覚めると辺りは夕方だった。
まさか一日寝ていたのかと慌てて起き上がり時計を見ると日付があの夜から二日後だった。
二日間も眠っていたのか。
記憶を辿るが、媚薬を飲まされてから後が一切記憶になかった。薬の副作用だろう。その代わり下半身は怠かったが、前のように強い痛みはなかった。
辺りを見渡すが、勿論彼はいなかった。
居間も彼が来る前の姿をしており、まるでこの二日間何も無くただ時間だけが過ぎていったかのように思えた。
洗濯物もからっぽで彼のいた痕跡はない。
奇妙なことに腹も満たされ、体も綺麗だった。
まるで白昼夢のようだ。
(仕事、どうなったんだろうなぁ・・・)
今からでも式を飛ばすべきか、そもそも今すぐにでも行くべきか悩み、怠くて億劫になった。もうここまできたなら仕方ない。明日まとめて謝ればいい。
ふと台所を見た。綺麗に片付けてあり、いつものように炊飯器に明日分の米がセットされていた。
いつもと変わらない。
だが、流しに二つ並べるように湯のみが置いてあった。俺が普段使っているものと、来客用の湯のみだった。



◇◇◇



それから一週間彼は姿を現さなかった。


珍しく定時に終わり、久々に自炊でもするかと晩飯の材料を買い込んで部屋に入ると当然のように彼が居間に座っていた。
「遅かったね」
心の準備が出来ておらず固まる俺に、彼は気にもせず近づき、スーパーの袋を取った。
「もう少し遅かったら迎えに行こうと思ってたこと」
つまりもう少し遅かったらスーパーで犯されていたかもしれないと言うことか。
ブルッと背筋が震えた。
「こ、られるなら・・・っ、早く帰ります」
知らなかったのだと言い訳みたいなこと言うと、どうでも良さそうにひらひらと手を振った。
「別に?怒ってないよ。イイコにしていたみたいだし?」
それは何を指して言っているのだろうか。
最近どこも寄らずに帰っているところか。
誰にもつけ口しないところか。
それとも・・・。
彼から袋を取るとそのまま台所へ向かった。食材を全部冷蔵庫へ入れた。
今日はカップラーメンになりそうだ。
「準備しないの?」
呑気そうな声が聞こえる。
「貴方が来てるのに無視して俺だけ晩飯食うのは」
「待つよ」
待つのか。俺が晩飯食うのをそばでじっと待ち、片付けして風呂入るまで待つというのか。
そんな鉛のような飯を食うぐらいなら彼が帰った後即席めんでも食べた方が何倍も旨い。
勿論そんなこと言えず、小さく息を吐いた。
「いいです」
「いいから」
「俺だけ食べろって言うんですか」
「邪魔しないで待ってるよ」
「俺だけ食べるなんてできません。・・・あ、よければ一緒に」
そこまで言ったところで、凄まじい殺気を感じた。
体が震えさえできず、呼吸すらできない。俺のありとあらゆる機能が停止したかのようだった。
唯一見える右目がギラギラと光っていた。

「それ以上言ったら殺す」

それだけ言うと立ち上がり玄関へ向かった。その間も禍々しい殺気を放っていた。
「二時間後来るから」
バンッとドアを閉めた。彼の気配がなくなってようやく息ができるようになった。
ハァハァと浅い呼吸を繰り返す。
何か気に触ったのだろう。それは分かったが、その原因が分からない。俺はどこに逆鱗を触れた?それが分からなければ、きっとまた繰り返してしまう。
だからこそ原因を判明したいのに、俺にはさっぱり分からなかった。俺は呆然とその場に動けなくなった。
きっちり二時間後に来た彼は、殺気はなかったが不機嫌な表情のまま、無言で俺をメチャクチャにした。




彼がこんなにも気性の荒い人だとは思わなかった。
地雷があっちこっちに埋まっているのにその回避の仕方も踏んでしまった対処の仕方も分からず、俺は何度も彼の逆鱗に触れた。
彼は不機嫌になると殺気を放ち無言になる。そしてセックスも荒々しくて、まるで口で言えない苛立ちをそこにぶつけているようだった。
それでもその苛立ちは翌日になると消え、次会うときには何事もなかったかのようだった。ただ、彼に理由を聞くのは躊躇われた。だから、あの媚薬を飲まされた日のことや、何が逆鱗に触れるのかはさっぱり分からなかった。
失言をしないようにと口数を減らせば、喋ろと催促された。そうして何度も地雷を踏んでしまった。
だが、人間は適応する生き物なのか三ヶ月経つと段々と慣れて来た。
彼は不規則にふらりと深夜に来て朝起きるといなかった。媚薬はあれ以来使われないが道具は使われた。気絶するまで攻められることもあれば一度で終わりさっさと帰るときもあった。
俺の体は媚薬を使われて以来、後ろで感じるようになっていった。それは彼をとても喜ばせた。
彼が深夜に現れても驚かず、震えなくなった九月のある夜、見慣れない式が届いた。
名前などなくただ場所を指定されたその式は誰のものかすぐ分かった。呼び出しなど初めてで何をされるのかと嫌な予感がした。その指示された場所は人里離れた何も無い所だった。
だが行かないという選択はなかった。
俺は支給服に着替えて指定された場所に向かう。
指定された場所は人の気配すらなくとても不気味だった。何をされるのかそればかり考えていた。
まだされてないことは沢山ある。
例えば、輪姦とか。獣姦とか。
そう思っただけでゾッとした。
人里離れた場所にわざわざ呼び出すとは人目に触れられたくないからだ。それはきっと恐ろしいことだろう。
俺はまた何かやらかしたのかとビクビクしながらそれでも前へ進む。
最後に会ったのは三日前。特に何もなかったはずだ。いつものように深夜にきて、二度ほどイった。あぁそういえば帰るとき、いつもはさっさと帰るのにその日は何故か口をモゴモゴとさせていた。何か言うことがあるのかと身構えたが、それが音になることはなく、小さな溜息をつくと帰ってしまった。
その時問わなかったからいけなかったのだろうか。「なんですか?」と一言言わなかったのが悪かったのか。だからこんな所に呼び出すのか。
ぐるぐると考えていると、ふと血の匂いがした。人の気配はないのに確かに匂った。それは奥に進めば進むほど強くなり、ようやく人の気配がした時は死体と間違えるかのように真っ赤な人が倒れていた。


それは彼だった。


暗部の服を着て狗の面をしていたが、全身ボロボロだった。彼の特徴的な銀髪は薄汚れており、脇腹はぱっくり切られていて特に酷かった。
ドクドクと心臓が高鳴るのが分かった。無意識に生唾を飲んだ。
冷や汗をかきながらゆっくりと近づく。
まさか、死んでいるのか。
息を確かめようと面に手を伸ばした。ゆっくりと外すと青白い顔が見えた。
その瞬間、目がカッと開き俺に焦点が合うと、ニコッと笑った。

それはとても幸せそうな無邪気な笑みだった。

そんな顔見たことなかった。こうなる前も、こうなった後も。
突然の笑顔にひどく動揺した。
「本当に来たんだ」
「貴方からの呼び出しだったので」
「偽者かもしれないのに」
「俺が見間違うとでも?」
そう言うとフフッと嬉しそうに笑った。
「だからアンタはバカなんだ」
「お好きに」
「怒らないでよ。絶好のチャンスに呼んであげたのに」
「絶好のチャンス?」
何のことだと目を細めると彼は更に笑った。


「オレを殺せるチャンス」


高らかに歌うようにそう言った。
「アンタこのチャンスを狙っていたんでしょ?力では勝てないから弱るのをずっと待ってたんでしょ?だから従順なフリしてオレの傍にいたんでしょ?過酷な任務に行ってるオレがいつ瀕死になるかジッと待ってたんでしょ?」
興奮しているのか声はいつの間にか叫んでいた。大声を出す度に脇腹から血が吹きだしたが痛がるそぶりを見せず寧ろ楽しそうにそう言った。
自分が殺されるのがそんなに嬉しいのか。
そんなに殺されたいのか。
誰でもない、俺に。
いや、誰でもいいのかもしれない。
フツフツと湧き上がるのは憤怒か憎悪か侮蔑か。
殴り飛ばしたいのをグッと堪える。こんなのでも病人だ。殴るのは治ってからでもできる。
馬鹿にするな。
馬鹿にするな。
死を待っていただって?
瀕死になったところでトドメを刺すとでも思ったのか。
馬鹿にするな。

馬鹿にするなっ!

「貴方を殺せば俺は里から追われる立場になる。里から逃げ、追い忍から怯える日々になる。俺がそれを望んでいると本当に思ったのですか!」
そう言うと嬉しそうだった笑みはピタッと止まりじろりと睨まれた。不機嫌そうな顔だった。
「アンタつまんないね」
「お好きに」
「つまんないよ。バカだねぇ。バレずに殺すことだっていくらでもできるでしょ?」
「そんなに死にたきゃひとりで死んでください」
「それじゃあ意味ないでしょ」
バカだねぇといいながらむくりと起き上がった。どうやら今までのはポーズらしい。と思ったが腹の傷は本物だし、起きる時に足をかばっから怪我はまだ沢山ありそうだ。
「おぶって」
「何言ってるんですか。早く医療忍呼ばないと」
「病院までおぶってくれればいいでしょ?一々他の人の手を煩わさないで」
「そう言う問題の怪我ではありません」
「煩いな。さっさと運んで。誰か呼んだらあることない事言うから」
何だそれは。脅してるのか。
ギッと睨むが、まるで効果がなかった。
俺の言うことなど聞くはずないことはよく知っているつもりだった。まさかこんな状態でも自我を貫くとは天晴れだ。
もうどうでもよくなっていつものように彼に従った。なんだかその為に呼ばれた気がする。
背負うとそれなりに重く、体は硬かった。体臭はしないが血の匂いにむせそうだった。
なるべく揺らさないように一歩一歩気を使って歩く。正面には大きな月がでていた。
そうか今日は十五夜だった。
彼とのこんな関係ももう三ヶ月続いているんだ。そりゃ慣れるよな。とどこか他人事のように思った。
ハッハッと浅い呼吸音がした。やはり苦しいのだ。当たり前だ。半分死にかかっているのだ。
もし、俺が行かなかったら。
そう思うとゾッとする。
簡単に死んでもらっては困る。俺はまだ必死に反逆の機会を狙っているのだから。
じゃなきゃこんなのただの茶番だ。
死ぬな死ぬなと呟きながら病院へ目指す。
遅い足、揺らすなと自分を叱る。何で俺など呼び出すんだよ。どのぐらい待っていたのか知らないが、その時間があれば確実に助かるのに。
死ぬな死ぬな。
まだこんなことで死ぬんじゃない。
息を切らせながら走る俺に彼はクスッと笑った。余裕のある笑みだった。
「ねぇ、もしさっきアンタがオレを殺そうとしたら」
低く擦れた声で耳元で囁かれた。
それは時々発するアノ時の声のようで。
ひどく熱を帯びた色気のある声だった。
彼は右手をゆっくり動かし、俺の首を撫でた。


「死ぬ瞬間、アンタを殺してたよ」


その声は静かではっきりとした声だった。
冗談でも脅しでもない、まるでただ真実のみを伝える機械のようだった。
くだらない。
そんなことして、果たして何の意味がある。
アンタが死んで、俺が死んでその先に何があるというのか。
心中なら真っ平御免だ。
一緒に死んだって誰も救われない。
何も変わらず、世界はいつものように動く。
「俺を殺したところで何も変わらない」
キッパリと言い切ると、どこか嬉しそうに首を撫でられた。
「変わるよ。アンタがこの世から消えてくれる」
「殺したいんですか?」
「んー。どうだろうねぇ。今は違うかな」
クスクスと本当に可笑しそうに笑った。


「今はオレも、死にたくないし」


今は、という言葉にひっかかったが、死にたくないなら良かった。とりあえずその大怪我を治す気力はありそうだ。
少し足を早めながら前へ進む。

「死んだら困る」

俺がそう言うと彼は何も言わなかった。
ただ伸ばした腕に一度力を入れた。
「死んだら困る」
何度も繰り返すとその度に力を入れてくれる。それが生存確認のようで、声のない会話のようだった。
死んだら困る。まだ彼にはしてもらわなきゃいけないことがあるんだ。


「アンタはバカだね。オレを殺しそこなって。・・・もう逃がしはしない」


背中からフフッとどこか嬉しそうに笑った気がした。



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